Pictures at an Exhibition (展覧会の絵)

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展覧会の絵(K2HD紙ジャケット仕様)

 ELP初のライヴ・アルバムだが、通常ライヴ・アルバムというものは、既発表曲を含んだライヴを収録したもので、オリジナルとは異なる臨場感やアレンジを楽しむものが一般的だが、この作品は少し違う意味を持っている。それは、全編未発表曲ならびに1枚のオリジナル・アルバムとして完結していることである。

 タイトルが示すとおり、ムソルグスキーの代表曲を元にした壮絶なプログレ組曲である。とはいえ、「プロムナード」、「こびと」、「古い城」など原曲に忠実な部分も多く、エマーソンのクラシックに対するある種の敬意が感じ取れるものとなっている。「キエフの大門」に至っては、エマーソンが奏でるパートはほぼ原曲そのものだが、レイクが素晴らしいヴォーカル・ワークをプラスすることによって壮大なロックに仕立て上げた傑作である。

 私自身、このアルバムの映像版も見たのだが、レイクとパーマーが支える完璧な土台の上で、縦横無尽にシンセを操るエマーソンには本当に驚いた。レイクのオリジナル・ソロ「賢人」や、最高にハードなヴォーカルが冴える「バーバ・ヤーガの呪い」も盛り込まれてはいるが、エマーソンのパートの狭間という印象は拭えず、こういった面からも、このアルバムがスタジオ盤として発表されなかったのが理解できる。

 つまり、レイクとパーマーは「意外とあまり目立っていない」のである。このグループがエネルギーを存続するのに必要な要素「個々が目立つ」が、少々不足気味なのだ。世界中でヒットはしたのだが...。

 ちなみに、アンコール曲の「ナットロッカー」は「くるみ割り人形」のアレンジ曲で、シングル・ヒットしている。

原題

Pictures at an Exhibition

邦題

展覧会の絵

パーソネル

KEITH EMERSON - Keyboards

GREG LAKE - Vocals, Bass, Acoustic Guitar

CARL PALMER - Drums, Assorted Percussion

※ ジャケットにクレジットが明記されていないので、独自に再構成しました。

曲目
  1. Promenade (プロムナード)
  2. The Gnome (こびと)
  3. Promenade (プロムナード)
  4. The Sage (賢人)
  5. The Old Castle (古い城)
  6. Blues Variation (ブルーズ・ヴァリエイション)
  7. Promenade (プロムナード)
  8. The Hut of Baba Yaga (バーバ・ヤーガの小屋)
  9. The Curse of Baba Yaga(バーバ・ヤーガの呪い)
  10. The Hut of Baba Yaga (バーバ・ヤーガの小屋)
  11. The Great Gates of Kiev (キエフの大門)
    The End
  12. Nutrocker (ナットロッカー)