何と、気付けばガンダムの戦闘シーンがないという、キャラクター主体のドラマ仕立て。
開始当初から割と派手なバトルシーンを繰り返してきたガンダム00。このあたりでキャラクター主体の話を持ってくるところに、何となくですが制作の自信が伺えます。
キャラクター主体になると、突如暴走が見られるのも、ガンダム00ならでは。
今回の暴走キャラはティエリア・アーデです。
今週のビックリドッキリキャラは...。
女装ティエリア!
これにはビックリ。
ファンサービスというか、遊んでますね。
メインはティエリアとイノベイターの邂逅。
イオリア・シュヘンベルクの計画の全貌とやらも明らかになります。ただ、この辺はフェイクになっている可能性もあり。
他にも、刹那とルイスの再会とか、不死身の男再登場とか、色々あります。
今回はキャラクタードラマ故か、場面転換を頻繁に行うことでテンポの良さを確保しようとしています。
ということで、それぞれの陣営をまとめていくといういつもの作業で、今回も追ってみます。
まずはイノベイター。
今回登場したイノベイターは、
- リボンズ・アルマーク
- リジェネ・レジェッタ
- リヴァイヴ・リバイバル
- ヒリング・ケア
の4人。
リボンズはファースト・シーズンから登場しているのはご承知の通り。「機動戦士ガンダム」のアムロ・レイ役だったらしい(笑)。
リジェネはファースト・シーズンのエピローグより登場。「∀ガンダム」のロランで主役を張った朴璐美さんが担当しています。
リヴァイヴ・リバイバルは以前ちょっとだけ登場。斎賀みつきさんが中性的な雰囲気で演じています。
ヒリング・ケアは今回名前も含めて初の本格登場。川庄美雪さんが担当していますが、喋り方自体は女性的です。
ヒリング・ケアという名前は、ホントに直接解釈するならば、「healing care」で、「癒し」といった意味になります。
他のイノベイターが「再生」という意味で統一されているのに対し、別の意味が与えられていますね。
同じイノベイターと思われる「ティエリア・アーデ」は何なのでしょうか?
何か「地球」とか「大地」とか、そういった意味らしいですね。
で、リジェネは個人的興味からティエリアに接触。
リボンズは、
「困ったもんだね、リジェネの勝手も。彼はもう少し泳がせたかったんだけど...」
と苦笑してます。
ティエリアを泳がせておきたかったという、リボンズの思惑が何なのかはよく分かりませんが、イノベイターは基本的に同じ意志の元で行動している節があるので、人間に感化されたティエリアのような分子と接触するには時期尚早だと思ったのではないでしょうか。
ま、リボンズのことですから、別の思惑があるとは思いますけど。
リジェネは結構饒舌で、ティエリアにイノベイターの存在意義をかなりの密度で語っています。
これが実に興味深い。
しかも、イオリア・シュヘンベルグの計画に関する話に関しては、我々視聴者はかなり疑ってかかる傾向を植え付けられていますので、リジェネの語る「計画」が全貌なのか、そういったところが益々気になるような仕掛けにもなってます。
また、自分の同類がいることを知らなかったティエリアには、ヴェーダによる情報規制がかかっていたといいます。
リジェネが語ったイノベイターに関するトピックは、次の通り。
- GN粒子を触媒とした、脳量子波での感応能力を持つ
- 感応能力を使って、ヴェーダとの直接リンクが可能
- 遺伝子操作とナノマシンにより、老化を抑制している
- イオリアの計画に必要な存在。宇宙環境に適応しており、人類を新たなフロンティアに導く役割を負っている
1と2には溜飲が下がりました。GN粒子が関わっていたんですね。ティエリアの能力の正体はコレだったんです。
ネーナも同様の能力を持っていて、王留美が語っていたネーナの脳量子波はこれにリンクしてきます。
また、超兵の脳量子波伝達はGN粒子を必要としないものですが、イノベイターの脳量子波伝達はGN粒子を必要としているという違いがあります。
イノベイターと超兵のどちらの脳量子波にアドバンテージがあるかという考察ですが、私はGN粒子を必要としない超兵の方が優れているという説はとりません。
