「夏休みスペシャル」と題して届けられた季節ネタ編。まずは「肝試し」が題材。霞編と思わせておいて凪編に推移しつつ、結局霞編だったのが分かるという回転構造が楽しい一編でした。
凪に関しては、獅子王編から少しずつ展開されている弱点克服譚が色濃く、霞に関しては、ニンニンジャー最強説を更に補強して殆どネタキャラにしてしまった処が可笑しく、巻き込まれて狼狽える風花の可愛らしさや、その周辺をうろうろする滑稽な男性陣のコミカルさ等、際立った演出が見事です。
ユキオンナ
この猛暑の中、涼しそうで羨ましい妖怪です(笑)。
雪女のイメージを忠実にトレスしつつ、着物とかき氷製造器を巧く融合させた優雅な出で立ちが特徴。雪女は、恐らく日本の妖怪の中でも、怪談という面でかなり恐ろしい部類に入ると思いますが、どこか物悲しい雰囲気を纏っていて、今回のようにコミカルなエピソードには似つかわしくないモチーフでしょう。しかし、季節外れの時期に呼び出された事を嘆くといったシーン等にそのイメージが投影されていて、キャラクターの性格がちゃんと担保されている事には感心しました。
能力としては、対象を凍結させるという雪女そのものの能力。次々に凍らされるニンニンジャーのメンバーのビジュアルはコミカルではなく、むしろ不気味な雰囲気を強調しており、怪談物のセオリーに則った作りになっていました。
有明の方
毎週言及しちゃってますが...。とにかく面白いですね。そして遂に晦正影が登場しない回が出て来ました。
気まぐれな面が登場回数を重ねる毎に強調されていますが、ラストで西洋妖怪を呼ぶといった幹部らしい面も発揮していて侮れません。今回は、口喧嘩で霞に負けるという失態もありましたが、それはそれで思慮の浅さが魅力となって映る辺り、なかなか凄いと思います。
今回、とにかく暑い事に対する不満を口に出していましたが、その意味では最も視聴者が感情移入しやすいキャラクターだったかも...知れません。
肝試し
肝試し自体、近年は殆ど廃れてしまったのではないかと思いますが、どうなんでしょう。
私が子供の頃は、地元の子供会や自治会がお寺や墓地で何かをする事を許容(というより推進)していたので、肝試しは定番の「行事」でした。まあ、田舎という事も手伝っての事でしょうけど。今ほど夜も暑くなかったですし、お寺も子供達の遊び場の一つでしたからね。
後年、テレビから怪奇モノの特番が一斉に消滅した辺りから、こういった肝試しのようなものは急激に廃れていったように思います。徹底的に設えられた、安全性の担保されたお化け屋敷といったものは現在もありますが、自治会レベルで素人の手によって行事として行われているという話は、私の周辺に限れば皆無です。
今回の、特に八雲の落ち武者の扮装のように気合いの入った「仕掛け」はコンテンツとしては非常に面白いのですが、果たして昨今の子供達にとってリアルな風景かどうかは分かりません。寂しい限りですが。
ところで、前述の八雲を筆頭に、キンジの似合いすぎるゾンビや、凪の何故かちょっと可愛らしい定番の幽霊、そして自分の苦手なモノのみに忠実に従った天晴の赤ピーマンお化け...といった具合に、それぞれが秀逸なスタイルでノリノリに演じています。これが実に楽しそう。その前に作戦会議を行う際の、場所をコロコロ変えてその都度円陣になる演出も、コミカルさが際立っていて素晴らしいものでした。とにかく仲の良さが強調されている上、普段はクール(を装っている様)な八雲がそのノリに巻き込まれるような一幕が特に可笑しさを生んでいましたね。
風花
今回の最大の被害者は風花でしょう。その被害者っぷりに萌える事間違いなしです(笑)。何しろ、霞には凪やユキオンナを騙す為のメインアクトとして利用され、凪達の肝試しの洗礼を受け、肝試しのネタバレ後にはユキオンナの恐怖に晒され、遂には凍らされるという目に遭っていますから。
というわけで、実は今回の風花は、凪以上に八面六臂の活躍。色々な表情を多くのシーンで見せてくれます。怪奇譚の定番とも言える、高校生コンビのちょっとくすぐったいような密着シーンも盛り込まれていたりと、見せ方の巧さも特筆モノです。
凪
今回は、他人に頼り気味という弱点を、凪が克服するというテーマを有しています。
いち早く上級忍法のコツをつかみつつある霞に教えを請う凪。そんな「近道」を探る凪に、霞が獅子王と同様の指摘をするのが冒頭のシーン。すったもんだあって、霞の策略にまんまと引っ掛かった凪とユキオンナの対峙において、凪は自分一人の力で何とか事態を打開せねばならない状況に追い込まれます。そこで凪は上級忍法を繰り出して何とかユキオンナを翻弄する事に成功するわけです。
この一件で、ニンニンジャーの中では突出して普通の少年である凪にも、忍者としての高い素質がある事が示され、一方で、やはり霞にはまだまだ頭が上がらない弟分である事も示されます(霞の場合、天晴すらも手玉に取る「最強」説が劇中でも公然と語られるようになっていますが...)。
1クール目では、いわゆる「キャラ立ち」が困難な設定に足を引っ張られているような雰囲気すら漂っていた凪ですが、徐々に美味しいポジションを獲得して来ていると思います。特に女性メンバーとの共演があると、そのキャラクター性が際立つようですね。その意味でも美味しすぎるわけですが(笑)。
最強の女子大生
そして、霞です。
ユキオンナの発言から瞬時に作戦を思いつき、咄嗟に「幽霊が怖い」と風花に耳打ち。凪とユキオンナにそれが聞こえるようにした辺り狡猾! エピローグで実は超常現象が大好物だと明らかになる辺り、もはや霞に対する恐怖を煽っているとしか思えません(笑)。
凪が肝試しを思いつく事も計算内。その肝試し作戦が敵側に漏れ、ユキオンナがおびき出される事も計算内。身代わりの術まで繰り出して自分の行動不能を偽装し、迂闊な天晴達が凍結されるのも計算内。慎重派の凪だけがそれを逃れるのも計算内。孤立した凪が自分の力で上級忍法を会得するのも計算内。いやはや、実に恐ろしい事です...。
結局、霞の怖いものなんて無いと言わんばかりに、海に行きたいという主張を織り交ぜるエピローグ。件の海のシーンがなかったのは残念ですが(笑)。
いずれにせよ、霞ファンが増えたであろう事は間違いないでしょう。
西洋妖怪!?
