「夏休みスペシャル」第二弾!
前回は肝試しという事で、ズバリ夏休みな題材でしたが、今回は旋風による「家族サービス」がテーマとなり、親の視点から捉えた夏休みが描かれる...という解釈で宜しいでしょうか??
それはさておき、とにかく全編に亘って楽しいシーンがてんこ盛り。冒頭以外、風花が全く変身しないという掟破りの展開、更には凪の存在感も抜群といった具合に、あらゆる要素が驚きに満ちていました。西洋妖怪の良い意味での違和感も素晴らしく、正にスペシャルな感覚です。
西洋妖怪
前回、正規の手続で入国して来た(笑)、フランケンシュタインのモンスター、ドラキュラ、狼男をモチーフとする面々。この顔ぶれ、完全に「怪物くん」のトリオと同一であり、いかに日本におけるメジャーな存在であるかが分かります。
それぞれ、古の怪物映画スターとしての地位を確立しており、特にドラキュラと狼男は趣向を変えつつ現在まで幾度も映像化されています。フランケンシュタインのモンスターに関しては、近年ではあまりお目にかかれませんが、マッドサイエンティストの作り出す怪物という出自を持ったモンスターは、古今東西で踏襲され続けているものですよね。
「仮面ライダーストロンガー」の後半戦では、世界各地からデルザー改造魔人が集結する筋書きとなっていますが、その中にもフランケンシュタインのモンスターをモデルとした隊長ブランクと、狼男をモチーフとする狼長官がいました。ドラキュラは検討されたものの未登場となりましたが、吸血怪人という特徴を継承したヘビ女が登場しています。他のデルザーの面々が、モチーフをいささか不明瞭としている中、やはりメジャー級のモンスター達はその個性が強く出ています。
晦正影に「南蛮妖怪」と称されたり、来日していきなり観光、美女、満月を所望する自由さ(わざわざ義理もない連中に呼び寄せられたのだから、対価を求めて当然か)を見せたりが実に可笑しく、インパクトの強さもピカイチでした。
フランケン
ご存知、フランケンシュタインのモンスターをモチーフとする西洋妖怪。梁田清之さんが声を担当しているのもあって、同モチーフと思しき「ゴーオンジャー」のヨゴシュタインを彷彿とさせます...というよりそのものに見えます(笑)。
戦隊において、フランケンシュタインのモンスターをモチーフとする怪人・怪物は多くはありませんが、上のヨゴシュタイン(およびヨゴシマクリタイン)と、「ジュウレンジャー」のドーラフランケが特に強いインパクトを残します。ドーラフランケは素面の役者が服を着ているだけのように見える、戦隊史上でも稀なデザインで、明らかな怪人としての造形物は目から上の被り物と、大きく造形された手袋のみ。これが殊更不気味で、当時の子供達のトラウマになったであろう事は想像に難くありません。まあ、その後ゾンブフランケ、サタンフランケといった具合に変化し、その際は純粋な怪人の造形物となるのですが、印象に残るのはやっぱり第一形態というわけで...。
話が逸れましたが、今回のフランケンは自身が機械であるという事にプライドを持っている設定で、他の機械をストップさせまくるという単純明快な能力を有しています。十六夜九衛門にとっても予想外に好都合であったらしく、風花達の遊びに来た遊園地がパニックとなり、恐れの収集が捗っています。オリジナルのモンスターは機械ではなく有機体(要は死体)の継ぎ合わせですが、やはり首に巨大なボルトが刺さっているというトータルイメージのインパクトが、彼を機械として世間に認知させているようです。
ところで、フランケンシュタインって、モンスターを作った人の名前であって、モンスターの名前ではないんですよね。ドイツ語の語感がガッチリとはまってしまい、また「怪物くん」の影響等もあって、特に日本ではフランケンシュタインと言えばこのモンスターになってしまいました。固有名詞がないので仕方ないと言えば仕方ないのですが、どうも個人的にずっと違和感を引き摺っています。
有能すぎる凪
凪の能力は、これまでチラチラと「説明」されて来ましたが、前回のような戦力に関する明確な描写を除くと、やや直接的な描写に向かないものである為か、かなり地味で不明瞭なものでした。
しかし、今回はいわば「風花の接待」という題材を得て、遂に凪の本領発揮といった具合の展開となったわけです。旋風が頭を下げて凪に感謝する程の能力とは...?
