ブラジラ編も三話目。通常の長丁場ならば、三話目あたりで方向性が固まってくるのですが、このブラジラ編も方向性が見えてきた気がします。
しかし、残り話数も少ないんだから、三話目でディレクションが見えてくるってのは、遅いのではないでしょうか(笑)?
見えてきた部分の筆頭は、ブラジラのポジション。仲間の護星天使の命を奪い、仲間の天装術を手中に収めるという悪虐振りが語られる事で、彼の「ダーク」な部分が明らかになりました。というわけで、彼が「崇高な勘違い天使」ではなく、「キリスト教的な囁く悪魔」でもなく、「卑怯な悪ボスの典型」であることが固まりました。つまり、一年間引きに引いてきた興味を、ごく普通のボスキャラに置き換えてみせた事により、結構ノーマルな展開の戦隊に落ち着いたと。
そして、もはや物語の「引き」の部分は、ブラジラの行動が云々よりも、むしろゴセイナイトがどうなるかの方に集約されており、ブラジラはかなりの部分で狂言回しに徹する事になったと思われます。
なので、今回は望が重傷を負うとか、地球救星計画のあらましがゴセイジャー達に露見するというトピックがありつつも、ゴセイナイト編のプロローグといった趣が強い。やっている事が壮大(でもないけど)の割に盛り上がらないのは、こんな事情があるからでしょう。
今回は古代の護星天使のビジュアル等もあって、結構楽しめました。が、終盤になっても解決不能な問題はあるようで…。
その辺りは続きの方で。
今回登場のダークヘッダーは、ユニベロスヘッダーのバリ・ボル・ダラ。
前回のナモノ・ガタリが「ナルニア国物語」、今回のバリ・ボル・ダラは「ハリー・ポッター」、次回まで引っ張るロー・オ・ザー・リーは「ロード・オブ・ザ・リング」なので、意図的にファンタジー系大作映画から題材を取っている事が分かります。また、後から登場するものほど、頭の数が増えていくのも面白い処でしょう。
今回感心したのは、前回文句を言いまくった「ヘッダー形態がない」事に関する回答があった事です。というのも、バリ・ボル・ダラとロー・オ・ザ・リーが変形し、ブラジラの両腕に合体するというシーンが用意されていたからです。
厳密には、ヘッダーの形態とは言えないかも知れませんが、ほぼ頭だけになって飛び回ったり、武装として使用されたり、何となくヘッダーとして描写されていました。これには、何だか少し嬉しくなってしまったり。やっぱり、敵味方が共通のインターフェイスを持っているというのは、ワクワクしますからね。…と言いつつ、例を挙げようと思ったらなかなか思いつかなかったり。唯一思い付いたのは、トランスフォーマー初期の「スクランブル合体システム」。特に販促OVA版がワクワク致します。
ところが、このワクワク感があんまり生かされていないんですね。やっぱり。
色々と指摘出来るんですが、最もイヤな感じだったのは、ヘッダーを「下僕」と称するブラジラに対し、護星天使が「仲間」だと反論するくだり。
本シリーズの典型的な悪い面が出てしまったのが、ここでした。
これって、一見納得出来るような気がしますけど、ゴセイジャーがヘッダー達を「仲間」と称するのは自然としても、そういう扱いをした印象があるかと言うと、それは否ではないでしょうか。
巨大戦ではヘッダーをガンガン打撃武器として使っているし、等身大戦でも特に道具以上の描写が見られるわけでもなし。ミラクルゴセイヘッダーとの邂逅と、ゴセイナイトとの関わりを前提としている作劇なのでしょうけど、唐突に感じられても仕方ないように思います。
で、前述の「悪い面」の話ですが、要するにゴセイジャーもブラジラも、ヘッダーの扱いは大して変わらず、単に関わり方を言葉の違いとして表現するしかない状態なので、ストーリーに入り込んで行ける要素に乏しいのです。この「言葉の違いとして」という点が重要で、本シリーズは重要な事をセリフだけで済ませてしまう場面が、実に多いんですね。
今回、このヘッダーの件に関わらず、相変わらずグタグダと微動だにせず議論を重ねるシーンがありましたが、ラジオドラマじゃないんだから…と思ってしまいました。マジスを引き合いに出して、激昂してしまうハイドはとっても良かったんですけどねぇ…惜しい!
