誰がなんと言おうとELP最高傑作! ELPが運営するレーベル「マンティコア」からの、記念すべきELP第1号アルバムでもある。
髑髏のようなオブジェがあしらわれた近未来的なカヴァーを開くと、メデューサが現れるという、変形ジャケットの極みとも言える卓越したアート・ワークと、これぞプログレという気概に満ちた素晴らしい楽曲と演奏。ELP3人のクリエイティヴな衝動と音楽を構築したいと欲する姿勢が高次元で結実し、さらにそのパワーによって昇華された傑作である。
「聖地エルサレム」の荘厳な雰囲気は、初作より見られた賛美歌系チューンの完成形で、オルガンとレイクのヴォーカルがこれ以上ない調和を果たしている。「トッカータ」は前作までの作風に頼ることなく、3者3様のプログレッシヴ・テクニックが前衛的な実験精神と共に融合したパーカッシヴで攻撃的な傑作ナンバーで、パーマーのエレクトリック・ドラムが冴えに冴える。「スティル...ユー・ターン・ミー・オン」は、レイクのソロナンバーの最高傑作。「用心棒ベニー」のようなおふざけナンバーでもテクニックを惜しみなく投入。
そして「悪の経典#9」に至り、遂にこのアルバムの本領が発揮される。目まぐるしく変わるロック・ナンバーの第一印象が高らかに幕開けを告げ、フリージャズ的な展開でグイグイと進行する第二印象、シンセをベースにした壮大なロック・シンフォニーで、近未来的な雰囲気を持つ第三印象。スタイル的に殆ど繋がりの無い三つの楽曲が、まるでうねりのあるストーリーを見るかのように展開されていく様は圧巻の一言。ELP未体験者に是非ともお勧めしたいアルバムだ。
- 原題
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Brain Salad Surgery
- 邦題
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恐怖の頭脳改革
- パーソネル
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KEITH EMERSON - Organs, Piano, Harpsichord, Accordion, Custom built Moog Synthesizers & Moog Polyphonic Ensemble
GREG LAKE - Vocals, Bass, Zemaitis Electric 6 string and 12 string Guitars
CARL PALMER - Percussion and Percussion Synthesizers
- 曲目
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- Jerusalem (聖地エルサレム)
- Toccata (トッカータ)
- Still...You Turn Me On (スティル...ユー・ターン・ミー・オン)
- Benny the Bouncer (用心棒ベニー)
- Karn Evil 9 (悪の経典#9)
- 1st Impression (第1印象)
- 2st Impression (第2印象)
- 3st Impression (第3印象)
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