ELPのセカンド・アルバム。前作で既に示された方向性を拡大すべく、「プログレ」の記号的解釈を実践(これは現在的な見方ではあるが)してみせた初期の傑作である。
このアルバムのハイライトは、無論タイトル・チューン組曲「タルカス」である。見開きジャケットを開くと、表ジャケに描かれた怪獣タルカスが色々な怪獣を次々と倒していくが、マンティコアによって目を突かれてスゴスゴと退散する様子がいっぱいに描かれている。この展開はそのまま組曲の内訳と一致し、楽曲の楽しさをより増幅する名アートだ。5thコードを多用した足元をさらわれるようなアレンジメントや、怒涛の複雑怪奇な変拍子、暴れまわるエマーソンのオルガンやシンセ、レイクの叙情性溢れるヴォーカル、無駄がなく興奮必至の組曲展開など、ELPの集大成の一つだ。
後半の小曲集も、それぞれ個性的で何一つ重複するテイストがない。「ジェレミー・ベンダー」のような軽いタッチから、「ビッチズ・クリスタル」、「タイム・アンド・プレイス」のように煌びやかまたはヘヴィなハードロック・チューン、荘厳な賛美歌チューン「ジ・オンリー・ウェイ」と色とりどりだ。ちなみに、「アー・ユー・レディ・エディ」はプロデューサーのエディ・オフォードをネタにしたおふざけである。このような余裕もこのアルバムの魅力だ。
「タルカス」、これは本当に凄すぎるアルバムである。
- 原題
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Tarkus
- 邦題
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タルカス
- パーソネル
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KEITH EMERSON - Hammond Organ, St. Marks Church Organ,Piano, Celeste, Moog Synthesizer
GREG LAKE - Vocals, Bass, Electric & Acoustic Guitar
CARL PALMER - Drums, Assorted Percussion
- 曲目
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- Tarkus (タルカス)
- Eruption (噴火)
- Stone of Years (ストーズ・オブ・イヤーズ)
- Iconoclast (アイコノクラスト)
- Mass (ミサ聖祭)
- Manticore (マンティコア)
- Battlefield (戦場)
- Aquatarkus (アクアタルカス)
- Jeremy Bender (ジェレミー・ベンダー)
- Bitches Crystal (ビッチズ・クリスタル)
- The Only Way (ジ・オンリー・ウェイ)
- Infinite Space (限りなき宇宙の果てに)
- A Time and a Place (タイム・アンド・プレイス)
- Are You Ready Eddy? (アー・ユー・レディ・エディ)
- Tarkus (タルカス)
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