最後にして最強の獣電竜、ブラギガス登場編。
秘石は一進一退すらもなく順調に集まり、ブラギガスも凄まじい攻防戦を見る事もなくアッサリと復活してしまうわけですが、それでも濃密なドラマに思えるのは、やはりキャラクターが立っているからでしょう。
しかも、カオスは秘石を早々に諦め、次の一手を考えた上で今回のデーボモンスターであるタイリョーンを送り込んでおり、このような「少し手の込んだ展開」を盛り込む事で、通り一遍の展開を回避している辺り、実に巧いと思います。
今回のメインキャラクターはダイゴになるでしょうか。
父であるダンテツが登場する事、そのダンテツを超えるとも思える、ダイゴのトリンに対する思いの強さ。ドゴルドに素手で立ち向かったり、ブラギガス復活への序曲たる神聖なるメロディを奏でたりといったダンテツの凄さを見るに付け、ダイゴは「父を超える」境地には達していないものの、ある面では既に父を超えたという印象を与えるに充分なシーンが用意されていたわけです。
それは、今回の白眉である「最後の秘石」引き上げシーン。
デーボ・タイリョーンが同じく秘石をジッと狙っている...と、劇中の誰もが、そして視聴者の誰もが思っている中、ダンテツの持つ笛から放たれた鎖が秘石を捉え、地獄の力に引きずり込まれそうになる秘石を、ダイゴの熱いスピリットが引き上げるくだりです。
その直前、ドゴルドをダンテツとキョウリュウレッドのパンチで撃退する露払いが用意されていましたが、当シーンではそのテンションをそのまま受け継いでいる為、派手なエフェクトと相俟って熱いシーンとして完成していました。実際のブラギガス復活は、スピリットレンジャーを含むキョウリュウジャーの手によるものでしたから、ここでダンテツが秘石をつり上げてしまっても違和感はなかったものと思いますが、敢えてダイゴの手で入手させたのが巧い処で、最強の獣電竜をダイゴ自らの手で復活させるという、テーマの一貫性を持たせる事に成功しています。
一方、「秘石争奪」という展開が早々に放棄されていた事が判明し、これが今回のちょっとしたサプライズになっています。
デーボ・タイリョーンはデザイン自体がギャグ系となっており、一見強そうに見えない処が見事である一方、梁田さんの重厚なボイスによって骨太なキャラクターを垣間見せます。そして、その骨太さは実際の強さとして描写されるに至るわけですが、これだけ(我慢)強いモンスターにも関わらず、秘石の争奪戦では全く良い処がない。その展開の真相として、実はタイリョーンが狙っていたのが秘石ではなかったという衝撃。
実の処、このタイリョーンに関するトピックがなければ、今回は単なるブラギガスの「復活作業」でしかない印象すらあります。前述の秘石引き上げのシーンでも、地獄の力の強大さはそれほど印象に残りませんし、ブラギガスの復活自体も、ビジュアル自体は豪華で美しいものの、基本的に揃った秘石が集合する以上のものではなく、やはりアッサリしたものだと言えます。
従って、今回のMVPはデーボ・タイリョーンという事になるかと思います(笑)。
さて、ブラギガスの復活ですが、やはり戦隊は「新メカ」の登場譚になると素晴らしい特撮を用意してきますね。
ブラギガスの活躍シーンは、ミニチュアとCGの取り合わせで。CGはわざとCGらしい質感にしているのか、他の獣電竜に比べて浮いた雰囲気でまとめられていましたが、重量感はなかなかのもの。背中に多数の獣電池を装填出来るギミックは驚きで、あらゆる獣電池の能力を使えるようになる辺りは、キョウリュウレッド・カーニバルの丁度対極にあり、絶妙な設定となっているのが分かります。
しかも、スピリットベースは実はブラギガスの中にあったという強烈な設定まで用意されており、色々な要素をこれでもかと詰め込んできます。ただ、スピリットベースのくだりはやや唐突で分かり難いのも否めない処で、尺の短さが感じられてしまいました。
そしてギガントブラギオーも登場し、新メカの能力をフルにアピール。
比類なき巨大さを有するという事で、多数のカットをホリゾントの限界のないオープンセットで見上げアングルを駆使して撮影され、その巨大感を遺憾なく演出していました。別アングルでのタイリョーンとの対比においては、その巨大さが少々スポイルされているようにも見受けられましたが、妙な合成で珍妙な身長差を演出するより、量感の差で勝負した処が評価出来ると思います。
本編の展開とは全く関係ないですが、私が少々残念に思ったのは、スピリット二人が折角参戦してギガントブラギオーを「操縦」しているのに、バイオレットが不参加であった事。もしかすると、9人が揃う事自体をイベント化する為に温存したのかも知れませんし、ダンテツ登場やデーボス幹部勢揃いといったキャラクターの多さに遠慮した可能性もあります。しかしながら、ブラギガス復活という一大イベントに獣電池のエンジニアである弥生が不在なのは、ちょっと寂しかったなぁ...と思います。
次回は更なるパワーアップ編ですが、トリンにまた危機が訪れるようで。全く「失速」というタームに縁のないキョウリュウジャーです!
天地人
最後にして最強の聖闘士、鳳凰座(フェニックス)一輝登場編(違)
・・・1時間間違えてしまいましたね(汗)
今日の話を観てて思ったのですが、絶対絶命の危機というか、圧迫感を感じさせられなくなってきてるような気がするんですよね。
次から次へと自分の予想を上回る展開を、これでもかと出してくれる訳ですが、今回も地獄の力の強大さって何?な感じでしたし、カオスの次の一手を見据えた動きはさすがと思う一方で、今までの秘石争奪戦は?(まあ、結局あまり無かった訳ですが)な感じがどうしてもしてしまうんですよね。
このスピード感溢れる展開というか明るさがキョウリュウジャーの魅力となっている訳で、はっきり言って無いものねだりなんですが(苦笑)
それでは、また
竜門 剛
次の戦いに向けてのプロローグといった感じでした。
内容的にはあっさりしたものになりかけたところを、タイリョーンがらみネタで微妙な盛り上がりを見せるところはさすがです。
バイオレットの不参加は、確かに寂しいところですが、今回のように8対1では、さすがにヒーロー側がちょっと卑怯に見えてしまいました。