全部で13個の秘石を収集するという新章に突入!
第一弾は、予告でコスプレコメディ編と思わせておいて、実は結構シリアスな一編となっていて驚き。
しかも、アミィゆかりの人物がキーパーソンとして登場しているにも関わらず、メインはソウジという辺りのギミックも。これらの「ズラシ」によって、前回までのお祭り騒ぎの後でもそれなりに印象的なエピソードに仕上げられていました。
今回はデーボス軍よりも、むしろ神流光彦なるキャラクターがキョウリュウジャーにとっての脅威として描かれているのが可笑しく、またこの光彦の厭味に溢れたオーラが秀逸で、クライマックスに判明する彼の改心がもたらすカタルシスの大きさは、古き佳き少年ドラマを見るようでした。
ソウジの家も光彦の家とは系統こそ違うものの、由緒正しいであろうという意味では同様の家系といえ、その為にソウジが怒りの感情を露わにするのも納得がいきます。両者の決定的な違いは、非常に厳しく育てられた武道家であるか、非常に甘やかされて育てられた金満家であるかという事。ある意味両極端である環境に育まれた両者が、一朝一夕で理解し合える筈もなく、劇中でもそこがポイントになっています。
ソウジのキャラクターは、前回までにほぼ完成しているのですが、今回はその「すぐカッとなる」という側面が強調されており、常に上からものを言う光彦に対する反感が、そのまま最初に態度へと現れるキャラクターとして重宝されていました。このソウジの態度によって、逆に彼以外の面々が、なるべく穏便に秘石を譲り受けようとして「大人」な態度をとっているのが浮き彫りにされ、ティーンエイジャーのソウジと、ソウジよりも年齢を重ねたダイゴ達という対比が構図として顕著になっていたのは興味深い処。つまり、キョウリュウジャーは大部分が「大人」で構成された戦隊であるという事で、それについては以前から言及している通りです。
ところが、光彦が仕掛けたサバイバルゲームでは、各々がノリノリでコスプレをした上、ゲーム自体も半ば目的を忘れたかのように一生懸命楽しんでいる様子が描かれます。
これには「子供っぽい」という印象を受けるかも知れませんが、実はこのシーンからは、余暇に没頭するといったメリハリの付け方を熟知している「大人」の雰囲気が横溢しており、この辺りは「バトルフィーバー」や「デンジマン」といった初期の戦隊が持つ独特の雰囲気に似た処があると思います。異論は認めますが、この初期二戦隊はそれ以前の「ゴレンジャー」や「ジャッカー」と比べてもはるかに「大人」な戦隊。海城剛や新命明、東竜といった面々も充分な大人の雰囲気を持ったキャラクターですが、「バトルフィーバー」と「デンジマン」の劇中に挿入される余暇は、常に「大人として子供に接する」様子で描かれており、戦隊メンバー同士での粋な会話とのメリハリが強く出ていて、正に「頼れる身近な大人」。現在の目で見てもこれらのドラマパートの完成度は非常に高いと思います。
話は脱線しましたが、これらゲームに興じる「大人」に囲まれている中で、一人ソウジだけは(アミィは「大人」に入れて良いか微妙なポジションでしたが)、光彦に改心を迫るキャラとなっていました。それは、ソウジが「大人」の手前であるという事が多分に関係しているでしょう。建前を気にせずに、速攻で切り込んで行くスタイルは、ソウジの戦闘スタイルそのものと見事な相似形を成し、キャラクターの完成度を上げていました。
この件でもう一つ面白いのは、「アミィさんに好かれる男」というテーマが前面に出ている事で、これは、戦隊の定番である「許嫁話」のセオリーを意識してコミカルに描くための方便であると共に、ソウジが抱く微かな憧れ(りんちゃんはこの際置いといて)をも内包しているように思えます。しかも、ソウジには「アミィさんに好かれる男」であるという自信があるのです。
