宇宙刑事ギャバンとデカレンジャーが夢の共演を果たすという、スペシャル・コンテンツ「スペース・スクワッド」とのタイアップ回!
ラシンバンキュータマをマーダッコに盗ませ、追跡するラッキーたち共々ワームホールを通って「スペース・スクワッド」の宇宙に迷い込むという展開が巧みで、「キュウレンジャー」の基本的な流れにあまり干渉させずに豪華共演を実現させていました。
冒頭からマーダッコの追跡劇が繰り広げられ、ラシンバンキュータマが盗まれた経緯などの細かい説明を一切割愛する思い切りの良さと、展開の勢いが物凄く、疑問を挟む余地なく一気呵成に夢の共演劇へとなだれ込むハイテンポな作劇に唖然としながら、鑑賞後の満足感も一際大きいという、実に楽しい回になりました。
地球!
共演劇も勿論ですが、今回、最も興味深いテーマとして挙げられるのが、別の宇宙にある地球の在り方でしょう。
ギャバンやデカレンジャーといった「宇宙の警察」によって平和を実現している宇宙。その地球は、「キュウレンジャー」のジャークマターに支配された宇宙にあるチキュウとは異なり、人々の笑顔が溢れる世界でした。
このシチュエーションには二つの重要な意味がありました。一つは、まだ実現していない平和を目の当たりにして、ラッキーたちが決意を新たにするというくだりです。「キュウレンジャー」の世界では、劣勢極まるリベリオン。キュウレンジャーも孤軍奮闘の様相を呈し、ジャークマターにゲリラ戦を仕掛けているのが現状。ところが、ラッキーたちが訪れた「地球」は、かつて宇宙刑事の所属する銀河連邦警察や、デカレンジャーの所属する宇宙警察によって巨悪が滅ぼされた宇宙にあり、十文字撃や赤座伴番たちの尽力で平和が守られている世界。キュウレンジャーがまだ見ぬ平和の実現に向かって戦っている一方、ギャバンやデカレンジャーは平和を維持するために奮闘している...。そんな鮮やかなコントラストが、ラッキーたちのさらなる闘志を沸き上がらせたのは見事でした。
もう一つは、世界観の整合性。宇宙の99%がジャークマターの支配下にある宇宙では、ギャバンもデカレンジャーも存在意義を疑われてしまうわけです(笑)。ジャークマターに唯一対抗し得るリベリオンとは別に、銀河連邦警察や宇宙警察といった機関があってもおかしくはないですが、機能不全にあってはかつてのヒーローたちの沽券に関わります。「キュウレンジャー」とは別の宇宙で平和を実現していて、それを維持するために哨戒している「お巡りさん」としてのポジションを明確にすることで、警察ヒーローのプライドを保ったのは実に巧いところです。
特に、宇宙刑事は三作にわたって展開されたシリーズでもあり、最終作「宇宙刑事シャイダー」終盤における敵の大攻勢はジャークマターにも重なるところがあるため、それを打ち破った銀河連邦警察の栄光を、ここで翳らせるわけには行かないでしょう。
それと、平和をシンボライズする場所として遊園地が選択されているのが、かなり興味深いところですね。「宇宙刑事」シリーズでは、遊園地は小林義明監督が好んで奇怪な空間演出の要とした場所ですが、「デカレンジャー」ではセンちゃんがアンドロイドの感情の萌芽を図った楽しい場所として記憶される場所です。後者の雰囲気を狙ったのかどうかは定かではありませんが、今回センちゃんがゲストで登場することを考えると、それなりの意図が込められていたようにも思えるわけです。
バン、センちゃん、ウメコ!
ホージーとジャスミン、テツが不在なのは少々残念(一応巨大戦での流用シーンには変身後がちょっとだけ登場)ではありますが、今回はキュウレンジャーも戦闘に本格参加するのがラッキーとナーガのみといった具合に、うんと思い切っているので、これでも充分過ぎるほどのサービスだったと思います。
こちらも戦闘への本格参加はバンことデカレッドのみとなっており、人数を絞ることでゲストのアクションを充実させる意図が伝わってきました。効果音もアクションもオリジナルを極限までリスペクトしており、やはり完成度はすこぶる高かったですね。
バンはオリジナルシリーズよりも格段の成長を遂げており、「10 YEARS AFTER」未見ならば驚くはず。すみません、かく言う私も未見なので驚きました。さいねい龍二さん自体は頻繁に拝見する機会があるので、あくまでバンというキャラクターの成長を捉えての驚きです。勇猛果敢な面はそのままに、すっかり頼れる先輩レッドの貫禄を身につけていますよね。一方で、相変わらずチョイチョイ四字熟語を挟んでくるあたりも、良いですよねー。
センちゃんとウメコは、当時と見た目も殆ど変わらずに良いコンビ振りを発揮。この二人を見ていると本当に微笑ましいですよね。「早く結婚しろよ」ともどかしく思っているファンは多いことと思いますが、「スペース・スクワッド」では何やら進展があるかも知れず、今回のエピローグで匂わされていて驚きました。どうなることか...楽しみですね。
この二人の主な役割は、ハミィとガルを逮捕してキュウレンジャーとの繋がりを持つことでした。戦隊随一の「小っちゃいヒロイン」(身長はハミィの勝ちらしい@稲田徹さんのTweet)同士の共演は萌える! ガルとドギーのイヌ科繋がりギャグとか細かいボケとツッコミ...。やはりこの二人が織りなすコミカルなシーンは完成度が高い!