もう一つ、決定的にダメダメな部分がありました。それは、地球に打ち込まれる三本の楔の件です。
全部日本に打ち込まれるという、スケール感の無さがイマイチなのはいいとして、折角望の口を封じてまで二本目の楔の打ち込みを成功させたクセに、最後の楔を打ち込む前に全貌をバラしてしまうブラジラって一体…。この後全力でゴセイジャーが阻止にかかるのは、ストーリー上必須なので、この時点で計画のあらましを把握しておく必要はありますけど、それにしてもブラジラが語る必要は全く無いでしょう。というより、語っちゃマズいでしょう(笑)。
一気にシラケてしまった諸兄諸氏は多いのではないでしょうか。
それに、「実はブラジラの計画に加担していた」というロジックも実に弱い。ゴセイパワーを込めて云々という説明を、またセリフでやっちゃう。最終編はシリーズの集大成ですが、悪い部分の集大成をやっちゃったのでは、もう何とも…。相変わらず、悔しがるスーツアクターさんの演技とか、キャスト陣の声の宛て具合とかは、非常に素晴らしかったのですが。
次回はアラタのいい表情が沢山見られそうなのですが、期待より不安の方が上回ってしまっている私でございます。
ちょろ
こんにちは。
今回は・・うーむ、寂しさだけが目立ちましたか。
ストーリーも芝居も全くよい意味の驚きがありません。
巨大楔の計画は珍しくもなく、仲間・道具論争もアクションの前提でしかないので取って付けた感しか。
ブラジラ自らのネタバレはわたしも呆れてしまいましたが、進行役兼務なのでしょうか。
残り3回放送あるわけですが、この薄っぺらさで続けられてもちょっと苦痛のような。
もう願望でしかありませんが、せめて5人の役者さんの個性を見せる演出あればと思います。
この終盤に至っても、今回のハイドのようなメイン担当以外は誰がどのセリフしゃべっても大差ない、そんな演技なんですよね。
例を引くのもおこがましいですが、シンケンジャーでの「寿司屋でよければ」とか「御武運を」などのような名場面をせてほしいものです。
助演陣がほとんど皆無に近いので厳しいとは思いますが。
天地人
うーん、ラストに向かって(幽魔獣編→マトリンティス編→ブラジラ編)順調に盛り下がっていくという、ある意味驚天動地の展開(涙)ですね。
ここまでセリフで語っちゃうなら、初期戦隊(結構後でも使ってましたが)みたいにイラストを使って説明した方が、視聴者には分かりやすかったんじゃないでしょうか。
どうしても、今頃は次の戦隊に興味が行きがちになるんですが、ここまでアレってのは珍しいですね。
あと僅かなので、期待を裏切るゴセイジャー(苦笑)らしく、自分の不安も裏切る展開を見せて欲しいです。
SirMiles
>ちょろさん
あんまり考えてませんでしたが、残りわずか3回なんですね。
3回と言えば、「バトルフィーバーJ」~「サンバルカン」は、最終編を手堅く3回でまとめあげてました。コンパクトな最終編を展開出来なくなっている事情があるとはいえ、長い最終編なのにあんまり盛り上がらない作品もちらほらと…。特に今回は顕著ですねぇ。
恐らく、シンケンの反動で、サブキャラが極限まで抑えられているものと思いますが、これだけベテラン俳優の恩恵が皆無のシリーズってのも、珍しいですね。声優さんは素晴らしいのですが…。ああ、東千代之介さんや岸田森さんのようなキャスティングは、もうないのか!
>天地人さん
「盛り下がる」って、言っちゃいましたね(笑)。思うに、戦隊じゃなければ打ち切りモンですよね。今年のマーチャンダイジングの具合の方はよく分かりませんけど。
昔は野口竜さんや赤坂徹郎さんのイラストとか、素晴らしかったですよね。
もう、このまま飛田展男さんの魅力で押し切って欲しいです。
M'sRoad
アラタ「火星にでも行ったらどうだ」
ブラジラ「火星には我々の苦手な○×○・・・って、バルタン星人じゃないから!
手にヘッダー付けてるだけだから!」
あの状態のブラジラとダークゴセイナイトの2ショットは、なんか凄い絵ヅラです。
歴史に残る珍場面に立ち会ったような気がしました。
前回のランディック兄妹に続いて今回はハイドの燃えるバトル。マジスの回想も良いけど
私は真っ先にデータスとの絆を思い出してしまったので、「そういやそんなヤツいたっけ」」
と失礼なつぶやきを漏らしてしまいました。あ、あの回は脚本が別の人だった・・・
「共通のフォーマット」と言えば、
キカイダーのジローがアオデンキウナギの腕を移植されるエピソードはどうでしょう。
あれって同じダークの基地で生まれたからパーツの互換性が有るってことですよね。
ゴセイナイトも昔のご主人様の指令と、新しい絆を結んだ仲間たちの呼びかけとの間で
苦悩するシーンを見せて欲しいものです。
SirMiles(管理人)
>M'sRoadさん
ヘッダー装着ブラジラ、結構可愛らしいですよね。
マジスは割とハイドのキャラクター性に影響しているので、この辺りは成功だったと思いますよ。ただし、「そんなヤツいたっけ?」という印象を持たれたとすれば、成功とは言えないかも知れませんけど(笑)。
キカイダーがダークロボットと出自を同じくするというパターンは、石ノ森先生お得意のパターンですね。こういった骨太な展開、近年では難しいんでしょうね…。