まず、リサーチ能力が凄い。霞のように瞬発的にアイデアを出すタイプではなく、凪は資格マニアという設定が示す通り用意周到。ガイドブックに付箋を貼るといった部分に、その資格マニアっぷりが垣間見られて良いです。風花の好みや行動パターン、心理等、全てリサーチした上で遊園地の経路まで計算しているという驚愕の仕事っぷりは、常人を超えています。
次に、人の使い方が巧い。待ち時間を最短にする為、的確な指示で天晴達に調査を指示する等、今回の参謀は凪。彼が完全に主導権を握っています。凪の人当たりの良さも手伝って、その事に不満を言う者も皆無。基本的に天晴達も遊びに来ている事には変わりないので、旋風の風花へのサービスを第一優先とする必要はないのですが、その辺りに疑問が生じないのも凪の献身性故ではないかと思います。
フランケンとの戦闘では、主導権を天晴に譲っています。それは、自分の能力を理解しているという事に他ならないでしょう。それでも、戦況を左右する忍術を的確に繰り出す辺りに、凪の巧みさが発揮されています。いやあ、今回の凪は本当に格好良いですね。
旋風と風花
微妙なお年頃をややデフォルメして描いたのが今回の風花で、旋風がそれに翻弄される描写は実に微笑ましい処です。
とにかく、凪が「お膳立て」したシナリオに都度満面の笑みで喜ぶ風花には、諸兄諸氏もKOされた事でしょう(笑)。娘と微妙な距離を感じている父親像を、的確かつコミカルな芝居で魅せる旋風との対比が、実に爽やかでしたね。
冒頭にも書きましたが、今回は風花が一切戦闘に参加しないという異色回。名乗りも霞の「代返」(←この辺りはさすが大学生)という驚愕仕様で、徹頭徹尾、風花が楽しんでくれればそれでいいという姿勢が貫かれていて驚きました。変身不能の状況でもないのに、このような展開を持ってくるとは思いも寄りませんでしたね。
やっぱり霞無双
今回は、風花に知られないまま事態を解決するというミッションをやり遂げる為、ターゲットに接近する役割を担っていた霞。まあ要するに、風花を騙す役割を負っていたわけですが、所々かなり苦しい言い訳を披露しつつも、旋風と風花の気を逸らす「接待」の的確さは、女子大生のそれを超えていますな(笑)。常に冷静な霞も、今回はドタバタ劇の最中で、しかも身内相手の駆け引きだった為か、やや慌てている様子が見られて面白いです。元々クルクルとよく表情の変わる役者さんなので、こういう回は魅力ですね。
そして、紙エプロンをしたまま変身して天晴達と合流するような慌てっぷりを発揮しつつも、ちゃんと風花のオトモ忍手裏剣を拝借していたりと、やっぱり抜け目のない処を見せてくれます。後で何が起こるかという事を予測して行動しているのが笑えますね。まあ、予定調和を生む為の便利キャラとは紙一重ですけど、そういうヒロイン像って新鮮ですからね。
次回はまたまた風花がターゲット?
次回は戦隊でよくある「アイドルデビューもの」のようですね。このテの話は表層が面白いだけでなく、楽屋オチもふんだんに盛り込まれるのでじっくり観る必要があります。夏バテ気味の頭脳と身体にレッドビュートを打ち付け、集中致しましょう!
竜門 剛
フランケンって、正確にはフランケンシュタインの怪物、という意味なんですよね。ドラキュラも個人名で、モンスター名で言えば吸血鬼でしょうか。出身はやっぱりルーマニアあたりですかねぇ。
観光目的のフランケンの最重要地点がアキバというのが何とも今風ですなぁ(苦笑)。でも、アキバにならあーゆー人(?)がいても違和感ないかもしれません。
風花の気まぐれで、ちょっと我儘なところが、今どきの女子高生というものなのでしょうか。独身のわたくしにはわからないところですが、世のお父さんたちは、もっと苦労なさっているのでしょうね・・・。一家にひとり凪先生がほしいところです。
こういう内緒ネタは、最後にバレるというパターンもあるのですが、シロニンジャーが最初しか登場しないというところは、本当に徹底していましたね。
天地人
今回のフランケンですが、元がゴレンジャー49話に出てきた、ヨーロッパの某国で開発された親衛ロボット・フランケン1号が手裏剣の力で改良(進化)された妖怪だったら面白かったんですけど(笑)
ホント、フランケンはヨゴシュタインにしか見えませんでしたね。
しかし、やっぱり海は無しですか(涙)家族サービスだったらプールでも良かったのに(って、まだ言うか)
あと、十六夜九衛門にとって有明の方を復活させたのは良かったんでしょうか、せっかく集めた恐れ恐れをシワ消しに使われてしまうって(苦笑)まあ、集めた恐れを全部使われる訳ではないでしょうが、もしかすると、それ以上使われたりして・・・
それではまた