2009年第1弾は、いきなり新要素を多数ぶちかまして飛ばしてきました。
前半はちょっと息抜きをしつつ、それぞれのキャラクターのポジションその他を再確認。
後半は怒濤のモビルスーツ戦を展開し、見る者のテンションを上げまくってくれました。
セカンドシーズンで思ったことは、シーズン設計がいいということです。
まぁ、年末できちんと1クールを終えて一区切り付け、年始に2クール目をいきなりドライヴかけて開始する...そういうことです。
2クール目開始にあたっての新要素は...
- 連邦軍とアロウズが明確な上下関係を形成
- 連邦内にクーデターの動きがある
- アニューとライルが接近
- リボンズがOガンダムに乗り、刹那少年とコンタクトしていたことが判明
- セラヴィーガンダムのひみつ大こうかい
- 新OP登場
といったところ。
他にも、ルイス専用モビルアーマーとか、ブシドー専用モビルスーツとか、細かいことは色々ありますが、主たる要素だけ並べても凄い詰め込み具合ですね。
では、豊富なトピックを今回も整理していきましょう。
冒頭は、メメントモリを見事破壊したソレスタルビーイングの様子から。
しかし、作戦終了の喜びも束の間、リヴァイヴのガデッサとブリングのガラッゾが追撃を開始します。
ルイス専用になるかもしれないモビルアーマー・エンプラスも登場。キャプし忘れましたが...。
「メメントモリを落とした償い、果たしてもらうよ。ソレスタルビーイング」
セカンドシーズン1クールを経て、リボンズは完全にボスキャラ風と化しましたね。
この攻撃により、トレミーは地球に落下。刹那は合流ポイントに向かいますが、トレミーの残骸が浮遊しています。
そこに現れたのはネーナ。
「ハーイ、久しぶりね刹那」
「!?ネーナ・トリニティ!」
「あはっ!いい男になっちゃって。ネーナ、ドキワクね」
...ちょっと萌えた(笑)。
刹那はネーナからトレミーが地球に落ちたことを知らされます。
ネーナからトレミーの戦闘データを受け取った刹那は直ちに地球へ降下。
ネーナの真意は、イノベイターへの復讐だと思われますが、実際には刹那を気に入っていて、色々と味方したいという感情もありそうです。
「フられてやんの!フられてやんの!」
「うっさい!」
このやり取りが今回の更なる萌えポイント。
さて、ここからは刹那、トレミー、カタロンを、時系列を追って断片的に描いていくわけですが、まずトレミーに的を絞って整理してみましょう。
地球に落下する様子自体は描かれておらず(ティエリアの回想で少し描かれる)、地球に不時着した後の様子が描写されていきます。
再生治療から目覚めたイアンの視点で描かれるのが面白く、トレミーがどうなったのかという視聴者の目線を意識しているあたりが実に巧いです。
いきなり目の前に広がる地球の景色に驚くイアン。
「な、なんじゃこりゃあ~!」
ポーズがセリフの元ネタ(「太陽にほえろ!」ですよ)を思わせて笑えます。
トレミーは航行システム、火器管制、センサー類などに重度の損傷があり、とても運用できる状態ではありません。
勿論、この状態で狙われれば一巻の終わり。
なお、トレミーがこの状態でもかろうじて地球に逃げ込めたのは、スメラギの機転があったからだとティエリアは言います。
敵の砲撃を加速に利用し、スモークで撹乱することにより、地上への逃亡を果たすことが出来たらしい。
イノベイターなら脳量子波を使って追撃できそうなものですが、それが不可能なほど加速度は大きかったということでしょう。
そんな危機的状況の中、沙慈はトレミーの補修を手伝っています。
沙慈の技術屋的な面が細かい部分で活かされていますね。
マリーが食事を運んでくるのも高ポイント。
食事に対して無邪気に喜ぶミレイナを描くことで、コメディシーンを創出する意図もあるのですが、実はこのように穏やかなマリーの表情を登場させることで、後に続くアレルヤとスメラギの会話をより印象付けています。
その会話とは、スメラギがマリーを戦闘に参加させたことを、アレルヤに詫びるというもの。
「過ぎたことです。それに、マリーも納得していましたから。でも、もう二度としないで下さい...お願いします」
超兵である自分は、超兵であることを利用して戦う意味を知っている。しかし、それが非常に悲愴であることも知っている。
そんなアレルヤの心情が良く表現されていると思います。
しかし、この先マリーがどうなっていくかを、GNアーチャーのプラモのパッケージを見た人だけが知っている...。
一方、ロックオンはカタロンに連絡を取り、トレミーの危機的状況を伝えます。
それとなく支援を要請しているところには、ロックオンがカタロンの(進歩的意図の)スパイであるということを再認識させられます。
そこへアニュー登場。
「気になるんです。アロウズが、プトレマイオスの位置を何故あれ程までに正確に把握できたのか」
「なるほど。リターナーさんは俺を疑っていると?」
この会話からは、むしろ開き直った感のあるロックオンの姿を垣間見ることができます。
アニューについては後ほど。
「まさか。疑問に思っているだけです。あ、それと、呼び名はアニューでいいですから」
「だったら俺もライルでいい」
「ライル?」
「ライル・ディランディ。俺の本名だよ」
ここでロックオン=ライルとアニューは急接近!
