第46話「終末の始まり」

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ストーリー

 蘭は不思議な夢にうなされていた。夢にはルビーと名乗る異星人が現れ、呼びかけているようだった。一方、地球の軌道上に多数のウオフ・マナフ艦隊が浮遊。それを感知していた御園木の部屋に、ブライトンと名乗るウオフ・マナフの使者が突然現れる。ブライトンは戦いをやめさせたいと申し出るが、その為にはある条件があるという。グランセイザーを検査にかけることがその条件だ。猶予は3日。

 ブライトンの行った検査では、蘭に反応が現れた。ブライトンによれば、何とその検査は、ボスキート遺伝子を探知するもの。蘭を連行し最高会議に委ねると言う。強制的に退去を命じられた天馬や洸たちの前に、蘭を探すアケロン人・ルビーが姿を現わす。洸と愛はルビーを追うが、ルビーは洸と愛に「違う」と告げて姿を消してしまう。その頃、御園木は今ひとつ信用に足らないブライトンを幽閉することに決定した。幽閉された部屋にホログラフで現れたベルゼウスは、「交信者」蘭を殺すようブライトンに命じる。早速ブライトンはアルゴウルを差し向ける。

 ルビーは蘭にテレパシーで語りかけられ、堀口博士と共に逃亡した蘭だったが、アルゴウルに連れ去られてしまう。天馬、直人、豪は蘭を追ってアルゴウルを追撃。しかしアルゴウルの圧倒的な力の前に敗退を喫してしまう。アルゴウルの手が蘭に伸びる! ところが、殺されかけた蘭を救う光線が。何と蘭を救ったのはルビーだった。ルビーはウオフ・マナフでありながら、ベルゼウスの仲間ではないと言うが・・・。何とかアルゴウルの脅威を免れた天馬たちだったが、蘭は一人走り去ってゆく・・・。

解説

 いよいよウオフ・マナフの艦隊が地球に接近、怒涛の展開を予感させる不気味な雰囲気の一編である。前回の蘭の漠然とした不安が、見事に伏線となって生かされているのが素晴らしい。その伏線も物理的なものではなく、あくまで蘭の感情にとどまっていながら、それでもなおストーリー展開の主たる原動力となっているのだから秀逸だ。地球人の姿でのみ現れるブライトンが最近の異星人とは一線を画しており、地球人の姿ゆえに御園木との駆け引きが一層緊張感をかきたてている。

 今回は何とアケロン人まで現れるという、今後の展開に一味加えようという姿勢が感じられるが、これも緻密な構成の一環であることに、もはや疑問の余地はない。グランセイザーひいては地球人だけでなく、ウオフ・マナフ内部のあらゆる派閥による複雑な絡み合いが、今後のストーリーを強力に牽引しそうな感を充分漂わせている。

 以上のように、「前兆」としてのストーリーテリングを強く感じさせる一編だが、派手なアクションもしっかり盛り込まれている。タリアスの反転キックは体技と特殊なアクション演出が見事に融合した素晴らしいもの。大地のトライブ2大必殺技も、アルゴウルには通用しなかったものの、アングルやカット割りが絶妙で鳥肌モノのかっこよさである。クライマックスに向けて、全てに手抜かりない意欲が感じられる。