今回はスカイック族のターン。その中でもメインはエリです。それと、データス登場。
テーマとしては、エリの口癖である「大丈夫、何とかなる」の意味性に迫る展開になっています。
「ゴセイジャー」も早くも4回を数えましたが、ここまで来て気付くのは、どうもテーマ性の語り口が饒舌ではないということです。今回も、エリの「何とかなる」には根拠があるという話なのですが、それはアラタの説明のみで語られ、ストーリー上、特に生かされているわけではないのが残念。
今回は、その辺を分析(というのも大袈裟というか、おこがましいですな)してみようと思います。
前半は、一旦ゴセイジャー敗退という展開になります。スカイック族が空・風属性ということで、空気の振動によって伝わる音という現象に対し、敏感であるという設定が生きてきます。
今回のウォースターの刺客は、「トッケリク星人・ミューズィックのマズアータ」。こんな騒音系の怪人は結構スーパー戦隊シリーズでも見られますし、逆に騒音に反応する怪人や怪獣といったキャラクターも数多く見られます。
このマズアータ、ただ騒音(メタル系の劇中音楽自体は結構カッコいい)を垂れ流すという、何とも単純なヤツなのですが、スカイック族には酷な攻撃であり、ゴセイジャーは一旦引き上げを余儀なくされるわけです。
で、今回より、すっかり天知天文研究所を「基地」として使い始めたゴセイジャー達は、アラタとエリを介抱すると共に、作戦会議と相成ります。ここでエリの「大丈夫、何とかなる」が登場。音の攻撃を防ぎようがないという分析に対するエリの回答ですから、エリの頭の中には既に対抗策があったことになります。勿論、アラタがエリの「何とかなる」に根拠があるという説明が付加された上での話です。
が、ここでちょっとした破綻が発生します。
エリは、この時点では多分スカイック抜きでも何とかなるというニュアンスで発言しているのです。しかし、ストーリーの展開はそうはなりません。ブレドラン(今回、異様なカッコ良さが印象的)が想定外の存在だったとしても、結局アグリ達3人ではマズアータの音波攻撃を阻止出来たかどうか。逆に阻止出来ると仮定した場合、冒頭の敗退に意味がなくなります。
ここが今回の残念な部分です。
結局、マズアータの音波攻撃を無力化したのは、エリの歌声。世界中に響いていた音波攻撃(「ゴーグルファイブ」のエンディングフィルムを彷彿!)を阻止したのは、アラタの「ツイストルネード」で世界中に届いたエリによる「天使の歌声」だったわけです。最も音に対して耐性の低いスカイック族が、最も音に対するアドバンテージを持っているという、納得出来るような出来ないような、そんな展開になってしまいました。
さて、こんな具合にテーマ性の語り口に問題こそあるものの、他の部分では多くの見所を有しています。
まずはエリの気まぐれと、それに対するアラタの理解。エリの気まぐれさ加減は、「何とかなる」という口癖とは全く結びつかない、単なる無責任な気まぐれなのですが、アラタはそれも含めてエリの長所としています。この大らかさこそがスカイック族の真骨頂。エリの性格を描写するだけでなく、ちゃんとアラタを関わらせてアラタの正確をも浮き彫りにしています。
続いて、データスの登場。データカードダス「スーパー戦隊バトル ダイスオー」の筐体が何故天知天文研究所にあるのかというツッコミはさておき、マスターヘッドとの繋がりが皆無となった今、唯一の連絡手段として登場したわけです。声は宮田幸季さん。「アバレンジャー」の爆竜トリケラトプスですね。これで、「ゴセイジャー」には後見人にあたるキャラクターが、マスターヘッド、天知秀一郎、データスの3人に。これはスーパー戦隊史上、かなり珍しいことだと言えるでしょう。超自然的存在、人間の長官(ないしそれに準ずる者)、マスコットキャラの3パターンが一同に介したのですから。
あ、何で「ダイスオー」の筐体が研究所にあるのかというツッコミですが、逆にマスターヘッドが用意したデータスというキャラを模して商品化したのが「ダイスオー」の筐体だと思えばいいわけですね(そうか?)。
…にしても、やっぱり、天知天文研究所に護星天使達が集合するのだと、マスターヘッドが予測していなければ、データスはあの場に存在しなかったわけで。この辺、説明不足な感はありますね。
このデータス、ディスプレイ部分の描写が物凄くいい感じです。表情の作り方は「ロボコン」あたりからの伝統芸ですし、現状分析にあたっての細かい動きもよく出来ています。ファンタジー戦隊でありながら、こういったハイテクな部分が描かれるあたり、贅沢な作りになっていますね。
あと、スカイック族を欠いても、ランドシーバスターなる必殺武器が構成出来るアイディアが良いです。非常にシステマティックな感じがありますし、ブレドランを吹き飛ばすことしか出来なかったという描写により、ブレドランの強力さを印象付ける事と、ゴセイバスターの威力をこの時点で否定しないという、両方の効果を生んでいます。少なくとも、ブレドランにゴセイバスターを見舞って効果がないという描写を、この時点で登場させなかったのは正解でしょう。
そして、エリの歌声。さとう里香さん自らの歌唱だったようですが、声質も雰囲気作りも上手いですねぇ。スキャットだけの歌って結構難しいので、聴いた時はビックリしましたよ。歌声によって花が芽吹くという描写もいいですね。
逆に、巨大戦の「ドレミファ」はちょっとやり過ぎで興醒め。
最後に敵側について一言。モンス・ドレイクのキャラが早くも崩壊開始!さすがは飯塚さん、コミカルな中にもしっかりと威厳があり、安定感はすこぶる高いです。よって、このキャラ崩壊は個人的に大アリなのです!
この回は、スーパー戦隊シリーズ 天装戦隊ゴセイジャー VOL.1 [DVD]に収録。
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