今回は、キョウリュウグリーンこと立風館ソウジのお話。
春田純一さんが殆ど全部を持って行っちまった感はあるものの(笑)、キャラクタードラマとしても一級の完成度でした。
前回に続き、ソウジがダイゴを「キング」として認め、自ら素性を明かす過程を描く...のかと思いきや、ソウジは早々に正体を明かしてしまい(しかも、ちょっとした「決闘」でアッサリと)、それ以後、ソウジとその父・立風館源流の確執を軸にドラマが展開していきます。この構成に関しては、同じようなパターンが続かない配慮として大いに評価出来ると思います。
今回、観ていて気が付くのは、定番要素が全面的にフィーチュアされている事でして、それ故に、全体的に雰囲気が安定しており、逆にソウジの父に対する不安定な感情が引き立つ構図になっています。
定番要素としては、まず、格闘家、武道家を集めるという敵側の作戦。
「仮面ライダー」のトカゲロンやピラザウルスの話で、既にその萌芽があります。それらは「怪人に改造される」といった、ある意味ドラマの主役を担う形でしたが、やがて戦隊において、JACの皆さんが敵に次々と捕まってしまい、それを助けるヒーローが描かれる...という定番パターンへと発展(?)します。今回も、見るからにJAEな皆さん(実際にそうであるか否かは別として)が次々と捕獲され、クライマックスで一気に救出されるという展開がド定番な感じでした。しかも、救出シーンを合体から洩れたドリケラに担当させるという「有効活用」が見られ、段取りの良さを見せつけてくれます。
興味深いのは、先達が「強い人間を集めて戦力にする」、「強い有名人を誘拐して社会を動揺させる」というパターンから殆ど逸脱しなかったのに対し、今回は「強い者なら強い怒りを発する」という発想が元になっている点で、これは感情を糧とするデーボスならではの作戦と言えるでしょう。また、捕獲された「強い人間達」はわざわざ没個性化されており、社会も殆ど巻き込まない構図等、徹底してキョウリュウジャーと源流以外、余人(何と今回の話に直接関係ないブラック=イアンまでも!)の入る隙をドラマに与えない配慮が感じられます。この辺り、「重厚なドラマを極限まで分かり易く」というポリシーが貫かれているのだと思うわけです。
続いての定番要素は、強さを求めるヒーローと、その姿勢に疑問を感じて厳しく接する師匠の関係。
これは「戦隊シリーズ」が青春ドラマ志向となり、私生活の描写を重視し始めるにつれて、表出してきたパターンです。特に武道の心得がある者に限ったわけではなく、例えば「バイオマン」で真田広之さんがゲスト出演した回では、イエローフォー=矢吹ジュンのアーチェリーを見て、「人を殺す矢」だと詰るシーンがあります。あ、他の例は思い出せませんが(笑)、とにかく師匠は「清さ」を技に求めるのに対し、弟子は「戦うが故の猛々しさ」を漂わせ、そこに対立構造が生じるというのが定番です。
今回は、春田純一さんが素晴らしい立ち振る舞いによって、優しい父親像と厳格な武道家の雰囲気を漂わせ、その類い稀なるオーラに、キョウリュウジャーの面々が乗っかっているという感覚なのですが、若いメンバーがそのオーラに切り込んでいくという構図もあり、それは正に、エピローグで示された「託す者と託される者」の構図そのもの。ここでも、「重厚なドラマを極限まで分かり易く」というポリシーが垣間見られます。それにしても、春田さんは「ゴーグルファイブ」や「ダイナマン」の頃と全く雰囲気が変わりませんよね。勿論、経験相応の重厚さは備わっていますが、剣さばき、体術のキレ、耳にストレートに届く声質等、どれをとっても未だに「ヒーロー役者」ですよ。世間の春田さんの評価は「性格俳優」ですが、やはりブラックヒーロー二人と、ブラックアンチヒーロー(「ジャスピオン」のマッドギャラン)を演じた格調高さは伊達じゃないわけです。
一方、ソウジの方は、獣電竜に出会ったからなのか、それとも戦いの中で自然に身につけざるを得なかったのか、「獣の剣」と源流に言わしめる剣術を会得しています。この辺りは物凄く説明不足だと思いますが、そこの詳細な説明が必要かと言われれば、そうでもないという、絶妙な省略。状況を説明するよりも、アクションで「獣の剣」の荒々しさや鋭さを見せる事で、視聴者に納得させようという方針だったのでしょう。実際に、その辺りの目論見は成功しており、特に源流の「円月殺法」ならぬ「無双剣」と、それに「獣の剣」を組み合わせたソウジ独自の「斬撃無双剣」のビジュアル的な対比は、分かり易い上に素晴らしい描写になっており、「キョウリュウジャー」の「強さ」をしっかりとアクションで体現していました。
