#03 アレルヤ奪還作戦

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 #01、#02と、無言或いは「マリー」としか言わなかったアレルヤが、いよいよ本格的に登場。

 アレルヤファン納得(?)の純情な描写や、遂に4機揃った新世代ガンダムの戦闘シーンなど、非常に充実した内容になっていました。


 今回はタイトルのまんまな内容で、地球連邦軍の反政府勢力収監施設から拘束されているアレルヤを救出するというもの。

 ついでにマリナも救出してしまい、ついでにスメラギを戦術予報師に返り咲かせ、ついでにライル=ロックオンの真の目的を匂わせるという構成でした。


 では、いつものようにストーリーを追いつつ。

 今回の主な舞台は「地球連邦軍 反政府勢力収監施設」。人革連の領土にあるとのこと。


 前回、マリナが保安局に拘束されましたが、この収監施設に監禁されており、尋問を受けています。

マリナ

 マリナが収監されたのは、4年前に刹那と接触したからであり、新たなガンダムが出現した今、最重要人物となったという理由らしい。

 理由がこのようにとって付けたようになっているのは、リボンズが関わっているからです。



 そのリボンズは、連邦の上層部と声だけでコンタクトしています。


 連邦側の情勢としては、


「連邦保安局を、独立治安維持部隊の直轄組織にすることが議会で決定された」


とあり、それを、


「4000万人規模の軍隊の創設を可能にしたのは、ヴェーダの情報統制があればこそ」


と評価し、リボンズの貢献を認めています。


 リボンズは、


「来るべき対話の為にも」


と返答していますが、我々が普通に考えるところの「対話」ではなさそうですね。


「僕はイオリア・シュヘンベルグの計画を忠実に実行している。それは他人にはできない。出来るのは僕たち、イノベイターだけさ」


と怖い顔をしてつぶやいていますが...。

リボンズ


 ところで、後のリジェネとの会話からすると、マリナを収監させたのはリボンズらしいことが分かります。


「あそこにはガンダムマイスターいるのだから」


と言っており(リボンズにとってアレルヤはオマケだったのか?)、いわば刹那を誘引する意図があったようです。

 更にリボンズはいつものように王留美にアレルヤの情報を流し、かついつものように王留美は収監されている人員全てのデータをソレスタルビーイングに提供。

 いつものように、結果的に収監施設をソレスタルビーイングに襲わせるという算段が整うわけです。


 私は常々こういうやり取りを「情報戦」が云々と言ってきましたが、既にパターン化してしまっており、あんまり感心もしなくなりました。

 あんまり連発すると、ソレスタルビーイングが単なる「コマ」に堕してしまうような気がしますが。

 それとも、それが狙いなのでしょうか?



 とりあえず、これにてソレスタルビーイングの動きがほぼ決定したところで、それぞれの群像劇へと移行していきます。



 まず、「被検体E-57」ことアレルヤにソーマが接見。

アレルヤとソーマ


 アレルヤはソーマの脳量子波の干渉を受けておらず、それは頭部に受けた傷が原因とされています。


 猿ぐつわを解かれたアレルヤは、


「やっぱり生きていたんだね、マリー」


とソーマに。

 当然ソーマは否定します。アレルヤとマリーは「ホームでずっと話していた」仲だそうで。

 妹説など色々ありましたが、とりあえず超人機関での「幼馴染」ということのようです。



 一方、プトレマイオスでも色々。


 ライル=ロックオンにモビルスーツの戦闘経験は皆無。

ティエリアとロックオン

ティエリア「全くの素人を連れて来たのか、刹那め!」

ロックオン「だからさぁ、やることいっぱいあるだろ?よろしく頼むよ。可愛い教官殿」

ティエリア「ちゃかさないで欲しい!」


のやり取りが出色!