鬼太郎等でも強敵として扱われている西洋妖怪ですが、やはり「舶来物の違和感」は物語を活性化するわけでして、「ニンニンジャー」に大きなインパクトを与える予感があります。ラスト、彼等が日本へ乗り込んでくるシーンも用意されていましたが、よりによって飛行機で来るという、ツッコミ処満載のシーンだったのが衝撃。「仮面ライダー」における幹部招聘のパロディ(実際に空港に降り立つようなシーンはありませんでしたが)なんでしょうけど、可笑し過ぎて逆ベクトルのインパクトが...。
一応、オオカミオトコがメンバーの中に居るそうなので、キンジの過去にまつわるエピソードもありそうですね。全体的に夏休みらしいコメディ編が続くと思いますが、ちゃんとシリーズのポイントを持ってくる辺り、ぬかりはなさそうです。
優人
いつも楽しく拝見させていただいています。
今年はメンバー全員が、物語にバランスよく配置されているように感じます。今回は凪&霞編ですが、その他のメンバーにも見せ場といえるものがちゃんと用意されていました。そのあたりはメインライターの下山健人さんの戦隊の描き方かと思います。
それと、ここで書くことではないとは思いますが、仮面ライダー555の木場勇治役、泉政行さんが死去したと報じられました。
http://ameblo.jp/izumi-masayuki/
仮面ライダー555は、平成仮面ライダー第1期の中で一番好きな作品でしたし、第2の主人公としてとても好きなキャラクターでした。何より35歳なんて若すぎます。まだまだこれから活躍の幅が広がっていくと思っていたので、本当に残念です。
SirMilesから優人さんへの返信
ありがとうございます。
泉さんの訃報には衝撃を受けました。
大変雰囲気のある役者さんだったので、これからの活躍にも期待しておりましたが…。
まだまだこれからという年齢、本当に残念に思います。
竜門 剛
近年の肝試しと言うと、本当の心霊スポットを訪れるという、冗談抜きでアカンやろ、な物が多いみたいですね。私自身は、そーゆーのは苦手なので遊園地なんかのお化け屋敷もほとんど入ったことがありません。
で、本編ですが、結局一番怖いのは霞姉だったというオチ。真夏の雪女というのもネタ的にとても面白かったですね。自分で季節外れとか・・・(汗)。
それにしても風花は本当にとばっちり。初期のドジっ子というより不幸キャラになりつつありますね。
泉さんの訃報には私も驚きました。本当にまだまだこれからという年齢、自分より年下の方が亡くなるというのは、もう何と言っていいやら・・・。ご冥福をお祈りいたします。
SirMilesから竜門 剛さんへの返信
いつもコメントありがとうございます。
やはり自分よりお若い方の、そして印象深い方の訃報はショックですね。
安らかなることを祈るばかりです。
天地人
今回は真夏の雪女というより、真夏の霞姉な話でした(汗)
妖怪で西洋というと、変身忍者嵐を思い出しますが、ここはやっぱり夏の海が怖いので、ぜひ海だ水着だをやって欲しいのですが・・・無理でしょうね。
泉さんの訃報ですが、555終了後、「科捜研の女」などに出ていて、活躍してるなと思っていただけにホントビックリしました。
神戸みゆきさんもそうですが、まだまだこれからだったのに、ご冥福をお祈りいたします。
SirMilesから天地人さんへの返信
いつもコメントありがとうございます。
海だ水着だは切望するところでございます(笑)。
ところで、泉さんはまだまだ活躍を拝見したい役者さんでしたね。残念です。
神戸さんも旅立たれてから早7年の歳月が流れようとしています。やるせませんね…。