遂に最終回!
一年間の展開を盛り上げるべく、要所要所にクライマックス風のエピソードを織り込んできた「キョウリュウジャー」ですが、最終回はその中でも最大の盛り上がりと最大の感動を届けてくれました。
回収すべき伏線は、前回までにほぼ回収していて、残すはデーボス撃破の為のクライマックスバトルとなっていたわけですが、ここに来てダイゴとアミィの物語へと収斂させる事により、単なる大バトル&エピローグではなく、爽やかな感動を呼ぶドラマをも内包させていたのには、驚くばかりです。
勿論、最終回ならではのファンサービスも登場し、様々な面で、「キョウリュウジャー」というシリーズが示す貪欲さと旺盛なサービス精神に溢れた快作になったと言えるでしょう。
最終話一歩手前!
という事で、さながらJAC版「里見八犬伝」のような見せ場てんこ盛りの大充実編となりました。
戦隊に関わらず、あらゆるコンテンツで最終回の直前が一番面白い(最終回だけ独立した話になっているものは除く)のは周知の通りですが、今回も「キョウリュウジャー」の総仕上げといった画面作りが横溢。あらゆる伏線も回収しまくり、空蝉丸編をも取り込み、後はデーボスの元へ向かったダイゴとアミィに全てを託すという、潔さに溢れた展開でした。
イアンとアイガロンをメインとし、ダイゴとダンテツの相互理解を成立させ、アミィのポジションを改めて明確化し、様々な要素を収斂させた一編。
これだけ多様なトピックを盛り込みながらも、イアンとアイガロンの一幕ではしっかり泣かせる処が凄い。というより、視聴後はそれしか印象に残らない処が、良い意味でさらに凄い。
それだけ、メインとなる部分に関する本作りや演出が熱かったという事でしょう。4クール目では特に目立たない存在になってしまったアイガロンでしたが、その存在感の薄さ(水島裕さんの声だけは存在感が抜群でしたが・笑)までエクスキューズにしてしまうという凄まじさによって、完璧にアイガロンの物語を収束させてくれました。
徹底した絶望展開のお手本のような作風でした。
今シリーズのキーパーソンであるダンテツを土壇場で敵側に回らせるという手法で、ありきたりな「手も足も出ない」というシチュエーションとは異なる絶望感を高揚させ、息子であるレッド=ダイゴの物語へと収斂させていく。レッド偏重と言われればそれまでですが、それでもなお、次回はイアンにスポットが当たる事を予感させる等、シリーズ構成もバランス重視で進んでおり、全体的に好感を持てるものとなっています。
今回にしても、ダイゴ一辺倒というわけではなく、それぞれが尽力し、それぞれがダイゴと同じ絶望を共有するという描写が多く、戦隊が一心同体となって最終決戦に臨んでいる感覚が良く出ていると思います。
最終決戦編に向けての設定固めを行う前哨戦といった感覚のエピソード。最終クール序盤では、前回のように、キャラクターの最終仕上げをじっくりと描いていくと思っていたので、いきなりの急展開で驚いてしまいました。
設定固めの面が強く出ている為、メインはキョウリュウジャー側というよりデーボス主導なのですが、画面的にはダイゴの危機と奮闘を前面に出しているので、バランス良く仕上がっています。
新春第一弾。今年もよろしくお願い致します。
それなりに時事性を取り入れる作風のシリーズにも関わらず、新春編といった趣はほぼ皆無で、純粋にソウジへスポットを当てた好編となっていました。
そして、サプライズゲストとしてソウジの母・丹波麗子役に萩原佐代子さん!
更に、トリンの変身体としてトリンの声を担当されている森川智之さんが登場!
いわゆるオーソドックスな「新春編」ではありませんが、ファンにとって嬉しい「お年玉」がさりげなく投入されていました。
クリスマス編の後編。
クリスマス編の恒例であるギャグ編、販促編、総集編のうち、総集編を除いた構成であるのは、前編から既に分かっていましたが、前後編を通して見ると、今後に大きく関わってくる設定を大きく取り上げており、単なるイベント編として見逃すと大変危険な代物でした(笑)。
ダンテツの旅の意味や、遂に明かされたトリンとの出会い、確実にダイゴに受け継がれているダンテツの意志等々、盛り沢山の内容でまばたきの暇すらない、年を締め括るに相応しい一大巨編となっています。
年末商戦に向けた一大販促編!
と侮っていたら、とんでもない火傷モノの一編。獣電竜総登場に加え、世界を股にかけた獣電巨人の大バトル!
しかも、バトル重視・ビジュアル重視でストーリーは二の次かと思いきや、一大娯楽編と呼ぶに相応しいドラマ性と、今後に繋がる要素も満載。単なるクリスマス準備編のパターンに留まることのない、素晴らしい一編でした。
充実のノブハル編。最年長であるノブハルの、非モテ属性を「純情」に換言して描かれた、充実の「特撮人情ドラマ」でした。
元々、ノブハル編は人情編として成立し得る完成度の高いドラマを輩出してきただけあって、今回も抜群の完成度を誇ります。しかも、デーボ・カントックの能力が、瞬時にその場を映画風に変えてしまうというハイブロウなもので、これにより、充実度満点のコメディ編としても成立。正に「特撮人情コメディ」という形容が相応しい名編となっています。
劇場版の要素をフィーチュアし...というより、10人勢揃いの一大イベント編を、劇場版の続編という形式で、かつ劇場版のスケールで描いた快作となりました。
10人勢揃いをなかなか成立させず引っ張ってきたのは何故か。その答えは、3クール最終話まで引っ張りたかったという、シリーズ構成上の理由にも求められますが、劇中では、10人勢揃い=メロディの共鳴という答えを提示していました。
メロディの共鳴という解答を説得力あるものに仕上げる為、ミュージカル仕立てであった劇場版に再度スポットを当てたのは慧眼と言え、劇場版の要である天野美琴と獰猛の戦騎Dを招聘しての「続編作り」は完璧なものでした。