 この後、ティエリアの機嫌がやや悪い等、結構丁寧に心情が描かれています。

 ティエリアの人間らしさにスポットを当てた作劇のようです。


 このやり取りを見ていたフェルトの


「ライル・ディランディ...」


という呟きもイイですね。


 他にも、また酒浸りのスメラギや、

スメラギ


 また機嫌の悪い沙慈など、取りこぼしなくキャラクター描写が続きます。

沙慈


沙慈「世界は平和だったのに...当たり前の日々が続く筈だったのに...そんな僕の平和を壊したのは君たちだ!」

刹那「自分だけ平和なら、それでいいのか?」

沙慈「そうじゃない。でも、誰だって不幸になりたくないさ!」


 この会話は、沙慈がまだ自分の世界だけを持っていることを示しています。

 思えば、刹那もファースト・シーズンでは似たようなものでした。刹那のセカンド・シーズンでの成長振りを、沙慈との対比で見せようとしているんですな。



 さて、その頃のアロウズ。


 カティは空母の艦長となり、収監施設の警備を指揮しています。

カティの指揮する空母


 つまりアレルヤ奪還の動きは、既にアロウズの知るところとなっているわけです。

 なお、ソーマは小隊長という地位にあるらしい。まぁ、中尉ですからね。


 4年前、アレルヤは上層部に引き渡された後、カティ達には何の情報も下りていなかったにも関わらず、アロウズは知っていた。それをカティは疑問視します。

 これはカティが何も知らないだけ。アロウズ自体はリボンズの繰り出す情報の海の中に浸っているのですから、色々と知っていて当然なのです。


 それはそうと、カティの回想の中で、アレルヤ収容の際、キュリオスのGNドライヴが既にないというシーンが描写されました。

キュリオスのGNドライヴがない


 キュリオスのGNドライヴは連邦に接収されたのか、それともティエリアのように、アレルヤが事前に射出していたのかは、定かではありません。

 後に出てくるアリオスガンダムのGNドライヴが、このキュリオスのものかどうかは、今のところ画面上からは確認できません。


 ところで、アレルヤ奪還の動きが既にアロウズの知るところとなっている、という部分には、ちゃんと説明が付け加えられていました。

 この説明の部分に、ルイスを持ってきたところがGood。


ルイスとジェジャン


ルイス「なぜガンダムの捜索を中止したのですか!?」

ジェジャン「その必要がなくなったからだ」

ルイス「なくなった?」

ジェジャン「司令部がソレスタルビーイングに餌を撒いたらしい。地上部隊には悪いが、相手の戦力を調べるいい機会だということだ」


 つまり、リボンズが仕組んで連邦の上層部が乗ったということ。

 哀れ、カティはガンダムの噛ませ犬にされてしまっているのです。


 この連邦の動きに、一応裏付けを取るのが王留美流。

 ネーナを派遣してアレルヤの生存確認を行っています。

ネーナ



 情報を受け、ラッセが即座にブリーフィングを指示します。

 このあたりのテンポはいつもながら見事。今シーズンのラッセのポジションもしっかりと印象付けられています。


 で、折角スメラギが居るんだから、使おうじゃないかというのが、トレミーのクルーの総意。


刹那「俺たちはどんなことをしても、アレルヤを、仲間を助けたいんだ!」

刹那


 この「仲間」という一言が効いたのか、フェルトに現状のデータを要求するスメラギ。

 「分かったわ」等という安易なセリフを吐かないところがいいですね。


 スメラギの戦術は緻密かつ大胆なのが売り。

 今回はビジュアル的にも、また力技的な面でも大胆そのものです。

大胆ですぅ

 ミレイナじゃなくても、「大胆ですぅ」と言ってしまうわけ。


 一方、「素人」であるライルを戦力に組み入れるかどうかについては、


「ライル・ディランディのこの能力値の高さ、一体どういうこと?」


という一言で決着を見ています。

ロックオン


 要するに、戦力と見做しても問題ないだろうという予想を立てているわけです。


 いやぁ、大胆ですぅ。

大胆ですぅ



 さて、戦術の内容は、ティエリア曰く「わずか300秒の電撃作戦」。


 まず、地球にGNフィールドを最大展開したプトレマイオスごと降下。

 ダブルオーとセラヴィーでMSハンガーを奇襲。

 カティの指揮する空母の粒子ビームを軽減する為に、プトレマイオスを潜水モードに移行させ、海中に突入。その際に起こる水飛沫により、粒子ビームを拡散させる。

水飛沫

 その拡散時間が300秒で、ダブルオーがアレルヤを救出している間、セラヴィーの展開するGNフィールドで持ちこたえるというもの。


 大胆ですぅ。

大胆ですぅ


 ごめんなさい、しつこいですね。


 ロックオンは、


「あれ?俺にも役割あんのかよ。けど、そっちの方が好都合だな」


