キング・クリムゾンのデビュー作。何といっても表紙のインパクトと、オープニングを飾るヘヴィな「21世紀のスキッツォイド・マン」が凄い。ドッシリ構えたディストーション・ギターとサックスのユニゾン、歪んだエフェクトをかけられたヴォーカルが世紀末感を煽り、ジャジィでスピード感溢れるフレーズがただならぬ雰囲気を演出する。完璧でありながらスタンダードを作り上げてしまったプログレッシヴ・ロック・ナンバーだ。
また、メロトロン(鍵盤楽器の一種)が奏でる荘厳なイメージは、聞く者を幻想的な世界に陥れ、イマジネィション溢れる詩世界に酔いしれること必至。「エピタフ」やタイトル・チューンにそれは顕著で、メロトロンがこれらの曲を作ったと言っても過言ではないだろう。実際、メロトロンを抜きにすると、「エピタフ」などは音だけ聴けばフォーク・ロックっぽい。
しかしながら、このアルバム最大の特徴は、マイケル・ジャイルスのドラミングにあるのではないかと思う。細かく粒立ったフレーズが極めて自然に楽曲をリードする。この感覚がなければ、足元の重すぎるロックになってしまったに違いない。
プログレというジャンルを抜きにしても、ロック史に燦然と輝く名盤である。
- 原題
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In the Court of the Crimson King
- 邦題
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クリムゾン・キングの宮殿
- パーソネル
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Robert Fripp - guitar
Ian McDonald - reeds, woodwind, vibes, keyboards, mellotron, vocals
Greg Lake - bass guitar, lead vocals
Michael Giles - drums, percussion, vocals
Peter Sinfield - words and illumination
- 曲目
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- 21st Century Schizoid Man (21世紀のスキッツォイド・マン)
- I Talk to the Wind (風に語りて)
- Epitaph (エピタフ (墓碑銘))
- Moonchild (ムーンチャイルド)
- The Court of the Crimson King (クリムゾン・キングの宮殿)
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