出し惜しみなしの大盤振る舞い! そんな形容が相応しいエピソード。
ダイカーンは3人も出てくるし、モライマーズは次々と破壊されるし、イカーゲンとマーダッコは凄まじく強いし、いきなりチキュウ以外の惑星が出てくるし、ショウ・ロンポーは変身してしまうし...。
とにかくサービス精神満載なのですが、これだけの要素を詰め込んでもスッキリ見られてしまう、不思議な感覚が絶品です。
マモリツヨインダベー、メガツヨインダベー
密集する5つのモライマーズのうちの2つを守るダイカーン。完全に使い捨てキャラなのですが、一応ダイカーンなので怪人扱いではあります。
以前、モーレツヨインダベーなるダイカーンが登場しており、戦闘員の強化版であるツヨインダベーの出世バージョンが存在することを示唆していましたが、今回はそれを有効活用した例となりますね。ちょっとイヤな言い方をすれば、コストダウンに効果的であり、ヒーロー側の登場キャラクターやガジェットの多さを、このあたりで巧くカバーしているのかも知れません。
設定こそ戦闘員の強化版ですが、見た目はそこそこ派手で、それぞれのネーミングに応じたデコレーションが施されているため、ダイカーンとしての存在感は充分。今回、もう一人ツヨインダベーから出世したダイカーンがメインの怪人として登場しますが、それと比べても遜色はありませんでした。
のっけから、これら二人のダイカーンの守るモライマーズを撃破していく爽快感は、巨大戦というよりメカ戦重視の趣で、満足度はすこぶる高いです。戦隊の巨大戦では、どうしてもメカではなくロボがメインになってしまいますが、今シーズンは意外にメカ戦が重視されていて嬉しいですね。ボイジャーの動かしやすさは折り紙付きです。
メシウバインダベー
今回のメインとなるダイカーン。特殊能力では特徴付けされておらず、食料をことごとく奪い取るという圧政が特徴となっています。
ショウ・ロンポーの作戦は、5つのモライマーズを破壊を最優先とし、他の事象には関わらないという、ある意味非情なものでした。しかし、食のオーソリティ=フードマイスターであるスパーダは、このメシウバインダベーの圧政に苦しむ人々を放ってはおけず、それが徐々にショウ・ロンポーの作戦に綻びを生じさせるわけです。
ダイカーンには、伝統型怪人の者と圧政を体現する者に大別されますが、メシウバインダベーは完全に圧政体現型。それだけに悪辣さも強調されており、対するスパーダの不思議なヒロイズムと良い対比になっています。今回のバトルのメインはイカーゲンとマーダッコに委ねられるため、勢いに乗ったスパーダ、ラッキー、ハミィの三人にあっという間に片付けられてしまいます。その辺、やはり所詮はツヨインダベーといったところでしょうか(笑)。
イカーゲンとマーダッコ
なにやらショウ・ロンポーとは因縁があるようで、モライマーズ撃滅作戦からショウ・ロンポーの焦りを感じ取るなど、その知性まで垣間見せるのが良いですね。単なる「滅法強い怪人」ほどつまらないものはないので、こうしたキャラクター付けは歓迎です。
とは言え、相変わらずの強さ。ガルとラプターのボイジャーを地上から狙い撃ちするという派手な口火を切り、次々とキュウレンジャーを倒していく凄まじさ。これ、まだ8話目ですよ...(笑)。
勿論、こうしてキュウレンジャーを易々と倒していく二人を、ショウ・ロンポーが華麗に攻撃するというクライマックスを盛り上げる意図もあるでしょうが、ラッキーたちキュウレンジャーが序盤で弱く見えてしまうというリスクは否めないところです。そのあたり、寄せ集め部隊の発展途上という説明も可能ですけど、掲げているキャッチコピーが大仰なので、ちょっと違和感がありますね。
BN団+チャンプ
ラシンバンキュータマ入手のため、ショウ・ロンポーがバランス、ナーガ、チャンプのトリオをジーシャックなる惑星に派遣します。チキュウに来てから宇宙的な拡がりが抑制されたのかと思いきや、このようなシーンが用意されるので油断ならないですね。
このトリオの活躍シーンは、トレジャーハントものの定石を巧く活用した楽しいものでした。洞窟を大岩が転がってくるところなど、素晴らしいですよね。「ギャバン」の頃のキネコ映像からの進歩、息をのみます。
スティンガーと小太郎
先のエピソードでスティンガーに助けられた少年・小太郎が再登場。スティンガーに、そしてキュウレンジャーに憧れているという設定で、成り行きとは言えオリオン号に立ち入るという貴重な経験をします。今回はその意外性の他に特筆すべき事項はありませんが、これから子役レギュラー化する布石なのでしょうか?