と意味深な発言。別に謎を残したわけではなく、本話の中でその意味が分かるようになっています。


 そして、ティエリアがマリナの名前を見つけ、刹那に教えるという一幕も。

 以前ならば絶対にミッション外のことを許さなかったティエリアですが、セカンド・シーズンでは「一人の人間」として考えを巡らせるようになったようです。


「残りの2分でもう一人を助けたらどうだ?」


とまで言うティエリアの変わり様は...。


 刹那はアレルヤ救出に3分を予測しており、ティエリアの進言により、残りの時間を使ってマリナを救出します。



 ところで、意図せず戦力に組み入れられたロックオンのひとコマ。

狙い撃つぜぇ


ラッセ「当たらなくてもいいから、牽制しろ」

ロックオン「なぁハロ、兄さんは戦う時に何か言ってたか?」

ハロ「狙い撃つぜ!狙い撃つぜ!」

ロックオン「オーライ。ケルディムガンダム、ロックオン・ストラトス、狙い撃つぜぇ!」


 さすが三木さん。


「狙い撃つぜ!」


じゃなく、


「狙い撃つぜぇ!」


なのです。

 ライルを少し軽いヤツとして造形しているんですね。


 そのライル=ロックオンはスメラギの予測どおりケルディムガンダムで敵機を撃墜します。

ケルディムガンダム

 素人じゃなかったのかと驚くラッセ。スメラギはロックオンの実力に何か違和感のようなものを感じているようです。


ハロ「倒した!倒した!」

ロックオン「まぐれまぐれ」


 ハロとは今回もいいコンビ...と微笑ましくなったのもつかの間。


ロックオン「救出隊は...」


と目をやります。


 その視線の先では、カタロンが収監施設を襲撃し、メンバーを解放していました。

カタロン


 そうです。

 ロックオンが「都合がいい」と言ったのは、ソレスタルビーイングが収監施設を襲撃するという情報をカタロンに流し、カタロンメンバーの救出に一役買っていたからです。

 失敗しそうになったらこっそり援護するつもりだったんですね。


 一方、アレルヤを救出した刹那はアリオスとの合流ポイントを教え、


「お前のガンダムだ!」


と檄を飛ばします。

アレルヤ救出


 少し躊躇しているアレルヤに、4年間の凄絶な監禁状態の後遺症を見ることが出来ます。

 しかも、今はソーマ=マリーが気になって仕方がないのです。


 物語の盛り上げどころとして、当然の如く、2人は出くわします。

アレルヤとソーマ


 「マリー・パーファシー」なる名前をアレルヤが持ち出すと、ソーマはかつての記憶の中にあるビジョンを見ることになります。

 ソーマは記憶の混乱をきたし、銃を落として苦悶。

ソーマ


 その隙に後ろ髪をひかれつつ、アレルヤはアリオスガンダムに乗り込みます。

 刹那もマリナを救出してダブルオーに戻り、これで、4人全員が新ガンダムに乗ったことに。


アリオスガンダム

ダブルオーガンダム

セラヴィーガンダム


 ダブルオー、アリオス、セラヴィーのトリオ攻撃は大充実。

 ケレン味溢れるロボットアクションが心がけられ、作画も高レベルでした。


 激しく動き回るダブルオーガンダム。その中にマリナが立って乗っていたわけですが...大丈夫なのか(笑)?

刹那とマリナ



 アレルヤ奪還作戦は成功のうちに終了。

 ついでにカタロンの救出作戦も大成功。


「ジーン1からの情報のお陰だな」


というカタロンのメンバーのセリフにより、ライルの役割が更に強調されています。


 ちなみに、シーリンはマリナが収監されていた事実を知って驚き、さらに、ソレスタルビーイングによって連れ去られたことも知らされて尚驚いております。

 シーリンは刹那の姿を思い浮かべていましたが、この辺り、色々と面白いシチュエーションが待っていそうですね。


 トレミーでは微笑ましい光景が。

マイスターの皆さん


アレルヤ「ロ、ロックオン、どうして!?」

ロックオン「そのリアクション飽きたよ」


す、すまない...

アレルヤ「す、すまない...」

ティエリア「変わらないな、君は」

アレルヤ「そうかい?」

ティエリア「無理に変わる必要はないさ。おかえり、アレルヤ」

アレルヤ「ああ、ただいま」


 アレルヤの赤面が実に可愛らしい(笑)。


 エンディングは、「何故また戦おうとしているのか」と問うマリナと、「自分の願いは、戦いでしか叶えられない」と応える刹那で。


刹那「何故泣く?」

マリナ「あなたが、泣かないからよ...」


という、感心しきりな名台詞で結ばれます。



 これで、主要なキャラクターは全て揃ったことになります。

 ファースト・シーズンからのファンに向けられた、サービスのようなシーンてんこ盛りの初期3話でしたが、これからが本当の本番ですね。

 これは、かなり期待していいのではないでしょうか!