ソウジのこのような思い切った描写は、彼の少年性と男としての確立の狭間にある揺れを、魅力的に活写する作用をもたらしており、他の男性メンバーとは異なるポジションを明確にしています。「好き嫌いで人助けを左右する程、自分は子供ではない」と言い放つ今回のソウジの格好良さは、この微妙な年頃ならではのセリフとして印象に残ります。
さて、デーボス軍側は徹底的にユルく描きつつ、ドゴルドに関してはエンドルフとの融合体としての脅威を見せ、コントラストを付けています。ラッキューロ達のコミカルな行動に支配される事なく、割とシリアスなテーマ性を貫く事が出来ているのは、このドゴルドのちょっとした出番に依るものであり、デーボス軍側のキャラクターの差別化も、実に巧くいっているのではないかと思います。
空蝉丸を中心とした、対ドゴルド戦はパワー戦の様相を呈しており、その迫力は素晴らしいもの。エンドルフの武器を自在に操ってキョウリュウジャーを追い詰める様は、かつて空蝉丸を依り代としていた頃のドゴルドが、空蝉丸の得意技を使っていた事を思い出させます。結局、エンドルフはイベント編限定の幹部となってしまいましたが、ドゴルドとの融合によってそのキャラクターのエッセンスは残存したとも言え、デーボス軍随一の武闘派であるドゴルドとのキャラクターのラッピングが回避されたという面でも、良かったのではないでしょうか。
そのドゴルドは、途中で戦いに飽きたかのように退場してしまう為、メインのアクションは件のサバイバルゲームとなります。前述の通り、ゲームでも最高の力を発揮する面々。そして、ソウジは正々堂々と秘石を入手すべく真剣そのものの表情でゲームに挑みます。
それぞれがアクロバティックな動きでポイントを稼いでいく様子は、いい意味でのやり過ぎ感に溢れ、実に楽しいシーンとなりました。特に、ソウジが光彦のボディガード(?)を一瞬で攻略するシーンでは、非常にレベルの高い実践格闘技的な動きをフィーチュアし、その高度な動きを本人が素面でやっているという充実度。短いシーンではありますが、準備の大変さを考え併せると本当に凄いシーンだと思います。
他にも、アミィのスカートヒラリ変身(笑)等、それぞれの見所を内包。それにしても、アミィのコスプレは美しかった。ああいったメイクも似合いますねぇ。
一方で、前回少々気になったカーニバルの扱いは、今回もあまり変わらずといった処。ただ、カーニバル登場後は殆ど単独戦の様相を呈してしまう為、何とかそれまでに各メンバーの見せ場を作っておこうという意図は感じられました。が、まだ不十分な面は否めないですね。マッチョ・カーニバルの愉快でパワフルな動きは非常に良かったので、他のメンバーの霞み方がやや気の毒でした...。
えー、それ以外は特に語る部分もなかったので(笑)、今回は短めで失礼致します。絵面の楽しさに比べ、ややストーリー自体が地味だったような気もしますね。
天地人
全部で13個の秘石を収集するといってますが、あと4個なんですよね。
昔の東映だったら1クールかけて秘石争奪戦を繰り広げているところですが(まあ、キョウリュウージャーらしい展開の速さといえばそうなんですけど)
しかし、サバイバルゲームにラッキューロが紛れ込んでいるシーンですが、違和感ないですね(笑)何気に射撃の腕前も凄いし、まるでのび太くんみたいだ・・・
竜門 剛
もうちょっとコミカルなコスプレ回かと思いましたが、意外とシリアスでしたね。
そんな中、デーボス軍の(良い意味での)ユルさが何とも・・・(笑)。
特にモンスターがあんなにテキトーでいいのだろうか?実にラッキューロらしいですが。
M'sRoad
エンドルフの登場でデーボス軍が路線変更かと思いきや、コミカルとシリアスが不思議に混ざり合った面白い展開になっていますね。ちょっとフォーゼを思い出してしまいました。最終回ではキャンデリラとラッキューロだけ生き残ったりなんかして。
話は変わりますが、石田太郎氏が亡くなられましたね。ゲキレンジャーやアギトのお芝居を思い出してしんみりしてしまいました。ご冥福をお祈りします。