Episode 10 突入 -ストライク・フォーメーション-

 リコを助け起こした孤門は、リコの手の中に凪のネームプレートが握られているのを見る。凪は、リコに「溝呂木に会ったのね」と問い詰める。M・Pは救出したリコの記憶が欠落していると判断した。

 ナイトレイダーではビーストの分析が行われていた。ビーストの可燃性ガスは、接触するだけで爆発することが判明した。ウルトラマンのメタフィールド内で殲滅する作戦が吉良沢によって立案された。「都合よくウルトラマンが現れるのか」という凪の疑問に対し、孤門は「彼は味方だから必ず現れる」と半ば感情的な言をぶつける。

 ラフレイアのコードネームを与えられたビーストが出現、ナイトレイダーはスクランブル。同刻、姫矢はウルトラマンに変身し、メタフィールドを展開する。チェスターはストライクチェスターに合体し、メタフィールド内への突入に成功する。

 そこへファウストが出現、またもダークフィールドを展開する。ダークフィールドの影響でチェスターの機能に異常が発生する。ストライクバニッシャー1発分の武装しか使用できない状況で、孤門は粉塵爆発を利用したラフレイアとファウストの撃退に成功する。ぎりぎりでフィールドを抜けたチェスターは墜落寸前! それを救ったのはウルトラマンだった。

 あらゆる記憶の欠落と彷徨に心神を喪失していたリコは、自分の存在を確かめるかのように、孤門とキスを交わすのだった…。

解説

 抜群にカッコいいナイトレイダーの活躍が堪能できるエピソード。さらにリコとファウストの関連性を匂わせる場面が配置されたり、これまで「あの男」と呼ばれてきた人物の名が「溝呂木」であるらしいことが判明するなど、色々な意味で重要な一本だ。

 ストライク・フォーメーションは、凪によっていとも簡単にやってのけられるのだが、これはその後の孤門の機転を強調するためにあっさりと演出されている。メタフィールド内に突入する手順がまたも細かく、専門用語の連発でリアル感を生み出している。今回の白眉は何といっても「お前の信じるウルトラマンを援護して見せろ!」という隊長に答える孤門の活躍だ。孤門に飛行パターンを指示され即応する凪もいいし、ウルトラマンとアイコンタクトするなど、孤門を中心にナイトレイダーとウルトラマンの連携が行われる場面構成が秀逸だ。ウルトラマンが墜落寸前のチェスターを助けるという発展的な一コマも見られ、思わず目をそらす凪が何とも芸コマである。

 一方、孤門とリコのある種悲劇的な展開がドラマを牽引する。執拗に右足の怪我を強調する場面は、もちろんファウストがウルトラマンの光弾を受けた箇所との同一性を語るもの。リコは孤門との出会いの記憶を喪失しており、このあたりも何らかの謎を含んでいるものと思われる。

 ファンにとってのサプライズは、実はラストシーンかもしれない。恐らく、TVシリーズで主役のキスシーンが描かれたのは今回が初。映画を含めても、ティガ「ファイナル・オデッセイ」くらいだろうか。