スティンガーの方はというと、クールに小太郎をあしらう言動を見せつつも、その奥底の優しさを垣間見せます。大所帯ヒーローの中ではステレオタイプにならざるを得ないのですが、スティンガーのキャラクター設計には陳腐さといったものが感じられませんね。素面キャラクターの感情描写の細やかさが奏功しているように思います。
スパーダ
あらゆるキャラクターが縦横無尽に入り乱れる今回の中にあって、一際存在感を強めていたのがスパーダです。メシウバインダベーという「食の敵」を向こうに、そのポリシーをぶつけるフードマイスターの勇姿は心を揺さぶります。
ダイカーンの圧政に苦しむ人々の解放よりも、モライマーズの破壊を優先させるショウ・ロンポーの作戦に、乗り切れない様子を見せていたスパーダ。基本、チキュウ人にシンパシィを持たない集団という設定が活きており、嬉々としてモライマーズを撃破していくラッキーたちをよそに、苦しむ人々に独り心を痛める姿が、「普通の人(の感覚)」に最も近いスパーダらしいと言えます。
食を奪われた人々に即席の炊き出しを振る舞う姿は、正にフードマイスター! オリオン号のまかない係に留まる男じゃないのです(笑)。
戦い以外の方法で人々を救う様子には、ユニークなヒロイズムが溢れています。そんな彼に素早く賛同するラッキーとハミィも素敵。今のところ、素面キャラの中で最も動かしやすいのは紛れもなくこの三人なので、自ずと様々な場面での活躍が期待されます。
ショウ・ロンポー=リュウバイオレット!?
なんと、ショウ・ロンポーにも変身能力がありました。おおよそ予想通りだったわけですが、まさかこんなに早く変身を果たすとは思いもよりませんでしたね。
リュウバイオレットは、キュウレンジャーの一員と言って差し支えないデザインで、「九人」の究極の救世主とは何だったのか(笑)。極力ネタバレを仕入れずに見たので、本当に驚きました。無論、彼にはキュウレンジャーの一員を名乗らない何らかの理由があるはずですが、今回はお預け。司令官の変身、そしてその戦力の高さから、「デカレンジャー」のデカマスターを想起させます。
デカマスター、ウルザードファイヤー、キョウリュウシルバーといった、名だたる後見ヒーローの系譜に新たなキャラクターが仲間入りしたこのリュウバイオレット。こんな序盤に登場して、果たしてどう折り合いを付けていくのか不安ながらも楽しみです。
ちなみに、しつこいようですが、変身しなくても最強の司令官は「バトルフィーバー」の倉間鉄山です。これだけは譲れません(笑)。
次回
予告では早くもリュウバイオレット「ではない」紫の戦士が...。例年の数倍のテンポ感で進む「キュウレンジャー」、目が離せません!
竜門 剛
予告やCMでネタばらしをするのは安定の東映クオリティですね。
杖で戦う追加戦士という姿にデジャヴを感じていたのですが、オーレンジャーのキングレンジャーでした。
九人なのに十人目?という話ですが、昔、ダイレンジャーでも「五星戦隊」なのに六人目?というツッコみがありました。それについて、某ラジオに投稿された答えがすごく納得できるもので、よく覚えています。
ダイレンジャーの五人は、天火星のように天○星という称号(?)を持っていましたが、キバレンジャーは吠新星(漢字がうろ覚えで申し訳ない)という「天」がつかない称号なので、あくまで五星プラスいちなのだという説でした。
ああ、結局キュウレンジャーの話はほとんどしなかった・・・(汗)。
天地人
>変身しなくても最強の司令官は「バトルフィーバー」の倉間鉄山です。
やっぱりそうですよね。
なんか、序盤ではやくも急展開のキュウレンジャーですが、リュウバイオレットは先代のキュウレンジャーなんでしょうか?
もしかして、キュウレンジャーは一組じゃなくて、何組もあったりして(笑)
それではまた