個人的にあまり思い入れのないライヴ盤である。というのも、内容が中途半端だからだ。その上音質にバラツキがあって、変な構成に聞こえるのもマイナス・ポイント。
イントロダクションから「孤独なタイガー」に至る流れはとても良い。特に「孤独なタイガー」はオリジナルよりもライヴ・テイクの方が1音ほどトーンが上がっていたり、全体のノリに張りがあるなど断然良い。しかし、その後のナンバーはオーケストラとELP自身の演奏がミスマッチ。「ナイフ・エッジ」は最たるもので、運悪く音質の悪さも手伝ってか、オリジナルのカッコ良さがスポイルされてしまっている。またオリジナルが重厚で素晴らしかった「邪教の神~」にオーケストラが重ならない、「ピアノ協奏曲第1番」も長さの問題か第3楽章のみである等、相当中途半端で、構想に現実が付いて行っていないようだ。このツアー自身、オーケストラとの軋轢が伴っていたようで、その雰囲気が伝わってしまっているのかも知れない。
そんな中「展覧会の絵」は、なかなか興味深い。クラシック曲だから元々はオーケストラがあって当然なのだが(本来はピアノ曲)、強引にキーボード・トリオ編成にアレンジした演奏の上に(ただし、エマーソンの演奏は原曲であるピアノ曲にかなり忠実)、またオーケストラを重ねるという腸捻転的ナンバーになってしまった割には、意外と違和感がない。ただ、ELPとオーケストラ、どっちが主役なの? という感じがしないでもないが...。
後に大幅に未収録曲を追加し、「ワークス・ライヴ」として完全版が出たが、それを聴くと少し印象が良くなった。
- 原題
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In Concert
- 邦題
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イン・コンサート
- パーソネル
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KEITH EMERSON - Piano, Keyboards
GREG LAKE - Vocals, Bass, Acoustic & Electric Guitars
CARL PALMER - Drums, Assorted Percussion, Electric Percussion
※ ジャケットにクレジットが明記されていないので、独自に再構成しました。
- 曲目
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- Introductory Fanfare (イントロダクトリー・ファンファーレ)
- Peter Gunn (ピーター・ガン)
- Tiger in a Spotlight (孤独なタイガー)
- C'est La Vie (セ・ラ・ヴィ)
- The Enemy God Dances With the Black Spirits (邪教の神、そして悪の精の踊り)
- Knife Edge (ナイフ・エッジ)
- Piano Concerto No.1 Third Movement: Toccata Con Fuoco (ピアノ協奏曲第1番 第3楽章:トッカータ・コン・フォコ)
- Pictures at an Exhibition (展覧会の絵)
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