爽やかな性格だが、アミノ酸の塩基配列に関する論をいとも簡単に口述するなど、その頭脳・知識は一般的な17歳のそれを遥かに超える。それもそのはず、彼は遺伝子操作による人為的なプロセスを経て誕生した「プロメテの子」であった。海洋学を志し、優秀な海洋学者になることを約束されていたが、突然姿を消してしまった。
日本に来て遊園地のアルバイトをしているが、ある日ビースト事件の気配を追い、ビーストが出現したとき、遂に彼は姫矢が光と邂逅した石櫃の幻覚を見る。やはり彼もそこでウルトラマンの光と遭遇し、すぐさまウルトラマンへと変身し立ち向かう。
だが、憐はプロメテウス・プロジェクトにおけるディフェクト(欠陥)の体現者であり、その生命は17~18歳のときに燃え尽きてしまう運命。突然アカデミーから姿を消したのは、周囲に極度の心配をかけ続けている状況から逃避したかったからである。
「光=絆」を次のデュナミストに伝えるべく、自分の光を走りきった。それは生きるための戦いであった。「ラファエル」が果たして彼のタイムリミットに間に合ったかどうかは、街中を自転車で走り抜ける元気な姿を見ることができたことで自ずと想像がつくと言えよう。 (演:内山眞人)
姫矢とは全く異なるキャラクターをデュナミストとして登場させ、物語の方向性を綺麗に変えて見せた。この「適能者の物語」こそが、Nプロジェクトの本質なのではないだろうか。真木、姫矢、憐、三者三様のウルトラマンが同列シリーズの中で見られるという贅沢さが素晴らしい。
憐のキャラクターは、姫矢とは殆ど反対の構造を持つ。姫矢は彼の過去には割と理解が及ぶが、戦う目的がベールに包まれていた。一方の憐は過去が全く不明だが、こと戦いに関してはあまり迷いがないように見える(これは、彼の未来が近いうちに失われる運命だからなのだが)。ちなみに、真木はプライベートにおける問題を、ウルトラマンとしての戦いにも投影したキャラクターだ。