「ライルでいい」なんて言ってしまう彼には、ソレスタルビーイングの機密保持条項など、どこ吹く風といった感じでカッコいいですね。
なお、この2人を遠くから見ていた沙慈は、ルイスを思い出して苦悩の表情を浮かべています。
新OPのような結末は、果たして沙慈君に訪れるでしょうか?
続いてはカタロンと連邦関連。
まず、連邦議会は連邦軍を独立治安維持部隊の直轄にすることを決定。
反連邦勢力を悪とする世論は、勿論アロウズの、ひいてはリボンズの情報操作の賜物。
しかし、これが「上層部」の論理であると、徐々に暴露されていくところが「ガンダム00」ファーストシーズンの政治的描写を思わせます。
その「くすぶり」を担うのが、パング・ハーキュリー大佐。
前回のラストに突如登場し、屋良有作氏というキャスティングで度肝を抜いてくれました。
これで「さくらひろし」と「野原ひろし」の2大「ひろし」が揃ったことに言及した人は居たのだろうか(笑)。
無論、ハーキュリー大佐が中東のセルゲイにわざわざ会いにきたのには理由がありました。それは、
「軍の中にクーデターを画策する動きがある」
というもの。
セルゲイは驚きつつもある意味自然な流れだととらえている節があります。
セルゲイもハーキュリー大佐も「現場の人間」であり、「連邦の思想」から遠いところに居ることで、アロウズの横暴に感づきやすいということでしょう。
ハーキュリー大佐の厳しい言葉は続き、「アロウズの傀儡となり果てた連邦」「世論が目を覚ます必要がある」と力説します。
「独立」と言った時点で「連邦軍所属」ではないものの、一応連邦軍から兵士を調達したりしているので、元々アロウズは連邦軍所属に近い組織だったと言っていいでしょう。
それが、アロウズの直轄に連邦軍が置かれるという、立場の逆転現象を起こしたわけです。
アロウズ全員がそうでないとしても、リントのような人間に思想統制されていく可能性は往々にしてあるわけで、面白くないと思う人間が多数居ても不思議はないということ。
そして、「世論」という言葉からは、連邦軍がアロウズ直下となっても、シビリアンコントロールであることに変わりないという理想が見えてくるのです。
ただ、ファーストシーズンにおける「武力介入」というキーワード、そしてGNドライヴのパワーバランスからは、シビリアンコントロールの幻想化が見えることも確か。
つまり、セカンドシーズンにおける「正しいこと」は、強さによる楔ではなく、文民の強固な基盤という思想に変化しているのではないでしょうか。
この連邦内のクーデターの動きはカタロンにも伝わり、クーデター派はカタロンへの接触を望んでいるといいます。池田さん大活躍。
クラウスはクーデター派の気持ちを信じ、それに応えたいと言い、自ら会談に向かう決意を固めます。
クラウスはいつも理想論と自分の信念を第一に考えているようですが、結構周囲を振り回しているような気がします(笑)。
まぁ、カタロンは「反連邦という思想」を代表する存在なので、その代表であるクラウスは、こういう人物像でいいのです。
一方、マリナは子供達の言葉を集めて歌を作り、子供達と一緒に歌います。
この歌が、今回の印象的なエンディングを飾るわけですが、サブタイトルの一面は、まずここで「カタロンの中心メンバーに聞こえてくる」という形で描かれることになります。
この時点では、「こんな時に歌なんて」というシーリンの言葉に象徴されるように、「空気の読めないマリナ姫」という印象でまとめられています。
さて、お次は刹那。
まず、リボンズが「ダブルオー奪取」を宣言したのを思い出しておきましょう。
今回の「刹那と会う」という妙な行動も、実はダブルオーライザー奪取の為の行動だとすれば納得がいきます。
恐らく、リボンズは刹那にダブルオーライザーを持って来させ、一応「死に行く者」への土産としてOガンダムの顛末を示し、サーシェスに殺させようという魂胆だったのでは。
しかし、サーシェスがモビルスーツ戦に持ち込んだことで、結局は失敗したというところではないでしょうか。
考察を先に書いてしまいましたが、一応場面を追っていくと...。
刹那がメメントモリの掃射痕を見つけ、更なる怒りを燃やしているところへ、アルケーガンダムが登場。
「ふっ...ついて来な」
サーシェスは刹那をクルジスへと誘い込みます。
サーシェスの言により、刹那はサーシェスがイノベイターに雇われていることを知り、ますます怒りを募らせることに。
そこにリボンズが姿を現します。
「久しぶりだね、刹那・F・セイエイ。いや、ソラン・イブラヒム」
ここでリボンズは11年前、クルジスにて刹那と出会っていると言い出します。
実はリボンズはOガンダムの性能実験の為にクルジスを訪れていました。
刹那が見たOガンダムにはリボンズが乗っていたのです!
