根来はM・Pによって遂に記憶を消去され、突き止めた一切の真実を葬られてしまう。新宿地下のビーストによる連続失踪事件は、新種のウイルスによるものと情報操作された。
TLT-J緊急査問会では、孤門が持ちうる姫矢准の情報の開示を求められていた。孤門は切々と姫矢の懸命の戦いを語る。続いて凪と和倉も同様の査問を受ける。焦点は姫矢との接触時に両隊員が報告を怠ったことにあったが、凪が報告しなかったのは、幼少期のトラウマによるものと説明された。18年前、アメリカ・コロラド州で凪の母親-西条ナミ-と父親はビーストによって殺害されたのである。凪の両親は科学者だった。
続いての焦点は、姫矢の消息についてだった。孤門は「光は絆だ」という姫矢の言葉を聴いたと返答する。孤門は姫矢の生存を確信していた。
「光は絆」。松永は、ウルトラマンの光がデュナミストに受け継がれていくという情報を得ていた。ファースト・デュナミストは元航空自衛隊のパイロット。そのデータは既に消去済みであった。吉良沢はその発言が迂闊だと指摘、TLTは一つの意志で統率されているわけではないとする。吉良沢は、姫矢准の力の調査に関するデータが20分前に消去されたと語る。ウルティメイト・バニッシャーはその使用を封印されてしまった。
そして、新たなビーストの出現と共に、新しいウルトラマン「ザ・サード」も現れた!
解説
TLT-J緊急査問会という体裁で、総集編を構成したエピソード。振り返られる内容は単なる総集編の域を出ないが、査問会の席上やその後の余談で語られる情報に一定の新鮮味が。今回はそれらをざっと列挙してみることにする。
まず、凪の両親がアメリカ・コロラド州で何らかの研究をしていたらしいこと。母親は「ナミ」という名前であること。両親とも18年前にビーストに殺害されていたこと。
次に、姫矢以前のデュナミストが存在したという情報が、何らかの形で残存していること。それらの情報は隠蔽されたものと思われるが、隠蔽は不完全だったようだ。「元空自のパイロット」という発言も飛び出し、これで「ULTRAMAN」との関連性が劇中で明確化された。
第3に、TLTの上層部が「来訪者」に関する取り扱いについて意見の対立を生んでいること。それは姫矢准に関する情報の消去という、松永にとっては青天の霹靂とも言うべき事件に現出することになる。
そして、「君が3番目だ」との吉良沢の言により、青いジュネッス形態を持つウルトラマンが姫矢ではない別のデュナミストの変身であること(…ってもう皆知っていることだけど)。
以上が今回提示された情報である。視聴者にとっては殆ど周知の事実ではあるが、劇中で明確にされたことに意義がある。
一方で、キャラクターの変遷にも注目したいところ。特に根来はM・Pによって記憶を消去されるという意外な展開を与えられた。恵は明確に記憶を消された描写がないのだが、異なる位相から自力で脱出するのは不可能であり、ナイトレイダーに救出された後にM・Pへと引き渡されたと考えるのが妥当だ。だからこそ、姫矢はきっと生きているという希望的観測で笑顔を作ることが出来たのだ。