ストーリー
GUYS JAPAN周辺で、赤い幽霊の目撃譚が。一方コノミは最近リムエレキングが現れないことを気にしていた。その夜、CREW GUYSのメンバーたちは実際に「赤い幽霊」を目撃。テッペイは追跡の途中でコノミの幼馴染であるスザキにぶつかる。
スザキとコノミは互いに再会を喜ぶ。他のメンバーはその様子に興味津々。次の日の朝、コノミはスザキとの思い出を語った。小学校の頃、メガネのことでからかわれていたコノミは、スザキに助けられ、「そのメガネ、似合ってるぜ」と言われた。その後コノミが転校することになり、引越しの日にスザキが「頑張れ」と声をかけてくれた。コノミはスザキに勇気をもらったのである。
コノミは夕方にスザキと会う約束をしており、ミサキ総監代行にデート時の服装をコーディネートしてもらうことになった。トリヤマ補佐官とマルは、それを極秘任務と勘違いし、珍妙な変装で尾行。不審者に間違われて警察に連行されてしまう。その頃、テッペイは「赤い幽霊」の正体を突き止めていた。リムを構成している高エネルギー分子ミストが何らかの影響で「赤い幽霊」に姿を変えたらしいのだ。その時、マリナは週刊誌でスザキの記事を見つけた。スザキは俳優だったのだが、傷害事件を起こして逮捕された過去があるという。
バーでスザキと会うコノミは、メガネを外すよう言われる。コノミはスザキが俳優になったことも、傷害事件があったことも知っていた。スザキは友人に会ってくれとコノミに頼む。時を同じくして、釈放されたトリヤマ補佐官は、マルと共に「赤い幽霊」を目撃していた。
次の日、スザキの友人を名乗るヒルカワがコノミに会いに来た。ジョージはそれを見て、ゴシップ週刊誌の記者だと気付く。ヒルカワはスザキと組んでコノミを利用し、ヒルカワの週刊誌のネタ作りとスザキの芸能界復帰の一石二鳥を狙ったのである。激怒するリュウやミライだったが、ヒルカワはその様子すらネタにするつもりであった。コノミは攻められるスザキをかばう。全て気付いていたが、それでもスザキのことを信じようとしていたのだ。その時、異常な電界を捕捉したとミサキ総監代行から連絡が入った。コノミはメガネをかけて出撃した。
出撃したCREW GUYSは、巨大な「赤い幽霊」を発見。それは円盤生物ノーバであった。ノーバの吐く赤いガスによってガンウインガーとガンローダーは飛行が困難に。地上戦に切り替えるも、赤い毒ガスの脅威にさらされる。ミライはウルトラマンメビウスに変身。ところが、ノーバはマケットであり囮だった。別の場所に本体が出現したのを知ったメビウスはテレポーテーションで急行。コノミはエネルギーを消耗して苦戦するメビウスを助けるため、ミクラスを放った。ミクラスに向けて放たれた火炎弾の余波を受け、倒れるコノミ。そこにスザキが現れ、あの頃のように応援を始めた。コノミは精一杯ミクラスに命令し、形勢を逆転。メビウスはメビュームシュートでノーバを粉砕した。
事件後、スザキはコノミに手紙をよこした。「夢をあきらめず、もう一度やり直す。その勇気を君がくれたから。追伸、そのメガネ似合ってるぜ」手紙にはそう書かれていた。スザキは本当はコノミのことをちゃんと覚えていたのだ。
その時、ミライは空に輝くウルトラサインに気付く。「光の国への帰還命令」ウルトラサインはそう示していた…。
解説
物語的に主だった仕掛けもない(ように見える)純粋なコノミ編。以前マリナの少女時代がミステリアスなタッチで描かれたのに対し、今回のコノミの過去にまつわるエピソードは、多分に少年ドラマ風である。
今回、復活怪獣に選ばれたのは、何と円盤生物ノーバ。少々脱線してしまうが、「ウルトラマンレオ」に登場したノーバを知らずに、このノーバを見て「円盤」という肩書きに納得する視聴者が果たしてどれだけ存在するのだろうか。念のために説明しておくと、「ウルトラマンレオ」放映当時はいわゆるUFOブームの初端にあたり、「円盤」という言葉はミステリアスであり脅威の象徴であった。故に「円盤生物」は終末思想渦巻く「ウルトラマンレオ」の世界観に見事合致し、怒涛の悲劇で幕開ける最終クールを飾ったのだ。
ウルトラファンとしては、円盤生物にスポットが当てられたこと自体に胸躍る。円盤生物はどれも個性的なスタイルを有しているが、ノーバはブニョやブラックエンド等と並ぶか、あるいはそれらを超えた個性的な一体であり、この選抜はある意味正解であった。これを期に、未見の方は「レオ」をご覧頂きたい。
さて、本エピソードではコノミのメガネについて掘り下げられるが、ここまで小道具に関するエピソードにこだわったのは、シリーズ中でも珍しい。前例としてすぐに思いつくのは、「ウルトラマンネクサス」における詩織隊員のマニキュアぐらいである(偶然だが、その詩織隊員に関わった石堀隊員役の加藤厚成氏が今回出演している)。実際は、一度でもコンプレックスを抱いたら、いずれはそれを払拭するよう行動する筈である。コノミがスザキ少年の言葉でそれを既に克服しているという理由付けは、有体ではあるがなかなか上手い処理であり、いかにコノミが純粋であったかを物語る。さらに、コノミが真実を知りつつも、どこかでスザキの本性を信じたいと思っていたというくだりは、時間を経ても不変であったコノミの純心が非常によく現れた好シーンだ。
今回はコノミの試着シーンや、ミサキ総監代行のファッションセンスを始め、ジョージがヒルカワの正体に気付いたり、コノミの小学生時代の話を聞いてすぐにミライがウルウル来たり、テッペイが自らの興味対象に夢中になったりと、キャラクターを生かした細かい反応が嬉しい。だが、それが霞んでしまうほど強烈なのが、トリヤマ補佐官とマルの珍妙なコスプレである。トリヤマ補佐官は何故か易者のスタイル。マルはもっと強烈で、ルパン三世の赤ジャケットを着た次元大介という、街で浮き過ぎる格好で登場。トリヤマ補佐官が痴漢に間違われたのは、マルの所為に違いない(?)。
ところで、本エピソードには疑問点も存在する。まず引っかかったのは、「保育士にもなれた」というコノミのセリフ。コノミは「保育士を目指している」という設定だったはずなので、強い違和感を感じた。このあたりは説明を求めたい。また、円盤生物が何故現れたのか全く説明がなく、しかもコノミ側のストーリーとは殆ど乖離しているため、バックボーンすら不明。本来円盤生物は、何者かによって招聘されるべきものである。もしかすると、これは何かの伏線なのだろうか…。
最後に、ウルトラファンがニヤリとしたに違いないシーンを二つ。一つはメビウスがテレポーテーションした際、初代ウルトラマンが披露したポーズおよび特殊効果のパターンが使われた点。直後、カラータイマーが点滅し始めるのも芸コマ。もう一つは「アウト・オブ・ドキュメント」。長い間特撮を見てきた特撮ファンは、多少の設定誤差には目を瞑るワザを有しているもので、「ドキュメントMAC」に記録されていても特に目くじらを立てないと想像できるが、最近のうるさ型ファンをも納得させるような設定の細かさには脱帽だ。かく言う私も大いに納得した。
データ
- 監督
- 小中和哉
- 特技監督
- 小中和哉
- 脚本
- 長谷川圭一