RX-78を模したOガンダムに、アムロの声にあまりにも酷似した声を持つ新人・蒼月昇さん(笑)演ずるリボンズが乗っていた!
これは長年のガンダムファンにとっては、「事件です」な出来事。
私は外伝とかを読んでいないので、詳しいことは一切知りませんけど、11年前から基本的にノーマルスーツって変わってないんですね。
というか、ガンダムの運用試験に、普通にイノベイターであるリボンズが絡んでいたのは意外でした。
この前後に、アレハンドロに近付いたのか...?
なお、リボンズは機密保持の為にその場に居た者を全て処分する予定だったのですが、
「けれど僕は、君を助けた。Oガンダムを、僕を見つめる君の目が、とても印象的だったから。それだけじゃない。ヴェーダを使って、ガンダムマイスターに君を推薦したのは、僕なんだよ」
と衝撃発言。
「礼を言って欲しいのか!?」
と刹那は皮肉たっぷりに返します。
リボンズが刹那を生かしてガンダムマイスターにまでした理由は、「君の目が、とても印象的だったから」では無論ない筈。
その真意を探ってみようとしましたが、どうにも辻褄があわない。リボンズにとって、刹那をガンダムマイスターにしたことでのメリットは、一体どこにあるのだろうという疑問が。
そして、
「君の役目は終わったから、そろそろ返して欲しいと思ってね。それは本来、僕が乗るべき機体なのだから」
と、「役目」という言葉を妙に強調するのを見るに付け、リボンズにとっての刹那の「役目」とは何だったのか、と。
以前、ヴェーダの推薦外で刹那が加入したかのように思わせる描写がありましたが、このあたりとも今一つリンクしないし...。
とりあえず、このあたりの疑問はペンディングにしておきます。
さて、勿論刹那は「そろそろ返して欲しい」というリボンズに対し、
「悪いが、断る!」
と銃を抜き、リボンズを撃とうとします。
しかし、サーシェスに腕を撃たれてしまいます。
「大将。俺の生きがいは戦いでね...」
サーシェスはわざと急所を外し、モビルスーツ戦に持ち込みます。
この時点では刹那が右腕を自由に使えなくなったことにより、サーシェスの勝利を確信したのか、はたまた「今度返してもらえばいいや」という軽い気持ちなのか、
「好きにすればいい」
とリボンズは余裕。
その頃、修繕作業中のトレミーの元へ、またもリヴァイヴとブリングが襲来。
しかも別々の方向から真っ直ぐやってきます。
「やっぱり...こちらの位置が...」
迎撃の為、セラヴィーガンダムとアリオスガンダムが出ます。
で、アニューですが、ここでとれる説は、ティエリアのように「自分がイノベイターだと知らずに生きている」説。
王留美による推薦は、アニューがイノベイターだと知っているリボンズの指示によるもの。
リヴァイヴと同系のアニューを潜り込ませ、しかも有能であること=トレミーに乗船まで見越して、位置把握用に利用する。
アニュー本人は、今後自分という存在に対する疑問を抱いていくという展開になりそうな気がしますが、果たして?
さて、ここからは怒濤のモビルスーツ戦へとなだれ込んでいきます。
そのあたりは、その2で。
えど
かなりの亀レスで無意味かも知れませんが…。
>リボンズにとって、刹那をガンダムマイスターにしたことでのメリットは、一体どこに
当初イオリア計画の第一段階の武力介入において、実戦に投入するマイスターを人間から選出すべきか全員イノベイドにすべきかをヴェーダは模索していたと外伝で描かれています。リボンズはイノベイド側の古株マイスターだったと思われます。結果的には人間3名とイノベイド1名(ティエリア)になったわけですが。
そしてその武力介入において、ソレスタルビーイングは人類がひとつに纏まる為の「共通の敵」ともいうべき存在となり、計画の中にはCBの滅びさえも視野に入れていたといいます。つまりマイスターの死が計画の中で選択されるケースも予め想定されていたという事でしょう。
リボンズは、そんな計画の為に使い捨てのように殉職するのは真っ平ゴメンだと思ったのではないでしょうか?何故人間よりも優れた自分が、人間如きの為に死なねばならぬのかと。そして自分の身代わりとして「死ぬべきマイスターの一人」として、刹那を推薦したのでは?
リボンズの言う「刹那の役目」とは、計画の第一段階で自分の代わりに滅ぶことではないかと思います。そして滅ぶべき時期を逃して生き延びた刹那は、もうリボンズにとっては邪魔なだけになったのではないでしょうか?