#11 アレルヤ

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 キャラクタードラマと戦争情景がバランス良く配されていたと思います。

 まぁ、キャラクタードラマに振り切れたり、政治色全開だったり、戦況を延々と描写したりといった極端さがガンダム00の魅力でもあって、あんまりバランスがイイと物足りなく感じてしまったりもするんですが。



 冒頭は久々登場のグラハム。

 今回はフラッグファイター大活躍か? と思わせておいてホントに冒頭1シーンだけ…。しかし、


 「モビルスーツの性能差が、勝敗を分かつ絶対条件ではないさ」


というグラハムのセリフが。

 おおっ、思いっきりオマージュなセリフ言ってますなぁ。出番は少ないが、セリフでオールドファンをガッチリ掴んでいますぞ、グラハムくん。


 ユニオン陣営の描写はもう少しありまして、ビリーとエイフマン教授も久々に登場。

 エイフマン教授によると、GN粒子は「多様変異性フォトン」であるとのこと。どんな「量子」なのかはよく分かりません。※「フォトン」は「光量子」、「光子」の表記が正しいようです。

 ビリーが頷いていたところを見ると、彼もGN粒子が「多様変異性フォトン」である可能性に気づいていたようで、優秀な技術士官であることをさりげなく示唆しています。



 ユニオン陣営のシーンが終わり、OPが流れた後は、完全に前回の続編に。



 いきなりティエリアがスメラギの責任を問うというトンデモシーンから開始。

 前回のティエリアの状態からして、彼は一体どうやって立ち直るのだろうかと思ってましたが、立ち直るどころか完全にヒトの所為にしてしまうという…。

 前回、ナドレを出さざるを得なかったのは分かりますが、それはヴァーチェの接近戦における劣位性を意識から欠いたまま、ティエレンの手に落ちたティエリアの「操縦ミス」であり、スメラギの所為ではないことは明らかです。


 スメラギは自分の責任を認めるような発言をしましたが、実はティエリアが「自分の非を認めたくない」ことを分かっていてのこと。スメラギはうら若きマイスター達の母性を担っているということですな。ロックオンに関しては当てはまらないけど。


 そのロックオン、ティエリアを評して「可愛いよな、生真面目で、他人に八つ当たりなんかしてさ」という名言を残してます。

 ティエリアは、どうやらプトレマイオスのクルーに少々煙たがられているらしく、ロックオンの優しさを印象付けるいいセリフでした。



 さて、そこから先はアレルヤ(とハレルヤ)が、葛藤しつつもある種理性的に行動する、由緒正しきリアルロボットアニメらしい展開に。


 アレルヤの過去を整理しておくと…

 超人機関でのコードは、「被験者 E-0057」。脳量子波処置後、新たな人格が形成。凶暴性ありと診断され、処分されます。

 恐らく、アレルヤの宇宙漂流の体験は、この「処分」と何らかの関わりがあり、漂流時に同乗していた仲間は、超兵の被験者です。

 ソーマが「超兵1号」と呼ばれているということは、アレルヤや他の同期の被験者も「失敗作」と見做されたということでしょう。

 アレルヤは、自分以外の超兵を根絶やしにするという望みを抱いているようで、まだ幼い仲間を手にかけています。それが、何度か登場したアレルヤのトラウマシーンです。


 スメラギにはこれらの過去を(ソレスタルビーイングの規約に反して?)報告し、人革連の超兵特務機関を叩くことを提案。


 なお、スメラギは「もう一人のあなたは何て?」と問います。この瞬間、スメラギがアレルヤの2つの人格を認知していることを確認できます。



 それにしても、アレルヤとハレルヤの実質二役を演じている吉野裕行さん。大変ですね…。でも、とてもお上手だと思います。



 南アフリカ国境紛争地域に介入したエクシアとデュナメスはさらりと描写。

 当然メインはスペースコロニー全球(チェエンチウ)にある特務機関を叩くキュリオスと、それを支援するヴァーチェ。

 ティエリアは「ガンダムマイスターであること」を乱さない行動ならば、協力を惜しまないという高潔な精神の持ち主らしい。


 「過去というものが、あの男を歪ませているのなら、それは自らの手で払拭する必要がある。それでこそ、ガンダムマイスターだ」


と、なかなかカッコいいことを言います。



 コロニーへの潜入は、ファーストガンダムの冒頭のザクを思わせるシークェンス。

 コロニー内を飛翔するキュリオスは「Zガンダム」のデジャヴ。

 コロニー内部での戦闘禁止とか、シリーズへのオマージュが続々出てきて嬉しい限りです。


 そして、特務機関のビルを悲鳴のような声をあげながら破壊するアレルヤ。

 トラウマとハレルヤのエゴを文字通り払拭したのか、はたまたハレルヤこそがアレルヤの求める「ガンダムマイスターとしての強さ」なのか。

 破壊の最中の表情は読み取れないため、それは不明なのですが、離脱する際にハレルヤになっていたのが、非常に意味深長ですな。

 ハレルヤの涙が、また彼の悲しみの深さを感じさせて、前回とは随分違った物悲しい印象でした。



 自らの出自の「場」を絶ったアレルヤ。20歳になり、スメラギと杯を交わせるようになります。



 「何故、こんな苦いものを?」

 「そのうち分かるわ。きっとね」



 この会話にグッときました。

 酒の味が分かる歳になるってのも、それはそれで寂しいことなのかもしれませんね。



 周辺キャラについて少々。


 アレハンドロ・コーナーは、「紛争の続く中東にソレスタルビーイングを介入させる前に、技術支援で争いの火種を無くす」という意味のことをマリナに述べていました。

 この人も正体不明な人です。ソレスタルビーイングの関係者であることは間違いないのですが。

 ある意味、政治的な工作で紛争根絶を担おうとしている面もあるのかも知れません。



 セルゲイは鹵獲作戦に失敗したが、上層部の評価は変わらず。彼の優秀度がグッと上がりましたね。

 人革連主席はユニオンと接触し、「ソレスタルビーイングへの対応が次の段階へ入った」とセルゲイの上司が告げます。

 グラハムとセルゲイが出会うのか?