初回、色々な意味で衝撃的でしたね~。今回もパイロット編を兼ねていますが、順当にメンバー紹介編となっています。
メンバー紹介編、まずは、八雲から。
忍者でありながら忍術への興味が希薄で、しかも魔法学校に海外留学しているという、ある意味「ニンニンジャー」の何でもあり感を象徴する人物です。しかし、単なるネタキャラではなく、忍術に対するカウンターとしての魔法を巧く機能させて、ニンニンジャー代表としての天晴に対する批判者のポジションを獲得しています。
勿論、近年の戦隊シリーズの作風に準じているので、その「批判」は今シーズンの雰囲気にまで切り込むような事はありませんが、八雲を由緒正しいブルー(「ゴレンジャー」のアオレンジャーを指して言ってますが)として紹介するには大変有効だったと思います。
天晴と八雲
忍者である事に迷いも疑問もなく、祖父を崇拝している天晴。一方、忍術よりも魔法に有効性を見出し、祖父の凄さに懐疑的な八雲。この両者の対立(?)が今回の縦糸になります。
レッドとしての天晴はやはり作品のアイコンですから、こういうキャラクターで正解。ただただ愚直に忍者としての使命感に燃えているというよりは、祖父を尊敬しまくっているが故の言動になっている辺りが非常に巧く、現代の皮膚感覚に合致しているのではないでしょうか。牙鬼と戦うというよりラストニンジャの称号を目指すという方向性も、今回は特に顕著ですが、どことなくスポーティであり、それが血統モノ特有の重さを払拭しているのではないかと思います。
八雲は、前述の通りアオレンジャーを代表とする、「クールなブルー」の一般イメージを体現しているように見えます。
アオレンジャー=新命明は、参謀という肩書が似合う人物で、メンバーの中で唯一の隊長経験者。隊長未経験の海城剛がアカレンジャー=リーダーに抜擢され、能力的に海城よりも優れる新命(実際に宮内洋さんのキャリアもあってか、そのような描写が多い)がサブリーダーとなる采配でしたが、今回の八雲も、天晴より優れた能力を持ちながら、一歩引いたポジションに居るわけです。
ただ、まだまだ五人とも駆け出しの身なので、完全に能力の優劣は付けられない...というのが今回の肝。魔法の知識を活用して忍術を器用に使ってみせる八雲、他方、戦闘となれば突如忍術を使えるようになっている天晴。この秀才型と天才型の対比が鮮やかです。「ゴレンジャー」の話ばかりしてしまいますが、ゴレンジャーストームを最後に蹴り込めるのはアカであり、そこに確実かつ的確なパスを回せるのはアオだったわけで、この二人のポジショニングが、今回にも確実に継承されています。
なお、話の最終段では、八雲もラストニンジャを目指すとの決意表明をしており、彼が単に斜に構えたクールガイではなく、奥底に負けず嫌いの熱さを持っている事が示されます。天晴とは違う道で修練し、天晴と同じゴールを目指すという爽やかなラストは、二人の個性を際立たせていました。
忍タリティ
今回の造語の中で最もインパクトのある言葉が、この「忍タリティ」でしょうか。忍術の修練度を現すであろうこの語は、「バイタリティ」、「メンタリティ」辺りから引用されているので、単なる経験値とは違うニュアンスを与えられています。もっと精神的な高みとでも言いましょうか、何となく数値化出来ない曖昧さがあります。
今シーズンは、次々に登場するガジェットを使いこなす為の修行が盛り込まれるようなので、それを一つずつこなしていった結果、忍タリティが高まるという解釈もありつつ、それに伴う精神的な成長をも言い表す語でもありそうです。ラストニンジャたる者は、最も忍タリティを高めた者であるべきというテーゼが存在するので、シリーズ全体を貫くテーマを現す語という理解をしておけば宜しいかと思います。
風花
初回もドジな妹キャラとして鮮烈な印象を放っていましたが、今回はドジ属性に不運属性が加わって大変な事になっていました(笑)。特に修行シーンでメンバーの失敗が次々と降りかかるくだりでは、泥メイクや水浴び、果ては金だらいの脳天落下等、正に体当たりシーンの連続。撮影時期を考えると、水浴びは厳しいですよね...。
水と言えば、今回はカッパの被害者が次々と水落ちするシーンがあり、実に寒そうで気の毒でした。この気の毒感は「恐れ」というにはちょっとズレていて、またそれが面白かったですね。
変身後の戦闘でも、シロニンジャーは仕草が色々と工夫されていて面白いです。高所に座って余裕を見せたり、モモに良い処を持って行かれたりといったカットが楽しい。