「デカレンジャー」はそれなりにちゃんと見た割には、当時の忙しさもあってかあまり記憶に残っていないので、最近Amazonプライムビデオで見返しています。実に丁寧に作られていて、マニアックでありながらライトな感覚でも見られる凄いシリーズですね。見返すと様々な驚きがあって面白いです。
十文字撃!
「宇宙刑事ギャバン THE MOVIE」で、一条寺烈の後継者として登場した十文字撃。その後も様々なコンテンツにゲストとして出現し、キャリアを積み重ねてきました。新世代の宇宙刑事として期待された撃は、石垣佑磨さんの熱い想いを体現して初代とはまた違う魅力を発揮するキャラクターとなりました。
登場当初は迷いを持った発展途上のヒーローでしたが、作品を経るごとに自信たっぷりな二枚目半の熱血漢になっていき、とうとう今回は何だか異様に威勢の良い兄ちゃんになっていて可笑しかったです(笑)。いつもはお調子者だが、決めるときにはバッチリ格好良く決めるという、ヒーローの理想像を彼なりに追求していて好感が持てます。
まずは、あんまり深く考えない(ように見える)撃の真骨頂から。マーダッコを「困っている女性」として助け、それを追ってきたラッキーたちを迎撃するくだりが実に楽しい。「ストロンガー」でのライダーマンの早とちりを嚆矢として、熱血漢の典型としてよく利用されるパターンですが、撃ならば仕方ないと納得させられるあたりがいいですね。
マーダッコの正体を認識してからは、俄然ヒーローの本領発揮。バンと共に戦闘のイニシアティヴを握る頼もしさに、目眩がすること必至です。レーザーブレード抜刀と共に例のBGMが流れるサービスに震え、レーザーZビームを皆と共に放つ格好良さに痺れる! 「ゴーバスターズ」客演時には少々苦言を呈してしまいましたが、既に撃は安定したキャラクターに成長しており、時に前へ出、時に一歩引く立ち回りの巧さが光ります。活躍を遺憾なく見せつつも、見事にラッキーたちを主役として立てていましたね。
ダブルレッド&ダブルシルバー!
実に巧い人選ですね。総勢11人も居ながら、ラッキーとナーガの二人だけを戦闘のメインに据える大胆さ。デカレッドとギャバンに合わせたカラーセレクトとしつつ、そのデザインのベクトルの違いによって、四人の個性がちゃんと立っているのが凄いです。
それぞれのコンビネーションによるアクションも芸術的なまとまりを見せ、満足度はすこぶる高いものとなっていました。大勢入り乱れるアクションを劇場版に委譲し、こちらでは少人数のメリットを最大限に活かしているわけですね。
ガルとドギー・クルーガー!
兄弟だとか何とか色々いじられていたこの二人。お互いノリツッコミまで披露していて微笑ましい限り。厳密には狼と犬ですが、長いマズル(鼻)が可愛いので並んだ姿は正に眼福!
ショウ・ロンポーとドギー・クルーガー!
正反対とも、ある意味似た者同士とも言える二人の司令官が、遂に並び立つ時が来ました。
わずかに残念な点として、二人が変身後の姿で並ぶというシーンがなかったのですが、そこまで求めずともそれまでに充分な満足感を得られるため、またの機会を楽しみにしたいところです。
かつて、デカレンジャーの了解コールである「ロジャー」をショウ・ロンポーが「論外」と評しましたが、何と今回、ドギーが「オッキュー」を「論外」と評す論外返しが炸裂!! ウメコのキュートな「オッキュー」の直後のまさかの論外返しには、マニアも唸りまくったのではないかと思います。
次回
とにかくお祭りムードに彩られた今回でしたが、エピローグ最後の最後に、スティンガーが決意を示すかのようにローブを羽織るシーンが挿入され、シリアスムードに急転。間違いなく次回への引きとして機能したこのシーンは、スコルピオとの激戦を予感させます。一週空けての放送なので待ち遠しいですね。
天地人
まかまさの宇宙刑事&デカレンジャーとの共演ですが、個人的には何か物足りない気が・・・何故なんだろうと観ていたら、そうかシェリーが出てないんだ(おいっ)
時間がないのでしょうがないですが、今回は知り合ってから共闘するまでが、なんか適当に思えてしょうがなかったです。
多分ギャバンかデカレンジャーのどちらかだけだったら、そんなに感じなかったのかも知れないですが、3大ヒーローの共演に1話は短すぎたのかも(汗)
それを抜きにすれば、やはりヒーローの共演はワクワクしますね。
あと、設定的に異次元世界とするしかないのかもしれないですが、某宇宙海賊がどこかでジャークマターと闘っている展開も捨てがたいですね。
それではまた
竜門 剛
いや~とにかく、満足度の高い回でした。大量の過去映像にくわえ、それぞれのテーマソングを流すなど、脚本も演出も「分かってる」感がハンパなかったですね。
ただ、メインターゲットであるちびっ子たちがこのノリについて来られているのかが微妙・・・。ギャバンはもちろん、デカレンも10年以上前の作品になりますからねぇ・・・。
なお、センとウメコのワイハー星での顛末は、某ラジオ番組で流れていたスペーススクワッドのラジオドラマで語られていました。ネタバレになるので詳しくは書きませんが。ちなみに現在は、ラジオドラマのギャバン編が放送中です。