ストーリー
ある夜、東京湾の地底で地底怪獣グドンがうごめいていた。GUYSスペーシーの観測データから、CREW GUYSでも怪獣の存在が推定されていたが、はっきりとしたことは分からなかった。
次の日、リュウとミライはCREW GUYSのメンバーをスカウトしに出かけた。
まずは、保育士の資格を取って一人前になろうと頑張っているコノミのもとを訪れる。しかし、コノミの夢を追う意志は固く、断られてしまう。25年も怪獣が現れなかった上、ウルトラマンまで現れた為に、GUYSに入隊しようとする人など殆どいない、とリュウは言う。
次に、スペインリーグに戻ろうとしているジョージの元を訪れた二人は、「GUYSなんか解散しちゃえよ」と冷たくあしらわれてしまう。ロードレース世界選手権の女性初参戦が、あと一歩で叶うというマリナにも、やはり入隊の意志はなかった。そして、優秀な医学生であるテッペイにも、「父の病院を継ぐことが両親の願いですから」と拒否されてしまう。
苛立つリュウに、ミライは「あの人達は、GUYSのクルーに相応しい人達です」と語気を強めた。リュウは腹を立てて司令室を出てしまう。その様子を見ていたサコミズ隊長は、「他人の力を頼りにしないこと。そのために必要な炎は心のどこかでずっと燃やし続けなければならない。」というセリザワ前隊長の言葉を引用した。リュウは同じセリザワの「俺たちの翼に、炎を描く」という言葉で答え、何かを決意した。
ガンフェニックスの翼にファイアパターンを施そうとするリュウ。そこへ、コノミ、ジョージ、マリナ、テッペイを連れたミライが現れる。リュウは「ウルトラマンに守ってもらえばいい」と思っているヤツらに翼は触らせないとし、「地球は、我々人類自らの手で守り抜かなければならないんだ」と言った。それを聞いた4人は、早速ペイント作業を手伝い始めた。
ペイント作業が終わってホッとしたのも束の間、ついにグドンが地上に出現。テッペイはグドンについて的確に言及する。リュウは出撃スタンバイに入った。ミライはグドンのムチを見切るために、ジョージとマリナの力が必要だとして2人を説得する。2人は不本意ながら、「俺達の翼」ガンフェニックスへと搭乗することになった。メモリーディスプレイを受け取る4人。
出撃したガンフェニックスは、ガンウインガーとガンローダーに分離して攻撃を開始。危機に際して、ジョージとマリナが決意の元にCREW GUYSとしてのIDを登録し、メテオールを発動。ジョージの卓抜した動体視力と、マリナの優れた聴覚で戦局を有利に進めるが、制限時間の1分間はあまりにも短かった。
限界と見たミライはウルトラマンメビウスに変身し、グドンに立ち向かう。街を守る戦いを進めるメビウスは苦戦を強いられるが、リュウとの連携でメビュームブレードを炸裂させ、グドンに勝利。「この日、僕たちは最初の夢をかなえた。」そう思いつつ、たたずむメビウスの姿があった。
解説
「ウルトラマンシリーズ40周年記念」に相応しい祭典的色合いで、ファンの話題をさらった第1話。続く第2話は、CREW GUYSの方にドラマをグッと引き寄せた構成。ミライとリュウを中心に、ガンフェニックスの翼のペイント作業を通じて、それぞれ目標も生き様も異なる人間が一箇所に集結する…。ウルトラシリーズでは非常に珍しいシチュエーションの元、平成ウルトラシリーズが度々垣間見せた「燃える」路線を確立している。
実際に本編を見てみると、リュウがメンバー集めに乗り気でないように見えたり、ペイント作業にミライがどうやって説得し招聘したのかという描写がなかったりと、些か語り足りない感じも見受けられる。しかし、全体的に見ると非常にスピーディでテンポも良く、特にワンダバに乗ってガンフェニックスが飛び立つシーンからの一気呵成は、大きな高揚感に彩られる。
そのワンダバ(「ウルトラマンA」の「TACの歌」を思わせる歌付き!)をはじめとして、前回に続き、昭和ウルトラの要素が多数散りばめられている。それは、あからさまと言えばあからさまだが、ファンとしては悲しいかな喜んでしまう。考えなくて分かるものだけでも、2つ3つはすぐに挙げられる。
グドンの目がゆっくり開くときの効果音。これは「ウルトラQ」、「ウルトラマン」で多用された。「ウルトラマン」科学特捜隊の戦闘機・ジェットビートルや、「ウルトラセブン」ウルトラ警備隊の戦闘機・ウルトラホーク1号の模型が登場するのも思わずニヤリ。メテオール発動の際の効果音は、超絶テクノロジーのソースである「宇宙人の定番UFO音」という説得力抜群の選択だ。
中でも極め付きは、リュウのセリフ「地球は、地球人類自らの手で守りぬかなければならないんだ」であろう。同じ趣旨の言葉は、「ウルトラマン」のムラマツキャップが最終回で既に口に出しているが、このリュウのセリフと全く同じ発言をした人物がいる。「ウルトラセブン」のキリヤマ隊長である。
ただし、キリヤマのこの言葉は、ウルトラセブン=モロボシ・ダンの自己犠牲の姿を目にして、奮起した時に出たものだ。リュウの場合は、ウルトラマンに対するコンプレックスから発言した印象が強い。確かに「ウルトラマンがいればGUYSは要らない」とまで発言したジョージとのコントラストは抜群だが、「使命に燃える」ということと「コンプレックスの突破に躍起になっている」ということの混同によって、今一つリュウの立場が弱いのは否めない。尤も、ミライと共にリュウも成長しなければならないという趣旨は、守られていることになる。
さて、今回の白眉はやはりガンフェニックスの初陣であろう。ガンウインガー、ガンローダーに分離し、メテオールを発動させる為に、CREW GUYSへの入隊を自ら受け入れるジョージ、マリナ。メテオール発動で、従来のウルトラではおよそ有り得なかった、まさに「超兵器」の形容が相応しい活躍ぶりを発揮。メテオールという、適度に小難しいソリューションを用意することで、このような荒唐無稽なシーン作りがリアルに感じられるのだから、やはり時代は確実に流れたのだ。
メビウスに変身するシーンには隊員服のバンクが用意され、いよいよ準備万端の感を醸し出す。明瞭に剣技を使用するというキャラクターは、ウルトラマンアグル以来。予想を超えて強力な怪獣として描写されたグドンに対し、防戦を踏まえた立ち回りをし、リュウに罵倒されたことを考慮しているのが分かる。ただし、まだスマートにことが運ばないのがウマい。「ケレン」と「間」を確信犯的に導入した、殺陣の組み立てには賛否あるだろうが、メビウスのこの作風にはよくマッチ。特に初代ウルトラマンが最初期に見せた立ち回りを思わせて、興味深い。
終わりに、テッペイがちゃんとツインテールに言及したことを、ささやかな嬉しいポイントとして挙げておこう。
データ
- 監督
- 佐野智樹
- 特技監督
- 原口智生
- 脚本
- 赤星政尚