この、対立する者の技を合わせて、独自のものに改良するというパターンも、定番っぽいですよね。それを目の当たりにして、弟子の成長を師匠が実感するという構図も、これまた定番です。今回は師匠と弟子が実の親子ですから、そこに更に深い感情がプラスされる事になり、行間を読めば、親子ならではの愛憎半ばする関係が浮き出て来る事は必至でしょう。ただ、敢えてそこをメインに据えなかったのはエラい。源流を「目の上の瘤」にせず、あくまで「自己鍛錬の為に教わらなければならない相手、超えなければならない相手」と定義している辺り、近作で剣術をメインに据えた「シンケンジャー」における、武道家の颯爽とした雰囲気というか、そういう清廉な感情が強調されて実に良かったと思います。
もう一つの定番要素は...というか、これを「定番」と呼んで良いかどうかは分かりませんが、ゲストが戦隊ゆかりの人物であるという事でしょうか。
まぁ、それは即ち春田さんなんですけど、冒頭のファミレスのシーンで、木下あゆ美さんがちゃんと前回に続いて出演されていたのも、ちょっと驚きでした。
話を春田さんに戻しましょう。
春田純一さんは、前項で述べた通り、「ゴーグルファイブ」と「ダイナマン」にブラック戦士として二年連続登板した、ブラックヒーローのパイオニアです。ただ、同時期のJACの俳優陣の中では割と遅咲きで、スーツアクターやスタンドインを主に担当したり、たまにちょっと無理のある高校生役(笑)でゲスト出演したりといった感じでした。「仮面ライダー」の撮影スチルには、ゲルショッカーの戦闘員に扮する春田さんの姿が収められており、いかにアクション俳優としての芸歴が長かったかを窺い知る事が出来ます。
遅咲きならでは...というべきか、割と主役陣が狂言回しに徹していた「ゴーグルファイブ」の中にあって、ゴーグルブラック=黒田官平は、知性派でありながら肉体派というアンビバレンツなキャラクターを、練度の高い絶妙な芝居と優れたスタントで実現し、ステロタイプな戦隊ヒーローの中にあって、新しい匂いを感じさせるものとなりました。当然、当時の人気は非常に高く、それが次年度の出演、それもブラックヒーローを連続で演じるという快挙を実現する事になります。その二年目に当たるダイナブラック=星川竜は、忍者の子孫という設定で、よりアクティヴな肉体派へ、ある種のステロタイプにシフトしたものの、コミカルな言動のサブリーダーという、これまた困難な設定のキャラクターを、存在感抜群に仕立て上げました。こちらも、非常に人気のあるキャラクターでしたね。
今回の源流の、怪人に拮抗する剣の実力の持ち主という面では、「バトルフィーバー」の鉄山将軍を想起させますが、さすがに鉄山のように、ヒーローを差し置いて怪人や大幹部を叩っ切る(!)というシーンは用意されませんでした。しかし、戦闘員には全く臆する事なく優位に渡り合い、怪人(デーボ・ローヤローヤ)のメイン武器を一刀の元に弾き返し、その際、エフェクト付きの剣術を披露する等、やはり扱いは「破格」。素直に格好良い先輩ヒーローという雰囲気が大事にされていて、目頭が熱くなりましたね~。
さて、今回はソウジと源流の確執に、ダイゴが切り込んでいく話だったわけですが、その際、ダイゴは自分の父親の話を持ち出していました。これも巧い処で、ソウジ側の事情から逆算したにしろ、ダイゴ側のサイドストーリーから逆算したにしろ、そのハマり具合は完璧。ダイゴの父は山下真司さんという「大物」が演じていますから、この先も折に触れて回想等でお目にかかる事になるでしょう。この父・ダンテツなる人物が、ダイゴの精神性を象徴するものであり、ストーリーの縦糸になる事は、多分間違いないですから。
ダンテツという文字を見て気付くのは、彼がキョウリュウジャーの5人と同様、ファーストネームがカタカナであるという事です。ノブハルの妹・優子、姪の理香、そして源流といった面々には漢字が使われていますよね。「ゴーバスターズ」ではゲストを含めた登場人物全員が徹底してカタカナだったのに対し、今回はキョウリュウジャーの5人と、今のところダンテツだけ。これは何かありそうな気がしますよーー!