超兵の脳量子波は確かに環境を選ばない意思伝達を可能にしていますが、逆にソーマとアレルヤのような干渉による弊害も大きい。
イノベイターの方は、GN粒子を利用して脳量子波を伝達するということで、限定的な用途にはなってしまいますが、イノベイターの活動内容を考えると、GN粒子が散布されている領域を作れば充分実用的であるとも言えます。
それにしても、「脳量子波」というキーワードが超兵特有のものと思い込んでしまったので、ネーナの脳量子波について言及があった際、ちょっと混乱してしまいました。
3については、ティエリアの年齢不詳を補完する重要な設定です。ルイスの左腕は、この辺のテクノロジーで再形成されているのかも。
リジェネが語ったイオリア計画は、次の通り。
- 第1段階:ソレスタルビーイングの武力介入を発端とする世界の統合
- 第2段階:アロウズによる人類意志の統一
- 第3段階:人類を外宇宙に進出させ、来るべき対話に備える
第1段階はファースト・シーズンで描かれました。なお、リボンズによればこの第1段階の時点でソレスタルビーイングは消滅する予定だったとか。となると、イオリアが声明でソレスタルビーイングを名乗っているのは一流の演出だったことになります。
第2段階は当セカンド・シーズンで進行中の事象。かなり強引なやり方ではありますが、確実に連邦という統一イデオロギーは世界を包みつつあります。
第3段階が最も重要で、「外宇宙への人類の進出」「来るべき対話」という、スター・トレックのような壮大な計画になっています。
この「外宇宙への人類の進出」「来るべき対話」というキーワードだけ見ると、外宇宙には未知なる者が存在しており、人類はやがてその存在との対話を果たす日が来るとでも言っているかのようです。ガンダム初の宇宙人? そんなわけないか。
これが「イオリア計画の全貌」だとリジェネは述べていますが、果たしてそれが本当がどうかは、まだ分からないとしておいた方が良いように思います。
勿論、ティエリアもこの「計画の全貌」を支持しません。
リジェネ「人類を新たなステージに導くためには、大きな波が必要だ。そう、変革という波がね」
ティエリア「だから、アロウズの卑劣な行為を黙って見ていろと言うのか!」
リジェネ「変革は痛みを伴う。君たちだってそうしてきたじゃないか」
ティエリア「...」
リジェネ「君たちは、イオリアの計画の障害となっている。僕たちは、計画の為に生み出された。僕たちの存在意義は、計画を遂行し、それを完遂すること。君は、自分の存在を自分で否定している」
ティエリア「...」
リジェネ「ティエリア・アーデ。共に人類を導こう。同じイノベイターとして。答えは急がないよ。また会いに来る。君と僕は、いつでも繋がっているのだから」
リジェネは言葉巧みにティエリアを誘い込もうとしているようですが...。
更にリジェネは、ティエリアをリボンズにも引き合わせようと、アロウズ上層部の参加する経済界のパーティにも誘い出します。
王留美がソレスタルビーイングに伝えた「パーティの情報」は、リジェネの指示によるものでしたから、王留美はイノベイターに利用されている振りをしつつ、逆に利用しているということになります。
それと、イノベイター関連では、リヴァイヴ・リバイバルが新型モビルスーツ・ガデッサと共にアロウズに入隊しています。
ソーマ・ピーリスの殉職、ルイスの「特命」による欠員を補充するという名目での入隊です。同時に入隊してきたパトリック・コーラサワーについては後ほど。
なお、リボンズが前述のパーティにアロウズ上層部として参加しているのも大きなトピック。
アロウズはリボンズが裏で操っているというレベルではなく、リボンズが統括する軍隊なのでした。
ちなみに、ルイスの「特命」とは、前述のパーティに参加すること。ルイスはアロウズ最大の出資者であるハレヴィ家の当主であり、リボンズ自らが招待したようです。
続いて、ソレスタルビーイング関連。
マリーを受け入れるか否かで、クルーはやや混乱しているという様子が描かれます。
スメラギはアレルヤにとっての戦う理由が必要として、マリーの乗艦を容認。
