ブレイブ24「もえろ!7人のキョウリュウジャー」

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 二代目キョウリュウバイオレット登場編。

 初代も相当衝撃的でしたが、二代目もかなりのインパクト。何しろ、お爺ちゃんから孫娘に継承ですからね。「ダイレンジャー」最終話以来です(笑)。

 てっきりレギュラーになるのかと思いきや、一旦離脱のようで、そこはちょっと残念ですが、現役キョウリュウジャーという事で出番がそれなりに期待出来そうです。

 今回は、当たり前ですが徹底的に弥生がメイン。しかも、レギュラー陣に対するアンチテーゼ。この新鮮味が今回の面白さの源流です。

 周知の通り、レギュラー陣はダイゴ以外、キョウリュウジャーになる過程が殆ど描写されていません。それぞれが「獣電竜との勝負に勝つ」というシーンを紹介されてはいるものの、そこに至るまでの葛藤や弱さの克服といったものは、後々の戦いの中で再浮上する問題として描写されてきました。

 弥生の場合は、前回プレズオンに身を挺してブレイブインした事を「獣電竜に認められる」行動とする事で、キョウリュウバイオレットを継ぐ者としての資格を得たわけですが、その後、獣電池にブレイブインする事が出来ず、それが何故なのかという問いかけに対する答えを見つける過程が、「キョウリュウジャーになる過程」とされました。

 その過程の中で強調されたのは、弥生の「弱さ」。徹底的に強い憧れの人=ダイゴと、そんなダイゴと一緒に居る強い女性=アミィとの対比により、弥生がキョウリュウジャーになるにあたって目標とする人物が強調される仕組みです。シリーズ開始当初で既に「強き竜の者」であったレギュラー陣に対し、「強き竜の者」になりきれない弥生は、キョウリュウジャーの別の一面を示す格好の存在となりました。

 そんな弥生が示した「強き竜の者」たる意味は、「強い憧れがブレイブになる」というもの。

 これは、他のメンバーにはない要素です。

 興味深いのは、周囲の期待を意識すると、その憧れが抑制されてしまうというロジックでしょう。ダイゴは勿論、他のメンバーも誰一人として、周囲の期待など意識していません。自分の強い意志に従っているのは、これまでのエピソードから窺える通り。それを意識して前回を振り返ると、「ダイゴに強いと評価された」事でプレズオン復活に奮闘する様子は、「ダイゴの期待」を意識し過ぎて空回りしたり諦念に苛まれたりといった葛藤を示していましたが、「ダイゴを助けたい」一心でのプレズオンへのダイブには、弥生の意志の力そのものを感じる事が出来ます。今回は、弥生が憧れを抱きつつも勝手にライバル視しているアミィを介在させる事で、弥生が燃え上がらせるべきブレイブに気付くという展開ですが、話の流れや見た目は異なりつつも、実は前回のテーマをほぼそのまま繰り返しているわけですね。

 そのアミィですが、久々にメインストリームにフィーチュアされた印象です。

 何故か、スピリットレンジャーも含めた追加戦士登場編での登板が多いアミィさんですが、今回も例外ではありませんでした。今回は女性同士(しかも性格的には対極)という事で、先輩キョウリュウジャーとして弥生の良き導き手となっていたのが新味。他のメンバーを一時的に戦闘不能にする段取りも良く、アミィの活躍と危機を前面に押し出して、二代目キョウリュウバイオレット登場譚に彩りを添えていました。

 弥生に自ら突破口を開かせるかのように、(意図的ではないものの)危機的状況に身を置いていくアミィは、生身のアクション要素も多めとなっており、満足度も高くなっています。弥生のライバル心に全く気付かないダイゴとのコンビネーションも最高に可笑しいアクセントでした。

 ところで、「デーボス軍残党」の動きも色々と面白い事になっています。

 ヒョーガッキの、涙を氷と化す能力によって作戦が進行する為、アイガロンは自身の涙が凍らないように全身を沸騰させる事になるのですが、この沸騰がきっかけになったのか、現状不在となっているドゴルドの持つ「怒り」を身につけ、そのパワーで自爆するという末路を迎えます。

 その後、キャンデリラには悲しみの感情が宿ったようにも見え、結果、幹部それぞれの感情を併せ持つようになるという現象が見られるのです。これが何を意味するのかは、近いうちに明らかになるものと思われますが、後半戦への仕掛けである事は間違いないと思います。インパクトもなかなかでしたし、段取りとしては、かなり巧いのではないでしょうか。

 結局は、氷結城もほぼ原形を留めたまま海底に身を隠していましたし、デーボス軍としての体制立て直しは充分可能であるとの印象があります。ただし、満足に動けるのはラッキューロのみという事で、次回はそれをネタにしたドタバタ劇が繰り広げられそう。個々のキャラクターのポジションを徹底的に活かして流れを作っていく辺り、さすがだなと唸らざるを得ません。

 さて、新生キョウリュウバイオレットです。

 まずは変身ですが、前半で密かにサンバステップを踏み、それを見られて恥ずかしがる弥生が可愛すぎます(笑)。コミカルで非常に魅力的なシーンですが、キョウリュウジャーへの憧れを具体的に示すシーンとしても実に効果的で、真面目な印象の強い弥生の、別の側面が垣間見られる名シーンです。後半には本当の変身シーンが到来するわけですが、ここでは情報端末である眼鏡を外し、「戯れる」という言葉の似合う前半とは全く異なった「戦意を鼓舞する踊り」としてのステップを披露。レギュラー陣とのシンクロも素晴らしく、新戦士のデビューに相応しいものとなりました。変身前はアミィよりも少し背が高いように見えますが、変身後は著しくちっちゃくなる辺りが可愛らしい(笑)。

 アクションはアクロバティックでありながら、ガブリボルバーを最大限に活用したスタイルが新鮮。ガジェットの機構を知り尽くした弥生ならではの...という感覚が横溢した充実のアクションでした。新戦士が規格外の強さを誇るのも定番通りで爽快です。今回は戦闘経験のない弥生にしては強すぎるという指摘も可能ですが、キョウリュウジャーの戦闘を分析し尽くして密かに練習していた事が透過出来るような内容でもあり、妙に納得してしまう面白さがありましたね。

 なお、バイオレットのレギュラー化を期待していると、完全に肩すかしを喰らってしまうようなラストでしたが、プレズオン自体、ダイゴが扱うようなメイン級の獣電竜なので、プテラゴードン&空蝉丸のような組み合わせならばともかく、弥生のキャラクター性からすれば、ちょっと荷が重いでしょう。なので、セミレギュラー格としておくのも正解のような気がします。

 次回は変化球が大いに楽しめそうですね。それにしても、エンディングにハリケンジャーが登場したのには度肝を抜かれましたが...(笑)。