それと、3話目にして、早くも合体バリエーションが出たり、新戦力をもたらすガジェットとしてのバイクが登場しています。バイク・ディノチェイサーに関しては、最近の戦隊では非常に珍しい上に、獣電竜二体が合体して完成するとあって、メカニックファンも納得のガジェットに。バイクスタントも完成度が高かったので、今後も頻繁な登場に期待したいですね。
んでもって、生身アクションが今回も熱い! ソウジの剣術はスタンドインを駆使しつつも、キャスト本人もかなり高い難易度の動きを要求されており、大変な事に。アミィは何とかかと落としを披露! やっぱり女戦士は綺麗なキックですよ。ペギー松山からの伝統です!
次回は、カッコ良すぎるあの人が登場!
もしかして、今シーズンは先輩ゲストが沢山出てくるのか!?
天地人
「かつて、ガブティラたちを守って共に戦った獣電竜の戦士団があったのだ、その名を爆竜と言う」
って、当然ウソです(汗)
という事で始まった(?)キョウリュウジャー第3話ですが、まさかダイナブラックがダイナマンの大いなる力を(以下、省略)・・・
まあ、番組違いますからそれは無かったですけど、ゾーリ魔と闘う春日さんの勇姿に思わず
「ダイダイダイダイ、ダイナマン~♪ダイダイダイダイ、大爆発だーっ、ダダッダ♪」
と脳内でテーマソングが流れていました。
そんな訳で大いに盛り上がったキョウリュウジャーですが、次回はまさかのダッシュ勝平(違)お楽しみに
gaga
何か凄くドラマ省きすぎな点が気になる所。今回は、もっとしっかり書くべき「ソウジと父親の対立」を、いきなり現れていきなり始まった父親との口論だけでほとんど見せてしまっているので、シーンに重みがない。
キングとソウジの絡みも一瞬で、なんかもっともらしい台詞だけ。抱えている問題もその解決方法も軽くて薄い。はっきり言って雑です。「絶妙な省略」どころか「微妙過ぎる省略」だと思います。
第1話はテンポ重視で魅せる為仕方ないと思いましたが、第3話でこれはちょっと。
逆にバンクは長すぎてテンポが悪い。名乗りの度、合体の度に長いバンクでバッサリ流れが切られちゃうせいのが……。
あと一番微妙なのはロボットですね。合体バリエーションとは言いつつ、腕が変わっただけで「変わった」感が凄く薄いのが。ガブティラ部分がちょっとサイズも存在感も大きすぎるのが問題でしょうか。
とはいえ、全体的な流れ、ハイテンションなノリ自体は決して悪い訳じゃないので、演出と脚本が合致して熟れて来れば良くなるとは思うんですけどね。
ゴーバスターズもスロースターターで本番は金銀参戦後と言う感じでしたし、キョウリュウジャーも気長に期待。
M'sRoad
う~ん、私の感想は管理人さんとgagaさんの中間地点です。
ソウジの苦悩は自分が未熟であることを自覚してるけどオヤジに
指摘されたくない反抗期のそれのような印象でした。
前回のノッサンを省みても、相談相手がいないから一人でウジウジ
してるところにキングがドーンと背中をどやしつける、みたいな
ドラマがやりたいのかなと。
次回は監督も代わりますし、イアンは相棒を失うという一番重い
足枷があるので、どういう話になるか楽しみです。
竜門 剛
ちょっと軽めの感想ですが、朝食を食べながら観ていたので、偶然そばに居た母が、春田さんのことを時代劇俳優だと思っていたそーです。確かに、殺陣が素晴らしかったですしねー。
さらに、素面のキョウリュウジャーたちのアクションにも感心してました。
・・・って、母親の感想ばっかりやん(殴)!
コピーブランド
指摘されたくない反抗期のそれのような印象でした
モンクレールウンアウトレットコート
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