「レディーズ・アンド・ジェントルメン」以後、ELPはほぼ解散状態にあった。長期オフをそれぞれのスタイルで満喫した3人は、エマーソンの「オーケストラとの競演」という構想に触発されたレイクを中心に、再び集合することとなった。
放たれた本作は、従来のスタイルからは全く異なるものであった。2枚組というヴォリュームもさることながら、実質が3者のソロ作品を前面にフィーチュアしたものだったからだ。アナログで言うとそれぞれの面が平等に与えられ、残った1面はELP名義の曲で締めくくるといった内容である。
エマーソン・サイドは、ジャズや現代音楽などエマーソンのスタイルを存分に盛り込んだピアノ協奏曲。当然ロックらしさは皆無だが、エマーソンの作曲術やテクニックを楽しめ、後の重要なキャリアとなる映画音楽家への布石ともとれる内容。レイク・サイドは従来のレイクのソロ・ナンバーを、オーケストラとの競演によってスケール・アップさせた豪華版の趣だ。ここでのヴォーカルは、彼のベスト・パフォーマンスではないかと思う。パーマー・サイドは、ファーストに収録された「タンク」のリメイクを含む、彼のドラムス、パーカッションをフィーチュアした分厚いオーケストラ・サウンドが中心。ELPファンにとっては、パーマー・サイドが最も興味を惹かれるところではないだろうか。
肝心なのはやはりELPサイド。うるさいくらいの凶暴なキーボード・ワークが冴える「庶民のファンファーレ」は傑作で、ELPの代表曲だ。「海賊」は従来とは異なるスケール感の演出を、オーケストラとの競演で成立させており、ロックとオーケストラとの融合という点において相当な完成度を誇っている。
- 原題
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Works Volume 1
- 邦題
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ELP四部作
- パーソネル
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KEITH EMERSON - Piano, Keyboards
GREG LAKE - Vocals, Bass, Acoustic & Electric Guitars
CARL PALMER - Drums, Assorted Percussion, Electric Percussion
※ ジャケットにクレジットが明記されていないので、独自に再構成しました。
- 曲目
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Disc 1
- [KEITH EMERSON] Piano Concerto No.1 (ピアノ協奏曲第1番)
- First Movement: Allegro Giojoso (第1楽章:アレグロ・ジョコーソ)
- Second Movement: Andante Molto Cantabile (第2楽章:アンダンテ・モルト・カンタービレ)
- Third Movement: Toccata Con Fuoco (第3楽章:トッカータ・コン・フォコ)
- [GREG LAKE] Lend Your Love To Me Tonight (今夜は愛の光につつまれて)
- [GREG LAKE] C'est La Vie (セ・ラ・ヴィ)
- [GREG LAKE] Hallowed Be Thy Name (願わくは、み名の尊まれんことを)
- [GREG LAKE] Nobody Loves You Like I Do (ノーバディ・ラヴズ・ユー・ライク・アイ・ドゥ)
- [GREG LAKE] Closer to Believing (クローサー・トゥ・ビリーヴィング)
Disc 2
- [CARL PALMER] The Enemy God Dances With the Black Spirits (邪教の神、そして悪の精の踊り)
- [CARL PALMER] L.A. Nights (L.A.ナイツ)
- [CARL PALMER] New Orleans (ニューオーリンズ)
- [CARL PALMER] Two Part Invention in D Minor (2声のインヴェンション、ニ短調)
- [CARL PALMER] Food for Your Soul (フード・フォー・ユア・ソウル)
- [CARL PALMER] Tank (タンク)
- [EMERSON, LAKE & PALMER] Fanfare for the Common Man (庶民のファンファーレ)
- [EMERSON, LAKE & PALMER] Pirates (海賊)
- [KEITH EMERSON] Piano Concerto No.1 (ピアノ協奏曲第1番)
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