第32話「宇宙飛行士の悪夢」

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ストーリー

 スペースシャトルでの宇宙飛行より帰還後、「幽霊を見た」と言って宇宙飛行士を引退、アメリカの病院で療養していたヘンリー若杉が、娘リサと共に秘密裏に帰国。リサは父親の誕生日プレゼントのネクタイを買うべく、若杉と共にショッピングセンターに来ていたが、突然異星人に襲われる。居合わせた天馬がリサを救うが、異星人の逃亡を許してしまう。その場より少し離れたところへ、若杉は倒れていた。

 リサは京南大学病院へと搬入されるが、幸い何事もなく、勤務中の愛によって看護されることとなった。数時間後、洸は異星人と遭遇。戦闘となるが、洸もまた異星人を逃してしまう。異星人の逃げ去った跡には、謎の軟体物が残されていた。駆けつけた天馬に、それを堀口博士に調査してもらうよう勧める洸。その時、愛が怪しい男を目撃する。天馬が追い詰めると、その男はマイク唐木というNASAのエージェントであった。唐木は、異星人が若杉に乗り移っているとし、危険視していた。リサもそれに気付いていた。

 一方、堀口博士は洸の発見した物体により、水晶板の新たな性質を発見する。水晶板には、超古代の物質と接近したとき、それに関連する記録を再生する能力があったのだ。水晶板の記録により、若杉に憑依したのはフェドラという異星人の亡霊で、超古代にウオフ・マナフより受けた地球人抹殺の命令のまま動いていることが分かった。そんな折、唐木の要請を受けた御園木が若杉を追い詰める。フェドラの姿となる若杉! 天馬は、果たして水晶板の記録で、フェドラを永き眠りに就かせられるか・・・?

解説

 単純な異星人憑依モノかと思いきや、何と「亡霊」だという凄い展開になだれ込む異色エピソード。プロットは異色だが、展開は第3部でもオーソドックスな部類に入る。特定の個人を助けようとする天馬、国際的な利益を優先させることを第一の行動目的とする政府関係者、一つの謎を解き明かす堀口博士といった、王道パターンが随所に見られる。一方で御園木が、最後はマイク唐木を無視して「NASAに地球が守れるか」と一括する場面は印象的だ。

 水晶板の、超古代物質との接近による記録の再生能力という新たな重要トピックがあるものの、意外と印象は薄い。それは一重に、フェドラが亡霊であることに関係しているように思う。「亡霊」という題材を得て、「死んだことに気付かせる」という行動にキャラクターを向かわせ、結果的にフェドラへの同情をも感じさせるという筋書きに繋がっている。それは実に日本的な発想であり、かなりSFとは遠い位置にあると言えよう。しかしながら、ファンタジックな面を垣間見せたことにより、グランセイザーの世界観を広げることに成功しているようだ。

 エピソードの性質上、アクションは少なめ。レムルズ久々のアクションシーンでは、装着前に、洸の珍しい素面アクションもちょっと見られる。タリアスのアクションでは、両足によるヘッドシザースを披露。ますますバリエーションが広がっているようだ。ドラマ面では、久々の天馬の熱血振りと、そんな天馬を全面的に信頼し、御園木に意見する洸の内に秘めた熱さに注目。