ELPのファースト・アルバム。キース・エマーソンがザ・ナイスから持ち込んだ方法論に、グレッグ・レイクの叙情性溢れるテイストと丁寧なプロデュース・ワークをプラス、そこへ明らかに強力無比なドラミングをカール・パーマーが提供することによって生まれた作品だ。
この作品には、後に展開されるELP節すべての雛形がここにはあると言って良い。それはつまり、けたたましいドラム・パターンをきっちりしたベースが制御、完成したリズム・セクションに乗ってエマーソンのシンセサイザーやハモンド・オルガンが暴れまわり、これに留まる事を良しとしないレイクとパーマーが、自らの見せ場をバッチリ主張するというパターンである。オープニングを飾る「未開人」、そして「タンク」がその好例である。
一方、レイクがクレムゾンより持ち込んだ叙情性を強く感じさせる「石をとれ」は、陰鬱なテーマながらエマーソンの美しいピアノが色を添え、傑作ナンバーとなっている。また、「運命の三人の女神」は、多少未消化な組曲ではあるが、3者の見事な演奏力を堪能させるものとなっており、後の「恐怖の頭脳改革」の原石を思わせる。
パターンを重視するあまり、とうとう分裂してしまった後半と違い、この時点ではまだ絶妙と呼べる以上の完璧なバランスで均衡している。他のパートを理性的に尊重し、美しいアンサンブルをなしている。そういった意味で、「まだ君はバランスを保っていられるかい?」と歌われた「ナイフ・エッジ」は象徴的である。
- 原題
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Emerson, Lake & Palmer
- 邦題
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エマーソン、レイク&パーマー
- パーソネル
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KEITH EMERSON - Hammond Organ, Rpyal Festival Hall Organ,Piano, Celeste, Moog Synthesizer
GREG LAKE - Vocals, Bass, Electric & Acoustic Guitar
CARL PALMER - Drums, Assorted Percussion
※ ジャケットにクレジットが明記されていないので、独自に再構成しました。
- 曲目
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- The Barbarian (未開人)
- Take a Pebble (石をとれ)
- Knife Edge (ナイフ・エッジ)
- The Three Fates (運命の三人の女神)
- Clotho (クローソー)
- Lachesis (ラキシス)
- Atropos (アトロポス)
- Tank (タンク)
- Lucky Man (ラッキー・マン)
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