霞
今回の霞のフィーチュアは意外でした。育ちの良さを感じさせる言葉遣いと雰囲気でありながら、ストレートな言葉で状況を鋭く指摘するという「毒舌キャラ」という設定ですが、今回は「毒舌」とはちょっと違うような...。
むしろ、一歩下がって人間関係を観察し、そっと背中を押すという「お姉さんキャラ」の方が強く出ていたのではないかと思います。今シーズンはメンバーの平均年齢が低いので、まだ高校生の山谷さんがそれを担当しても特に違和感がないですね。クライマックスの変身前では、一人だけかなり後ろの方から現れるという構図があって、その奥ゆかしい格好良さにシビれました。お姉さん型のピンクは最近では珍しいと思いますが、「シンケンジャー」の茉子がかなり近いキャラクターですね。
一方で、まだ霞の忍者としての能力がよく分からないので、今後が楽しみです。
旋風、好天
後見人二人体制という事で、早速二人の違いを打ち出してきました。ざっくり乱暴な区分をすると、旋風は知識派で好天は実践派。旋風が寺子屋風の内装で「授業」をしたかと思えば、好天は道場風の内装へと瞬時に換えて力試しを行うという、鮮やかすぎる対比っぷり。しかも、ずっと五人の傍に居て面倒を見ている旋風に対し、好天は気まぐれで神出鬼没。その上、好天はミステリアスな雰囲気よりもファンキーな雰囲気が重視されている感もあり、本当に独特です。
天晴が挙げる「じぃちゃんの凄さ」も、何故か忍術とは関係ない「伝説」ばかりで、一層好天のキャラクターをファンキーなものにしています。
カッパ
定番中の定番妖怪ですが、モチーフを消火器に採った事で、これまでのイメージとは一線を画す仕上がりに。特に「メインカラーが赤のカッパ」というのは鮮烈でした。ちゃんと相撲をとっている処が可笑しくて嬉しいですね。
炎の忍術に消火剤で対抗するというギミックも良かったです。
巨大戦
今回もパイロット編とあって、様々に工夫を凝らした特撮カットが続出。メインは空中戦になっていて、必然的にドラゴマルが中心となりますが、アオ回という事で段取りの良さが光ります。スピード感やカット割りの巧さは鉄板で、情景ミニチュアの精度の高さも素晴らしいですね。
組み替え合体の一種である「シュリケンジンドラゴ」は、基本的に左腕と胸部を入れ替えたものですが、シルエットがガラッと変わる秀逸な構造になっています。久々にトイを触りたくなる楽しさだなぁ...。
雑感
今回はリーダー&サブリーダーの思想的対立(?)によって、周囲のキャラクター性も少しずつ浮かび上がってくるという、面白い構成でしたね。ギミックも相変わらずてんこ盛りで、情報に付いていくのが精一杯な部分もありますが、ガジェットやギミックを見せつつも、それをメインとして意識しておかないと話が分からない等という事はなく、見た目が賑やかで楽しければいいと割り切っている感じが良いです。
人間関係も結構爽やかにまとめられていて、さながら部活モノのようですし、かといって落ち着きがないわけでもないので、安心して見られます。
次回は復活したての幹部がいきなり出陣! その上で凪がメインを張るという事で、どのような展開になるのか楽しみですね。
天地人
シュリケンジンドラゴですが、見ていて忍者戦士飛影を思い出してしまいました。
あと、まさか風花に汚れ役(ん?)をやらせるとは思ってませんでした、さすがに金だらいの脳天落下は(笑)
四十八の体位(おいっ)じゃなくて手裏剣を集めるという事ですが、話数が足りないような気も(おいおい)まあ、そこは劇場版やったり、ゴーカイジャーのように一気に冒頭で3つ位集める描写があるかもしれませんね。
とにかくあと3週はキャラ紹介編も兼ねての展開でしょうし、本格的に動き出すのは4月からでしょうか。
(と言いつつ、来週から動き出しそうですが)
とにかく次週が待ち遠しいです、それではまた。
竜門 剛
インタビューで読んだのですが、八雲役の俳優さんは左利きだそうで、アクションに苦労しているらしいです。素手ならともかく、今回は刀を使うのが前提になっているので大変でしょうねぇ。
それでふと思ったのですが、左利きというのは、キャラ付の一つとして有効だと思うのです。個人的にクールなキャラは左利きというイメージがあるので。
変身ポーズや、五人そろっての決めポーズなんかは無理でしょうけど、個人アクションでは左利きで、というのもアリなのではないかと。
アクションについては素人なので、スーツアクターさんに左利きが少ないとか、殺陣の関係とかで難しいかもしれませんが。