さて、#05の後半は、ソレスタルビーイング、カタロン、セルゲイ、沙慈がそれぞれリンクしていき、事件が起こるという秀逸な内容。
簡単に流れを説明すると、
- 沙慈がカタロン軍事基地から逃げ出す
- 沙慈がセルゲイの艦に拘留され、セルゲイの尋問を受ける
- セルゲイの尋問内容を盗み聞きした部下が、アロウズに報告
- 報告により、カタロン基地の位置が露呈
- アロウズによるカタロン基地の襲撃
といった感じになります。
では、後半参りましょう。
沙慈はソレスタルビーイングもカタロンも戦いを引き起こす連中だと嫌悪し、一人脱します。
周囲の状況がまだ殆ど見えないまま行動してしまうという、沙慈の浅はかさを表現しています。
沙慈はセルゲイの艦に拘留されてしまい、バイオメトリクスの記録(つまりカタロン構成員と間違われて逮捕された際の記録)により、カタロン構成員とみなされます。
しかし、流石はセルゲイ。
「君は戦士ではないな。長年軍にいたから分かる。君は戦う者の目をしていない」
セルゲイは沙慈が民間人であると悟っており、穏便に話を聞き出そうとします。
つまり、アロウズが何をしようとしていたかを、把握する材料を収集しようとしていたというわけですね。
カタロンの位置を民間人の口から探り出そうなどというやり方は、セルゲイのやり方ではないわけです。
セルゲイは、沙慈がソレスタルビーイングと行動を共にしていたと推理しており、何があったかを尋ねます。沙慈は嫌疑を解くことを条件に、話をし始めます。
しかし、それを立ち聞きした部下が、カタロン基地の位置をアロウズに連絡!
この絵には思わず笑いが...。
セルゲイはアロウズに連絡した部下に「修正」を加えます。セルゲイは徹底的にアロウズを嫌悪していることが分かります。
沙慈を庇い切ることができなくなったセルゲイは、沙慈を逃がすことに。
アロウズに沙慈のことが露呈したと言っていましたが、沙慈は「追われる身」となるのでしょうか。
報告を得たカタギリ司令(というよりグッドマンか?)は、カティの部隊にオートマトンをキルモードで使用せよという指令を出します。
せっかくのガンダム掃討作戦に出られず、歯噛みする本日のルイス。
リント「大佐、上層部からの命令は絶対です」
カティ「この作戦の内容、貴官は何とも思わんのか」
リント「勿論思いません。相手は反政府勢力。情けをかける必要などありませんよ」
カティとセルゲイが非常に近いスタンスにあることを示す会話です。
カティはアロウズの暴走を止めようと考えていますが、圧倒的に権限を拡大していくアロウズの中では、一つの駒に過ぎないようです。
作戦を知ったソーマは、躊躇します。
ソーマ「このような作戦を...。大佐がこの転属に反対していた理由が、ようやく分かった」
アンドレイ「中尉は誤解していますね。スミルノフ大佐は、任務の為なら肉親すら見捨てられる男ですよ」
ソーマ「肉親を?」
アンドレイ「あの男は、母を見殺しにしたんです」
スミルノフ親子に何があったのかは、いずれ語られることになるでしょう(既に外伝等で語られていたら教えてください...)。
そして、カタロン掃討作戦の開始。
まず、カタロンのモビルスーツ格納庫が襲撃され、続いてオートマトンが放たれます。
ソーマは作戦内容に納得しておらず、オートマトン投下に思わず「待って」と言ってしまいます。
オートマトンはカタロン構成員を次々と射殺。目に余る惨状を淡々と描いて行きます。何となくドキュメンタリータッチなのは、確信犯的ですね。
ここで注目すべきは、ミスター・ブシドー。
こんな作戦は武士道精神に反していると見え、
ブシドー「私は抜けさせてもらう」
隊員「ミスター・ブシドー、何故!?」
ブシドー「興が乗らん!」
と早々に部隊を離れます。ブシドーの興味はあくまでガンダムのみといったところでしょうか。
一方、王留美はネーナからの情報で、カタロンの軍事基地露見をティエリアに報告します。
情報を得たトレミーはカタロンの援護に向かうことに。
王留美にとって、カタロンも必要な存在ということなのでしょう。
ロックオンは真っ先にカタロンの援護に。
「これが、こいつが、人間のやることか!」
アレルヤとティエリアはアヘッドとジンクスIIIの部隊を叩きます。
「無人兵器による虐殺行為...自ら引き金を引こうとしないなんて、罪の意識すら持つ気がないのか!!」
「ダブルバズーカ・バーストモード!!」
作戦がとりあえず終了したことで撤退するソーマ達。
それを見て、ロックオンは激しい怒りをあらわに。
「許さねぇ!許さねぇぞアロウズ!逃げんなよ...逃げんなよアロウズゥ!!」
しかし、ソーマは人一倍心を痛めていたのでした。このあたりの心情描写が巧いところ。
「私は超兵、戦うための存在...そんな私が、人並みの幸せを得ようとした。これはその罰なのですか...大佐!」
一方で、沙慈も自分が話した所為で、カタロンの基地が露見したと考え、絶望するのです。
視聴者に「沙慈が悪い」と単純に考えてさせてしまう構造になっているのですが、実は悪いのはアロウズ寄りの考えを持つセルゲイの部下と、アロウズの所業であり、一概に沙慈が悪いとは断言できません。
このあたりのストーリーテリングも見事。
そして、エンディング後。
刹那とマリナはアザディスタンに到着しますが、そこは紅蓮の炎に包まれていた!
