ライヴ・ドキュメントとしては、ELP初となるライヴ・アルバム。CDでは2枚組だが、アナログでは3枚組というヴォリュームだった。「タルカス」「石をとれ」「悪の経典#9」といった大曲が、さらに一部を大仰にアレンジメントされて拡大され、再現されるのには「参った」の一言。
複雑なスコアを形成するあの曲この曲が完璧に演奏され、スタジオ・アルバムが必ずしもレコーディング・テクニックだけではなく、プレイヤー達の演奏力によって成り立っていることを改めて認識させられる。しかもライヴならではのダイナミズムを生むインプロヴィゼイションやアドリブには余裕すら感じられ、テクニックに裏打ちされたエンタティメント集団であることが如実に現れているのだ。異様にテンポアップされた「ホウダウン」がライブの始まりを強烈に演出し、「トッカータ」のような難曲がさらりと、なおかつ強力に演奏される。
ライヴでのELPの特徴は、映像を見ないことには分かり辛い部分もあるのだが、一貫して言えることは「とにかく凶暴」であること。ある曲はテンポが凶暴だったり、ある曲はオルガン・プレイが凶暴、ある曲は音量が凶暴だったりする。個人のインプロヴィゼイションの長さが凶暴な場合も。完全ではないが、このアルバムからはそれらが伝わってくる。
惜しむらくは、音質だろうか。多少高域が欠落しており、ローファイ感がある。だが、それがまたヘヴィ感を煽っているのだから、何が幸いするか分からない。「トゥー・ヘヴィ」それがこのライヴ盤に対する褒め言葉だ。
- 原題
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Welcome Back, My Friends, To the Show That Never Ends - Ladies and Gentlemen
- 邦題
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レディーズ・アンド・ジェントルメン
- パーソネル
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KEITH EMERSON - Keyboards
GREG LAKE - Vocals, Bass, Acoustic & Electric Guitars
CARL PALMER - Drums, Assorted Percussion, Electric Percussion
※ ジャケットにクレジットが明記されていないので、独自に再構成しました。
- 曲目
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Disc 1
- Hoedown (ホウダウン)
- Jerusalem (聖地エルサレム)
- Toccata (トッカータ)
- Tarkus (タルカス)
- Eruption (噴火)
- Stone of Years (ストーズ・オブ・イヤーズ)
- Iconoclast (アイコノクラスト)
- Mass (ミサ聖祭)
- Manticore (マンティコア)
- Battlefield (戦場)
- Aquatarkus (アクアタルカス)
- Take a Pebble (Including Still...You Turn Me On and Lucky Man) (石をとれ~スティル...ユー・ターン・ミー・オン~ラッキー・マン)
Disc 2
- Piano Improvisations (ピアノ・インプロヴィゼイション)
- Take a Pebble (石をとれ)
- Jeremy Bender / The Sheriff (ジェレミー・ベンダー~シェリフ)
- Benny the Bouncer (用心棒ベニー)
- Karn Evil 9 (悪の経典#9)
- 1st Impression (第1印象)
- 2st Impression (第2印象)
- 3st Impression (第3印象)
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