「静かなるうねり」との形容が相応しい前回とは打って変わり、大量のモビルスーツと砲弾が入り乱れ、ドンパチ好きにはたまらない回に。
しかし、無敵を誇ったガンダムマイスターが無力化していくという、寂寥感溢れる展開でもあり、ズズ~ンと重くなっていくのであります。
最初は、定番・沙慈とルイスの漫才から。平和っぷりを強調しています。視聴者の腹を立てさせる狙いか?
場面は変わって、アレルヤとロックオンという珍しい組み合わせでのミッションを展開。
勿論、本来の介入目的であるテロリスト壊滅は、そつなく終了。
離脱しようとした瞬間、無数の砲弾に襲われる…! というところから、ガンダムマイスターたちの危機が始まります。
始めのうちは、ガンダムも善戦します。これまでのパターンでは、ガンダムに対抗したのはせいぜい4~5個小隊(20~30機のモビルスーツ隊)。このくらいの数ならば、どうということはありません。
けれども、物量作戦相手では長期戦になるため、モビルスーツの性能だけではどうにもならない事態となってきます。
「モビルスーツの性能差が、戦力の決定的差ではない。」
某赤い彗星の名言ですが、これはパイロットの資質に関しての格言。
このセリフに象徴されるように、ガンダムでは「パイロットの資質」にスポットの当てられることが多かったのですが、ここでは珍しく、圧倒的な物量差が戦力差になると言うことを示していました。いいですな、こういうロジック。
パイロットの疲弊を狙った作戦というのは、それこそ巨大ロボット黎明期から存在しており、マジンガーZでは遠心力でパイロットの失神を図るという作戦があったような(違う作品と勘違いしている可能性もあり)。
凄いのは、「長期戦」の時間。
ティエリア曰く、15時間以上!
ちょっとガンダムマイスター達の気持ちになってみましょう。
ゾッとしませんか?
ガンダムのシートの座り心地はよく分かりませんが、どんなに座り心地が良くても15時間は座ってられませんよ。
ロックオンの
「飯ぐらい食わせろって」
という名セリフを持ち出すまでもなく、極限状態のミッションや訓練をこなしてきたにしろ、生理的な現象はどうしようもないわけで…。
まぁ、それは冗談ですが(あくまでフィクションなので)、ずっと敵に襲撃されっぱなしの緊張状態が15時間も継続すると、アドレナリン過剰に陥って、かなり心肺に負担がかかるものと推測されます。
そのあたりは、ちゃんと描写されていて、息を荒くする刹那や、トリガを弾く指の麻痺を訴えるロックオン、ことごとく照準を外すティエリアなど、かなり見ていて可哀想なシーンが続いていきます。
そんな中、アレルヤだけは疲弊度が少々低い。
超兵だからという設定を利用しているとすれば、凄いことですね。
ただ、ちょっと撃たれ弱いところがあるようで、砲弾を浴びると一際大きな悲鳴を上げています。
話は前後しますが、スメラギはロックオンとアレルヤが罠にかかることを想定し、エクシアとヴァーチェという、これまた珍しいコンビを投入しています。ヴァーチェがGNバズーカ・バーストモードをぶっ放して退路を作るという作戦。エクシアはそのサポートです。
GNバズーカ・バーストモードの丁寧な発射プロセス描写には燃えましたね。
ただし、退路を作った2機自体が襲撃を受けます。
スメラギは、この結果も想定していたようですが、具体的な作戦内容は特筆すべきものではなく、画面上ではひたすら耐えてチャンスを伺って逃げるという感じに見えます。
そして、退路を絶たれて疲弊したガンダム達は、一様に鹵獲される…。
ここでは各国の利権が水面下で蠢いており、どの国がガンダムを何機手に入れるかについて、黒い駆け引きがあるものと想像させるところがウマいです。
さて、それぞれのガンダムの「末路」を確認してみましょう。
エクシアは、大軍の攻撃一時中止を契機に離脱した際、サーシェスの駆るアグリッサに襲撃され、プラズマ・フィールドを浴びせられます。このアグリッサ、イナクトがモビルアーマーに乗っかってるという凄いデザインで、イナクトが分離可能という面白い機体でした。
プラズマ・フィールドはパイロットのみを死に至らしめるという凶悪な兵器で、ガンダムを破壊せず奪取するという目的をよく表しています。
この、パイロットだけにダメージを与えるというパターンも、ロボットものにはよくあるものです。
デュナメスは「抱きしめたいな、ガンダム!」という珍妙なセリフを期待通り吐いてくれた、グラハムのカスタムフラッグによって鹵獲。グラハムは、
「正に、眠り姫だな!」
という、これまた意味不明なセリフで締めてくれました。素晴らしい。
ちなみに、前回大口を叩いていたジョシュアがデュナメスに一発でやられてましたね。
キュリオスはソーマのティエレンタオツーに精神を乱され、アレルヤがハレルヤに交代しつつも、ソーマの後退に面白味を失ったハレルヤはいきなりアレルヤに人格交代(このシーンはちょっと笑えます)。結局は多数のティエレンの攻撃に長時間晒されて鹵獲を許してしまいます。
アレルヤはハレルヤのように反撃するタイプではないらしい。
ティエリアはエクシアと共に離脱するものの、パトリック・コーラサワー率いる部隊によってフィールドでの包囲を施され、鹵獲されます。
勝ち誇るパトリック。お前何にもしてないだろ(笑)。
そして、死を覚悟した刹那を救った、赤いガンダムは、一体…?
いや、結構ネット上にはネタバレしてますけど…(笑)。
赤いGN粒子が印象的です。
そういえば、こういう殺伐とした雰囲気を緩和するためか、パロディなセリフが少し織り交ぜられてました。
アムロの声を持つ謎の少年・リボンズは、
「大人は嫌いだね」
と独り言。これは、逆襲のシャアでのクェスのセリフ、
「子供は嫌いだっ! ずうずうしいから!」
を意識?
一方、カティ大佐がパトリックに言った一言、
「信用しろ、私がお前を男にしてやる」
は、ニュアンスがZガンダムのライラ・ミラ・ライラとジェリドのシーンに似て(いるような気がし)ます。
両方ともごく普通のセリフな気もしますが、ガンダムファンって、こんな感じに受け取ってしまうんですよね~。
う~む、病気だね。
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