ギャグ編と見せかけておいて...という、近々の「ニンニンジャー」ではもはやお約束となった感のあるパターン。
このパターンがあまりに連発されるので、新鮮味という点ではかなり薄いのですが、今回はそれよりも「まとめに入ってきた」という感が強く、そちらの方面で興味深いエピソードとなりました。
一方で「ニンニンジャー」では珍しく、圧倒的な危機のまま次回に引っ張るという結びがなかなかに衝撃的。年末までに一区切り付けるという構成は、近年の戦隊では定番ですね。
牙鬼萬月、当主継承御披露目式
牙鬼萬月って物凄い強敵の筈なんですけど、今回に至っても何となく印象がイマイチなんですよね。
恐らくは、「ヒーロー側が頭脳と体力を駆使しても先手を取られる」というシチュエーションがなく、今回のように罠と知って飛び込んでも、全力で遊びに付き合っている画の方が印象に残るからでしょう。今回のロボ乗っ取りも、牙鬼萬月の狡猾な作戦が図に当たったという流れ自体は見事でしたが、どうも一怪人が乗っ取り作戦を展開して失敗するのとスケール感が変わらないんですよね。「デンジマン」のアラジンラーの話みたいな...。
ついでに言うと、矢文で御披露目式に招待する辺りなんかは、正に「デンジマン」の頃のノリですね。「仮面ライダー」では、よく立花藤兵衛の店に日本語手書きの脅迫状とかが届いていましたが、あの雰囲気です(笑)。現代に至っては、既に緊張感を壊すシチュエーションになってしまいました。ただし、私はこういうの大好きです。
今回は先に触れた通り、この御披露目式が既に罠だと分かっているのに加え、霞の何かに気付いているかのような意味深長な表情が見られたり、シュテンドウジの吐息攻撃をものともしない獅子王など、ニンニンジャー側が常に先手を取っているように思わせている点は良いですね。特に霞に怪しいと思わせておきながら、彼女にも見抜けない作戦を展開する辺りは、霞のキャラクター性を巧く利用した逆転劇の妙味を感じます。唐突なラスボス感満載の牙鬼萬月自体に魅力は乏しい(逆に有明の方の弾けっぷりの方が魅力的)ですが、筋運びの巧さは特筆モノでした。
シュテンドウジ
超上級妖怪として登場したシュテンドウジ。勿論、酒呑童子がオリジナル。鬼の頭領という言い伝えが、超上級妖怪の肩書にピッタリです。
今回はその「酒好き」という性質がクローズアップされ、遊び好き、酒臭い、酔拳の使い手といった要素で魅せています。しかし、超上級妖怪にしてはやっぱり小物っぽくてイマイチ(笑)。勿論、自ら巨大化出来たり、牙鬼萬月の作戦を成功に導く等、それなりの強者としての描写はあるのですが、五番勝負では割と姑息な手段でしか点数を稼げなかったりしているので、小物感が滲み出てしまいました。勿論、相手を油断させる意図はあったかも知れませんが、綱引きや腕相撲では、割と本気で負けているようにしか見えませんでしたので。
それでも次回まで引っ張っているので、どう扱われるか楽しみではありますね。
五番勝負
ニンニンジャーとシュテンドウジが「余興」として繰り広げる五番勝負。ニンニンジャーのデータを分析した牙鬼萬月が、真の牙を剥く前に余裕を誇示すべく用意したもの...という事でしょうか。実際、最後の勝負である腕相撲以外は本当に余興でしたからね。
五番勝負の一番目は、けんか凧。八雲が挑み、魔法を使って(ある意味姑息ですが・笑)勝利。
二番目は流鏑馬。霞は弓矢の腕に自信があるようで、最後の的を敵に操作されなければ百発百中でしたが、シュテンドウジが反則勝ちに。
三番目はダンス対決。風花とキンジのキレッキレなダンスを堪能出来る、今回の注目シーンです。本来の白眉が霞んでしまうハイライトシーンになっていて、公式サイトによれば、お二人が振り付けにアレンジを加えたのだとか。ただし、牙鬼側にはアクロバティックなダンサーが居て、残念ながら風花とキンジは勝利ならず。
四番目は天晴とシュテンドウジの綱引き勝負。ここで超絶化を選ばずに勝利した天晴は、「一人前」という言葉をかなり意識している事を垣間見せます。
五番目は腕相撲。シュテンドウジの酒臭い吐息に耐えられない天晴達は、為す術無し。ここで獅子王が登場します。
獅子王、久々登場
やっぱりインパクトが違いますよね、獅子王。山形ユキオさんそのもので(笑)。
「一人前とは他人に傾聴出来る大人の事」だという獅子王の論には、これまたインパクトがありましたね。戦隊のような、パワーをビジュアル化して説得力を得るコンテンツで、このようなテーマを語らせるとは思いませんでした。事前に旋風により、一人前になる道程として「守破離」の概念が丁寧に示されていたので、二柱のテーマが重層的に立つ様には重厚感すら感じられました。
酒臭さなら負けないとばかりのビジュアル勝負! からの余裕の腕相撲で勝利。ダンスに続いて今回のハイライト第二弾でしたね。
この時、シュテンドウジの息吹を吸い込んでしまったが為に獅子王は意志喪失状態となってしまい、「ニンニンジャー」空前のロボ乗っ取りに繋がるのですから、単なる豪華ゲストに留まらせない仕掛けの巧さが光ります。
年末商戦!
今回はロボ乗っ取りというシチュエーションを得て、より自然に各メカが登場出来ていました。冒頭にもライオンハオーの単独での活躍が置かれていたりと、余年のなさが凄い。
ロボ同士を戦わせるという派手な画作りを得て、いつも以上にアピール出来ていたように思います。
好天の謎
私は、シリーズ当初に「好天は故人と勘違いされていた」というのがずっと引っ掛かっていて、今回その答えに繋がるヒントが示されたのではないかと思います。好天自身が終わりの手裏剣なのではないかと予想をしているのですが、果たして...?
次回
またまたネコマタ登場。よほど気に入られたのか、使いやすいのか(笑)。何となく今回の決着編になりそうなので、すっきりと年末を迎えたい処ですね。
天地人
>よく立花藤兵衛の店に日本語手書きの脅迫状とかが届いていましたが、あの雰囲気です。
これで地獄大使みたいに晦正影が、ドラム缶の影からニュッと現われてくれれば面白かったんですけどね。
今回は5番勝負があったせいか、なんか急いで進行したような感じも受けます。
圧倒的な危機のまま次回に引っ張る展開ですが、カラクリキュウビの時の方が、危機感が強かった感じが強くて、今回はあまり心配しないで次回まで待てそうです(苦笑)
それではまた
竜門 剛
シュテンドウジの声がベテランの秋本さんで、声優ファンとしては大歓喜。意外と特撮と結びつかない声優さんなんですよねぇ。
個人的には、酒呑童子は、鬼として別格なイメージなので、上級とはいえ、いち妖怪にはしてほしくなかったですねえ。ガオレンジャーでも幹部だったし。そーいえば、ガオレンと言えば山形さん。まさか狙ってたりとか。
そんな獅子王もすっかりマダオに(汗)。そんな簡単に乗っ取られていいのかオトモ忍。相変わらずメンタル弱いなぁ。
九衛門の正体についてはまったくのスルーで、話数的に大丈夫なのか少し心配です。それに好天じいちゃんが消えてしまうようなラストも出来れば避けてもらいたいところですが、果たして?