「Volume 2」の名が示すとおり、前作の続編として位置づけられているが、その実、前作に漏れたナンバーを中心に、前作より前のアルバム未収録曲を追加収録したものである。
構成的にバラつきがあるため、まとまったイメージがなく散漫という言葉がピッタリだが、1曲1曲を独立させて聴くと、なかなか魅力的なナンバーが並んでいることが分かる。いくつかのナンバーは、シンセサイザーをフィーチュアしたシンプルなELPサウンドであり、前作におけるオーケストラの大仰なサウンドからすれば、随分と懐かしさを伴う作風と言えるだろう。
問題は、「孤独なタイガー」や「あなたのバレンタイン」といった、シンプルで懐かしさを伴うナンバーはほぼ「恐怖の頭脳改革」時期のテイクであることや、前作に漏れたものはやはりオーケストラとの競演がメインであること。この2極の乖離がこのアルバムを聴き辛いものにしている。かといって、前作のアウトテイクが魅力に乏しいわけではなく、「君を見つめて」、「夢みるクリスマス」、「ホンキー・トンク・トレイン・ブルース」といった個性が爆発した傑作中の傑作ナンバーがある。蛇足だが、レイクのヴォーカルがアヴァンギャルドな「恐怖の頭脳改革」は、同タイトルのアルバムに収録される予定は元々なかったようだ。
本作の不当に低すぎる評価は、どうやらボーナス・トラック集をオリジナル・アルバム仕立てにしてしまったという構成に原因がありそうだ。しかし、曲順を変えたり、録音時期別に分けて聴いたりすると、また物足りない。全く不思議なアルバムだ。
- 原題
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Works Volume 2
- 邦題
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作品第2番
- パーソネル
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KEITH EMERSON - Piano, Keyboards
GREG LAKE - Vocals, Bass, Acoustic & Electric Guitars
CARL PALMER - Drums, Assorted Percussion, Electric Percussion
※ ジャケットにクレジットが明記されていないので、独自に再構成しました。
- 曲目
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- Tiger in a Spotlight (孤独なタイガー)
- When the Apple Blossoms Bloom in the Windmills of Your Mind (あなたのバレンタイン)
- Bullfrog (ブルフロッグ)
- Brain Salad Surgery (恐怖の頭脳改革)
- Barrelhouse Shake-down (バレルハウス・シェイクダウン)
- Watching Over You (君を見つめて)
- So Far to Fall (ソー・ファー・トゥー・フォール)
- Maple Leaf Rag (メイプル・リーフ・ラグ)
- I Believing in Father Christmas (夢みるクリスマス)
- Close But Not Touching (そっと閉じて)
- Honky Tonk Train Blues (ホンキー・トンク・トレイン・ブルース)
- Show Me the Way to Go Home (迷える旅人)
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