第8話 DASH壊滅?!

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ストーリー

 今日はカイトの誕生日。カイトのために、DASHの面々によるドッキリパーティが仕掛けられた。ショーンに習って作ったというミズキのケーキに感激するカイト。さあパーティ開始といったその時、警報が鳴り響く。ガーディアンが直径約30mの隕石を捕捉したのだ。落下予測地点はエリアJT303、市街地である。DASHは直ちに発進、ダッシュマザーで隕石を砲撃して進路を変えることになった。

 市街地への落下は回避され、無難な地点への落下後に回収された隕石は、ヨシナガ教授とショーンによって分析されることとになり、事態は収束したかに見えた。しかし、本当の脅威はこれからだった。隕石の内部には地球外生命体バグダラスが潜伏。ショーンとヨシナガ教授はバグダラスにビームを照射されてしまい、高熱を発してしまったのだ。ヨシナガ教授はビームの照射行為が、バグダラスによるエネルギー吸収ではないかと推測、病体をおして隕石の調査を続行することにした。ビーム照射による容態悪化に対抗する薬品も作らなければならない。

 その頃、エリーは監視映像の分析によってバグダラスの潜入エリアを特定した。次々と倒れるUDF隊員の救助に向かったミズキとコバのチーム。宇宙生物の気配を感じたコバは迎撃に向かうが、ビーム照射を受けて倒れてしまう。エリーは司令室から出て急ぎコバの元へ向かった。エリーはコバを診断し、「人間の気持ち」に基づいて強制的にメディカルセンターへ連れて行こうとする。

 一方、ヒジカタ隊長とカイトのチームは、姿を遮蔽したバグダラスの発見に成功する。しかし、ヒジカタ隊長はカイトを庇ってビームの照射を受けてしまう。事態の悪化を察したミズキは一人でバグダラス迎撃に向かった。直ちに追おうとするカイト。そこへヨシナガ教授とショーンが現れ、バグダラスが無数の卵を宿していることを告げる。ショーンは、隕石解析の結果開発した特殊シリンダーをカイトに手渡した。

 カイトは、そのシリンダーをダッシュライザーに装填して見事にバグダラスの動きを封じた。しかし、ミズキは既にビームを照射されていた。再び立ち上がったバグダラスはミズキを庇ったカイトにビームを照射し、巨大化して逃亡したしまう。カイトは病身になりながらもダッシュバード1で発進し、バグダラスを追った!

 高熱で思うように操縦できないカイトだったが、それでも追撃には何とか成功する。落下したバグダラスは、砲撃を続けるダッシュバード1に激しい熱風を浴びせて墜落に追い込んでしまった! 都心部に向かうバグダラスを止めるべく、カイトはウルトラマンマックスに変身。

 マックスは、バグダラスの激しい熱風攻撃とステルス攻撃に一時苦戦するも、強力キックで逆転。飛翔するバグダラスをマクシウムカノンで一撃の下に粉砕した。

 本部から送られた薬も無事間に合い、カイトのバースデイ・パーティは盛り上がりを見せるのだった。

解説

 物騒なサブタイトルを冠し、危機感溢れるストーリーを展開した今回。次々と隊員たちが倒れていくというシチュエーションでありながら、絶望感に走ることなく、DASHの各員やヨシナガ教授の常に突破口を模索する熱い姿勢が感動を呼ぶ。

 この、エキスパートたちが自らの役割に誇りを持って逆境に挑むという展開は、従来のウルトラシリーズでも比較的多く描かれ、防衛チームの優秀さを描くのに一役買っている。特に印象的なのは、セブン25話「零下140度の対決」だ。

 今回も名シーン候補が続出しているが、ここで、特に印象的なものをピックアップしておきたい。まずは、冒頭ドッキリパーティのシチュエーション。今回のサブタイトル「DASH壊滅?!」のインパクトを利用し、既にカイト以外の人員がすべて何らかの危機に陥ったのかと思わせる展開が面白い。それをバースデイ・パーティという理由付けで描いた上で、ショーンの「誕生日プレゼント」というジョークなど、ちゃんとエピソード内で利用しているテクニカルな構成にも頭が下がる。

 続いて、ショーンとヨシナガ教授の連携。これまで、ショーンの能力的な描写は技術屋的なものにとどまっていたが、遂に科学者的側面が存分に描かれることになった。特筆すべきは白衣。従来のウルトラでは、アナライザーの職を持つ隊員であっても、隊員服から白衣に着替えることは殆どなかった為、余計に印象を強めていた。また、分析シーンでは隕石のリアルなスキャン映像にちょっとした驚きが。

 次に、各隊員の言動に注目。

 ヒジカタ隊長の「あまり機械に頼りすぎるな」「隊員を守るのも俺の役割だ」が抜群にカッコいい。この隊長の言からは、DASHチームの有り様がダイレクトに伝わる。つまり、人間の可能性を最大限に信頼するポリシーと、たとえ上司であろうとも常に前線を動く主義だ。こういった組織描写は熱血路線に走ってしまうきらいがあるが、DASHがそうなっていないのは、メカ描写やSFタームによる硬質感がちゃんとブレンドされているからであろう。さらに、コバの二丁拳銃をシャキッと抜く仕草。キレのいい動作で戦闘のプロフェッショナルとしての側面をアピールした。「人間の気持ち」の学習が深化してきたエリーとのやり取りも良く、非論理派の最右翼と思しきコバの、エリーとの接近が見られて興味深い。

 そして、ミズキの「失敗しちゃった」に止めを刺す。これからどのような展開を迎えるかは予想できないが、このやり取りや、ケーキを作ったりというエピソードからは、殆ど恋人同士に近い感触を覚える。それほど気心が知れているということなのかもしれないが、結構あからさまに攻めてきたという印象だ。

 今回は、特撮も振るっている。バグダラスが10m大で登場するシーンでは、その量感を違和感なく描写。ダッシュライザーのシリンダー交換ギミックと光線描写も見事にシンクロし、存在感を示した。また、カイトによるバグダラス追跡シーンでは、ミニチュア特撮とCGシーンとが適材適所で使用され、リアルな追撃シーンを組み立てていた。マックスのバトルシーンでは、遠近感の強い山間部(ゴルフ場)のセットが空間の広さを表現、マクシウムカノンによるバグダラス爆発の瞬間に主題歌が一瞬ストップするという選曲の妙も相まって、一級のバトルシーンとなった。

オマケ

 エリーの人差し指に発火能力があることが判明。どういった意図で装備されているのかは窺い知れないが、遊び心に溢れた設定だと解釈したいところ。ラストシーンで、「オメデトウ」の後に少し笑顔を作ってみせるのも、これまでの流れから極めて自然に感じられる。

 ヨシナガ教授のショーンを上回る体力と精神力が凄い。恐らくバグダラスによるビーム照射のパターンに差はないはずで、ショーンが一瞬気を失ってしまったにも関わらず、教授は苦しみつつも常に気丈に振舞っていた。是非、今度はトミオカ長官メインのエピソードも登場願いたい。