「あれは、ガンダム...しかも、あの色は、まさか!」
「そうよ...そのまさかよ!」
ジャジャーン!
てな感じのラスト。
以前よりさらに目つきが悪くなっています。
乗っているガンダムはスローネ・ツヴァイ...のように見えました。
次回は刹那との因縁対決になるか!?
ピース
>視聴者に「沙慈が悪い」と単純に考えてさせてしまう構造になっているのですが、実は悪いのはアロウズ寄りの考えを持つセルゲイの部下と、アロウズの所業であり、一概に沙慈が悪いとは断言できません。
私もサジの行動は民間人として致し方ないと思います。
しかし、ではアロウズが悪いかというと、それも疑問に思います。
無人兵器を使えばアロウズ側に犠牲を出さずにすむし、アロウズとカタロンに大人と子供ほどの圧倒的な戦力差がある以上、徹底的に叩くことは、見せしめと戦意喪失には効果的だと思います。
アロウズが政府軍で、カタロンがテロ組織であるという構図は間違いないのですから、政府がテロ組織に容赦しないという姿勢をみせるのは妥当ではないでしょうか?
アレルヤが「罪の意識も持つ気がないのか」と言いましたが、殺される方からすれば、相手が罪の意識を持っているかどうかなんて関係ないですし、私にはCBのやっていることもアロウズのやっていることも、どっちもどっちという感じですね。
今のところ制作者がアロウズを悪として印象づけるように演出しているのは間違いないですが、このまま単純に『CB/カタロン-正義VSアロウズ-悪』という構図のまま終わらせる気はないような気がします。「どちらの陣営にも言い分があり、善悪を一概には言えない」というのがガンダムの基本的なコンセプトのようですし。
SirMiles(管理人)
ありがとうございます。
一つ、ピースさんのご意見に反論するとすれば、無人兵器に関する是非です。
私は圧倒的な力を持つ者がイデオロギーを維持する際に、自分の手を汚さないというのは傲慢だという考えを持っています。
ややエコノミカルですが、人間という相当なエネルギーを必要とする複雑な有機体を、コストの低い殺戮兵器で終焉に導くというのは、どうにもバランスが悪い。
ガンダムシリーズを生みだした富野監督はそういったメッセージを発していたわけで、それをやや直截的に描写しているのが「アロウズ」である気がします。
なお私は、アロウズの良心はソーマとカティであり、彼らが苦悩することで「善悪二元」を回避している印象を持ったので、アロウズの統一意思的解釈として一番近い言葉に「悪」を持ってきました。
確かにガンダムシリーズに徹底した「悪」は存在しませんでしたが、キシリアやシロッコのように「視聴者の同情を受け付けない悪役」は存在していたわけで、それが今回のアロウズに重なるのではないかと思います。
とまぁ、私のようないい歳をした人間が、アニメに関してイデオギーがどうこう云うのもどうかと思いますが、こういう議論が成り立つところに、ガンダムの面白さがありますね。
イラエ
初めまして、ファーストシーズンの頃から見させてもらってました。コメントするのは初めてです。
文庫の00ガンダムを参考にしています。
スミルノフ夫妻でのことですけど、セルゲイの奥さんの名前はホリー・スミルノフ「戦場で今生の生き別れとなった」などとの事で少ししか出てきてなかったのですがもしかすると、彼女も軍人だったりしたのではないでしょうか??(最終回でピーリスがセルゲイを助けにきた時の表情がホリーとかぶったみたいです)