ウルトラマンとファウストの激戦は続く。不利な戦いの中、反撃の機を掴んだウルトラマンは、ファウストを追い詰める。ファウストは「それでこそ戦う意味がある。また楽しませてくれ」と言い残し、去っていった。姫矢は疲労困憊し、ストーンフリューゲルの中に消える。
一方、孤門を助けに現れた凪は、ナパームを使用せずに通常弾でビーストを攻撃。殲滅作戦よりも救助を優先させる行動に出た。追い込まれた凪は、合流した和倉隊長らの冷凍弾に救われる。凪は孤門と里奈が安全圏にあると判断し、ナパームでビーストを消滅させる。凪は里奈に笑顔を見せるが…。事件は収拾を迎え、沙耶が現れて生存者である里奈を確保する。
事件後、孤門は独断による行動に対する処分を自ら受けると申し出るが、凪はそんな彼を「安っぽい理想」と痛烈に批判する。
孤門は里奈に会うが、里奈は孤門を覚えてはいなかった。愕然とする孤門の前に沙耶が現れ、M・P-メモリーポリス-の意義を語る。知らない方が幸せなこともある。生存者の事件の記憶を抹消し、秩序を維持することがメモリーポリスの使命なのだ。
解説
まだ一つ、設定に関する説明を要する部分が残っていた。それが、「M・P」メモリーポリスに関する設定である。以前、沙耶が記憶を消す場面があったが、それはあくまで「惹き」として使用された場面だった。メモリーポリスの意義と、それに対する孤門の疑問が丁寧に描写された今回は、濃密なドラマ展開により、単なる設定編ではない深みが与えられている。
「秩序優先のためならば何をしてもいいのか」という孤門の問いかけが、序盤の大きなテーマであることが明確になり、ビースト以外の「必要悪」としてメモリーポリスの存在があるとすれば、かつてのシリーズにおける「防衛軍の上層部」とはまた違ったハードな「主人公の敵対者」である。これはかなり重苦しいテーマだと思うが、ナイトレイダーやウルトラマンの一種派手な描写によってバランスをとっていて好感が持てる。
その派手な活躍を支えるものとして、ファウストとウルトラマンの第一戦が前半のみで行われた。格闘戦はやはり工夫されており、ウルトラマンのキックによりファウストがワイヤーワークで吹っ飛ぶ様が今回の白眉だ。後半にウルトラマンを持ってこないという構成が全く違和感を感じさせないのは、ドラマ部分の緊張感ゆえだろう。
細かいポイントとしては、里奈に向けた凪の笑顔。あれは恐らく彼女の本音の現れだろう。どうやら凪は懸命に使命のための仮面を被っているようだ。もう一つ、和倉隊長の頼れる上司っぷり。凪が孤門を怒鳴りつけてもあえてその場は動かず、後からそっと声をかけてフォロー(?)するところが良い。