ラッセは超兵ということで警戒。
ミレイナは、いつものごとく、
「つかぬことを訊くですぅ。二人は恋人なのですか?」
「...(アレルヤ&マリー赤面)」
「おお~っ!乙女の勘が当たったですぅ」
と、マリーを一切警戒していない様子。
フェルトはマリーの人となりについては理解を示していますが、4年前に多くの「家族」すなわちクリスやリヒティ、モレノ、ロックオンを失ったことで、当時「敵」であったソーマ・ピーリスを受け入れられません。
「言わずにはいられない」
というセリフに彼女の心の傷を垣間見ることが出来ます。
アレルヤは、
「フェルトにとって、この船のクルーは家族同然で、彼女にとってここは、全てなんだ」
とマリーに説明しています。実はこの時のマリーの表情が非常に可愛い...。
後に、フェルトはアレルヤの「いいんだよ、僕たちは家族なんだから」という言葉にやや心が救われています。
結局、フェルトはマリーへの無礼を謝ることに。
「皆さんのこと、大切に思っているんですね」
「私の...家族ですから」
という会話は、マリーもいずれフェルトに家族視してもらえるのではないか、という期待感を抱かせます。
一方、この時の他の面々はというと...。
刹那は、アザディスタンの解体の報を見てマリナに思いを馳せていました。
ティエリアは、リジェネの言葉に心が揺らいでいます。「存在意義」とかに弱そうですからねぇ、ティエリアは。
ところが、ここで何とニール=ロックオンの幻影が登場。
トレミーの窓に映っていたのを見て、ふと後ろを振り返ったくらいですから、ティエリアには「はっきりと見えた」のだと思われます。
「四の五の言わずに、やりゃイイんだ。自分の思ったことを、がむしゃらにな」
とニール。
現在のティエリアに最も影響を与えたのは、やはり初代ロックオン・ストラトスだったようですね。
その後、クルーによるブリーフィングが行われますが、ここで扱っているのは連邦による中東再編。
連邦は中東再編の強引な案を発表。
強引でありながらも、スメラギは世論がそれを受け入れるだろうと予測しています。
スメラギによれば、
「皆困らないからよ」
の一言であり、勿論、「困らない」のは連邦市民。
- 太陽光発電と軌道エレベーター事業、コロニー開発で連邦の財政は安泰
- その恩恵を受けて連邦市民の生活水準は向上し、アロウズと保安局で反政府行動も抑えつつある
「問題もなければ実害もない」
とスメラギは結んでいますが、むしろ連邦市民にとっては安全かつ豊かな生活が送れるとあって、「利益」になっています。
ここでのイメージ映像、ファースト・シーズンの沙慈を思わせるところが巧い。平和の恩恵にあずかる者にとっては、外の世界の混乱など蚊帳の外。そんな風刺が効いています。
ただ、その裏には多くの犠牲があり、刹那はそれを指摘。
刹那「そんな世界が正しいとは思えない」
ロックオン「アロウズを作った野郎だ。そいつが元凶だ」
この会話を聞いたティエリアは、イノベイターの存在こそが元凶ではないかと考えます。
この時点でティエリアはイノベイターという出自にアイデンティティを見出すのではなく、トレミーのクルーという現在にアイデンティティを見出していることが分かります。
その後、王留美から暗号通信により、アロウズの上層部が経済界のパーティに出席するという情報が入ります。
前述の通り、これはリジェネの「戯れ」です。
ティエリアが、
「本当の敵を、この目で見たいんだ」
と偵察への参加を申し出ます。
ティエリアは、リジェネの思惑通りに動いたことになるわけです。
刹那がそれをバックアップすると進言。刹那とティエリアのこのあたりの連係振りがイイ感じ。
スメラギは、
「仕方ないわね。その代り、私の指示に従ってもらうわよ」
と言います。
「私の指示」とは勿論...!
あと、イアンは新型支援機「オーライザー」の調整の為に宇宙へ。
オーライザーを装備すれば、「現存するどのガンダムをも凌駕する機体になる」とのこと。
とりあえず、前半はこの辺で。
続きはその2にて。
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