Episode 18 黙示録 -アポカリプス-

 凪が行方不明になった。逃亡罪に問われれば記憶消去もやむをえないとする松永管理官に対し、和倉隊長は凪の捜索を宣言する。溝呂木に会いに行った凪を探すべく、松永管理官の計らいで孤門も同行した。

 当時の溝呂木について語る隊長-。溝呂木はビーストハンターとしては破格の才を持つ男であり、凪に同様の資質を見出した溝呂木は、彼女を徹底的に鍛え上げる。凪は溝呂木に劣らない戦闘力を身に付けていった。隊長はそんな彼らに漠然とした不安を覚えたのだった。

 溝呂木との一時を回想する凪-。ビーストを復讐のために殲滅したいと言う凪に対し、溝呂木は死にたくないからビーストを殺すのだと告げる。その頃、溝呂木は度々謎の遺跡の夢を見るようになっていた。

 遂に溝呂木と対峙する凪は、溝呂木から「本当の自分」メフィストとの出会いを聴かされる。あの夜、溝呂木は一人ビーストへの接近を試み、ダークメフィストに出会った。人間とビーストの弱肉強食の世界へと引き込まれた溝呂木は、メフィストと一体化したのだ。

 溝呂木に引き込まれそうになる凪は、和倉隊長と孤門によって救われた。そこに姫矢も現れ、溝呂木はダークフィールドを展開しガルベロスを呼び出す。姫矢がウルトラマンだと知り驚く隊長。ウルトラマンとガルベロスの戦いが始まった。ガルベロスをサポートする溝呂木を、凪は容赦なく銃撃した! 「最高だぜ。凪」溝呂木はその場から姿を消す。

 疲労した姫矢はその場から立ち去ろうとするが、凪は彼に銃を向ける…!

解説

 前回に続き、溝呂木の過去が語られるが、その内容は前回よりもさらに核心を突いた構成。和倉、凪、そして溝呂木自身から彼の過去が順序よく語られていく構成が秀逸。少し「現在」のシチュエーションが分かり難い部分も見られたが、「溝呂木に会いに行った凪を救う」という単純なテーマが貫かれた為、このあたりの疑問は物語上の支障にはならない。

 さて、本エピソードでは、溝呂木の人間性により接近しているような印象がある。死を恐れて力を欲すという、人間の本能に近い部分の欲求にいつも追われていた彼は、遂に極限への欲求に身を任すに至る。その道程で、姫矢の夢に酷似した幻視を繰り返している。この図式はウルトラマンとメフィストが表裏一体であることを強く印象付ける。実のところ、同じシチュエーションでも溝呂木の感情の方がより人間的かも知れない。闇に魅入られる脆さ、それが姫矢と溝呂木の分岐点であるが、姫矢のどこか神秘的なイメージはこういった「人間性の希薄さ」に由来するものと思われる。

 ファンとしては、回想とはいえ、色々なビーストを見られたことがちょっとした喜びであろう。溝呂木在籍時のナイトレイダーが、バグタイプっぽいビーストとカエルのようなビースト(こちらは何となく可愛い)を撃破するシーンが丁寧に作られており、なかなか楽しめる。また、溝呂木がメフィストと出会うシーンでは、10メートル級のメフィストが登場。ファウストも以前このくらいの大きさで現れたことがあり、人間に近い位置での遭遇は見る者にインパクトを与える。ここでのメフィストの、いかにも悪魔的な姿勢も必見。このシーンではメフィストが溝呂木自身の声で語っており、ファウストは溝呂木の内面が表層に現れた姿だとの解釈も可能だ。

 回想に終始したわりには適度なスピード感を維持した筋運びで、クライマックスにちゃんとウルトラマン対ガルベロスの決戦を持ってくるあたり、結構ポイントが高い。その盛り上がるクライマックスにおいて、ダメ押しのように凪が溝呂木を撃つのが凄まじい。しかしこれは、溝呂木との思い出を凪が乗り越えたというより、ビーストの戦いにいつも勝利しようとする凪が「弱肉強食の世界」に足を踏み入れたとする方が正解ではないか。だから、「最高だぜ」と溝呂木は言ったのだ。

 最後に、気になる石堀と詩織について一言。石堀は「縁の下の力持ち」に徹するあまり、詩織に対する興味があまりなさそう。一方の詩織はマイペースに現状を楽しむ術を心得ているようであり、これまた石堀に特別な感情はなさそう。しかしながら、この2人の雰囲気は何故かいい感じなのが面白い。