テンビンゴールド&ヘビツカイシルバー登場編。
一気に二人を加入させて、勢いを付けてくるあたりはさすが。しかも追加戦士の常連たるシルバー&ゴールドをレギュラーとして招聘するという掟破り! まずはこの、勢い重視の采配に拍手です。
前回で5人、今回で一気に7人になる豪華さは凄まじいものですが、一方で「徐々に」という抑制も垣間見られ、今回は主にラッキー、バランス、ナーガというトリオで話を進めています。
世界観の整理
前回が、まず御披露目という意味合いで突っ走っていたので、その世界観についてはあまり説明しておらず、どちらかと言えばビジュアルで納得させる展開でした。
今回は、冒頭で世界観を説明しており、特に敵方の組織体系について簡潔に言及されました。ここでは、ラプターが講釈しつつ真面目に聞かない面々に腹を立てているなど、彼女のキャラクター性を巧く描写して魅力的に仕上げています。M・A・Oさんの感情豊かなボイスもいいですね。
敵方の体系が説明されたことで、怪人にあたる「ダイカーン」も今回より登場。ショーグン、カロー、ダイカーン、そして戦闘員というヒエラルキーも分かり易く、ダイカーンが印籠を取り出すという演出も可笑しくていいですね。
ガメッツイ
というわけで、今回の怪人はガメッツイというダイカーン。古代エジプトの装飾をデザインに取り入れつつ、その名の通りがめつさを巧く体現した秀逸な怪人です。今シーズンはちょっとコミカルな、この路線で行くんですかね。
このガメッツイのお宝を狙うという設定で、バランスとナーガが絡んでくるあたりも、単純明快。段取り良く進んでいくストーリーが気持ちいいです。怪人が事件を起こすのではなく、支配者としての怪人に対して事件を起こしていくという逆転構造が実に面白いところです。
なお、ガメッツイが「ヒカエオロー」で巨大化し、巨大戦に突入した後は、意外な実力を発揮してキュウレンオーにちょっとしたピンチをもたらしました。勿論、テンビンボイジャーとヘビツカイボイジャーの活躍の場を与えるための段取りなのですが、特撮がとにかく素晴らしく、鮮烈なビジュアルに目を奪われたまま進んでいくので、予定調和などといったツッコミを寄せ付けないんですよね(笑)。とにかく見せ場だらけな感じでした。
エリードロン
ショーグンの直下にあたるカローのポジションにあるのが、エリードロン。早くもキュウレンジャーの前に現れ、その実力を見せつけていました。
ラッキーがバランスとナーガに合流する一方で、ガル、チャンプ、ハミィ、スパーダの四人がこのエリードロンと対峙することになりましたが、この時点では歯が立たないという描写が苛烈で驚きました。しかしながら、カローとダイカーンの実力差を見せるには非常に効果的だったと思います。
ガルたちが、ボイジャーに乗ってその場からさっさと離脱するという現実的な対応も良い感じですね。
バランスとナーガ
今回の主役。二人で「怪盗BN団」と名乗り、ジャークマターからしか盗みを働かないという、義賊的な設定が付加されています。
一気に二人を加入させる際に、既に二人がコンビになっているという状況は便利ながら、二人の間に一筋縄では行かないドラマを込めるあたりが素晴らしい。二人のキャラクター描写も非常に個性的で、賑やかな機械生命体であるバランスと、物静かなヒューマノイドであるナーガの凸凹コンビっぷりが、バディものの雰囲気を醸し出してもいます。
バランスは、お調子者の機械生命体。あらゆる機械を自由に操る能力を持っており、テンビンゴールドとなった際には、トリックスターの異名をとります。トリックスターは「Trickster」なので、実はStarではないのですが(実は「Trick Star」??)、まあそんなことはどうでも宜しい(笑)。トリックスターを名乗るだけあって、ナーガに対する接し方自体既に二面性を秘めていたり、状況を掻き乱して物事を有利に進めたりと、初回から印象的な活躍をしています。信用ならない人物というわけでもなく、一度は裏切って見せたナーガを心配するといった情の深さもあって、実に味のあるキャラクターになっていました。
ナーガは、ヘビツカイシルバーとなってサイレントスターを名乗る物静かなキャラクター。一切の感情を捨てた種族というのは、スター・トレックシリーズのヴァルカン人を彷彿とさせますが、ヴァルカン人は感情を露わにすることを恥とする種族(つまり本当は感情を抑制している種族)である一方、ナーガは感情を手に入れたいと願うキャラクターなので、むしろ「新スタートレック」のアンドロイド・データに近いかも。感情豊かなバランスの傍に居ることであらゆる感情を学ぼうとする姿勢は正にデータのようです。今回は、早くも怒りの感情を手に入れていましたが、まだ巧く表現できないようで、そのあたりの困難な芝居を山崎さんは巧みに演じていましたね。若いですが、舞台経験も豊富な俳優さんなので、安定感があります。
ラッキー
今回も彼の幸運は確実に効果を上げていて、新たなキュウレンジャーを見つけに行くと言った直後に、バランス&ナーガと出会っています。便利です(笑)。
一方で、他人の事情をあまり考えないラッキーの天然振りも相変わらず。怪盗BN団に加入してガメッツイのお宝を狙うも、ラッキーを差し出すことでお宝を手に入れようと画策するバランスの謀略にはまり、それに怒ったナーガと共に囚われの身となり、溶鉱炉を用いた処刑を待つ...という怒濤の展開の渦中に自ら飛び込みます。一方で、処刑にあたっては自らの幸運に疑いを持つ場面があったりと、彼の人間的な部分を垣間見ることができました。
そして処刑直前、ナーガを思って助けに来るバランスの格好良さよ! 前回のガルもそうですが、敢えて素面キャストのキャラクターではなく、スーツアクションのキャラクターに重要かつ印象的な見せ場を用意するあたりが見事です。...って、ラッキーのことを書いているつもりが、いつのまにかバランスのこと書いてますが...。
テンビンボイジャー&ヘビツカイボイジャー
この二体だけ、単体でロボ形態への変形ギミックを持ってるんですね。この意外性がまた良いです。確かに天秤と蛇だと動かしにくそうですもんね。
次回
次回はサソリオレンジが登場! しかし、敵としての登場という、これまた追加戦士の定番に沿ってくる展開が興味深いところです。そして、司令官キャラも登場とのことで、いよいよ役者が揃いつつある感じで盛り上がってきました!
天地人
どっかのアイドルグループの歌みたいなタイトルですが、第1・2話とも好調な滑り出しですね。
今回、新たに加わったトリックスターことバランスですが、機械生命体というとサンバルカンを思い出します。
まさか、やられそうになると、歯車とかが動いて、巨大化したりして(ないない)
しかし、これだけ印籠の効果がない演出も珍しいですね(笑)
それではまた
竜門 剛
戦隊に限らず、最近の特撮では悪の組織が地球を侵略する理由も、いろいろと複雑になっています。某オーブでは、とうとう地球に侵略の価値はない、とまで言われてしまいましたし(汗)。
そんな中、キュウレンジャーはすでに世界が支配されている状況なので、戦う理由としては実にシンプルかつ明快ですね。
ただ、できればショーグン役は、御大飯塚昭三さんにやってもらいたかった。飯塚さんの夢は、一度でいいから地球を征服することらしいので。ラスボスで闇ショーグンとか出ないかなぁ。