epic39 「エピック・ゼロ」

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 ブレドラン復活!

 ブレドRUNと名を変え、姿を変え…。護星天使への怨恨を晴らす為に。

 と言えばカッコイイですが、すこぶる微妙なお話。シリーズでは大変珍しい前後編の構成なのはインパクトがありますが、前後編の前編としては、あんまり引っ掛かりもなく、ダラーッと話が進行していく感じです。

 せっかくブレドRUNが復活したにも関わらず、彼自身の意思が奪われているという設定もあって、没個性である上、顔面を見なければ誰だか分からない状態も悲しい。後々、ブレドRUNがちゃんと生かされなかったら、激怒必至ですな、これは。

 そんなわけで続きの方をどうぞ。

 今回登場のマトロイドは、タイマーのバクトフージER(イーアール)。まぁ、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」が元ネタでしょう。

 時間を巻き戻して相手を不利な状況へと追い込むという能力は、古くから繰り返し描かれて来たものですが、今回はビジュアル自体はいいものの、描写が実に不徹底。記憶を保ったまま時間が巻き戻されるとか、いつの時代の特撮モノなのかと言いたくなります。

 とはいえ、同様のシーンを過去の特撮ドラマから挙げてみようと思っても、なかなか見つからないわけで、むしろ「デンジマン」のタイムラーの話といった傑作エピソードが思い出されるわけです。タイムラーの場合、記憶自体がタイムスリップするという重厚な描写でうならせてくれました。また、「サンバルカン」でのタイムモンガーの話では、対象者の先祖の記憶を喚起するという、もうどんなテクノロジーなのか想像すら拒むような設定になっていて、逆に視聴者のツッコミ処を超越してしまうという、思い切った展開を用意していました。

 すみませんね、戦隊初期の話ばかりして…。

 こういったノスタルジーに浸るくらい、今回はダメだなと思いました。残念ながら。

 さて、望の「未来の履歴書」の宿題のくだりでは、護星界にも様々な職業があることが示されます。

 どうやら「護星天使」も職業の一つのようですが、何で皆それぞれ別の夢があるのに、「護星天使」になろうとしたのか、よく分かりません。まぁ、そこは深く考えるべきではないのでしょうけど。また、いつもの如く、アラタだけが曖昧にされているのも気になります。後編への引っ掛かりとして用意されているのかも知れませんが、あえて曖昧にしておく意味もよく分かりませんね。

 そして、サイボーグのブレドRUN。

 復活に至るシークェンスは、描写が実にクールで、マトリンティスの魅力全開となっています。ただ、メタルAがどうやって見つけてきたのか等、全くプロセスが描かれないので、とっても唐突です。あと、メタルA自身がゴセイジャー達の前に姿を現した際に、生きてて当然みたいな反応だったのも微妙過ぎます。シリーズ構成の不徹底には今更言及する事もないでしょうけど、せめて1エピソード前からの繋がりくらいは、考慮して欲しい処です。

 ブレドRUNのデザインは、私の好みだったスマートな出で立ちから、随分変貌を遂げていて、私としては不満。オリジナルの半メカ状態のようなデザインだと、もっとクールだったのになぁ…と思います。

 後半では、アラタが過去にタイムスリップ。

 バクトフージERの能力は、対象の記憶を保ったまま、時間を巻き戻すというものなので、それがアラタ一人に強烈に作用したという意味では、一応筋は通っております。

 この後半部分こそがメインとなるのでしょうけど、前半にクライマックスっぽい部分を持ってきてしまったので、異様なまでに地味展開となってしまい、かなり勿体無い感じがします。

 ただ、過去のシーンは細かい処で異常なほどに徹底していました。というのも、女性陣の髪型がシリーズ展開につれて変化していったわけですが、過去のシーンではちゃんと初期編の髪型に戻っているんですよ。マジスの件に触れたり、まだスカイック、ランディック、シーイックが互いに連絡出来ない状態など、やけに徹底していて時間軸的にリアルなんです。

 時間的にはちょっと前に戻っただけに過ぎないので、大きなビジュアル的変化はなく、どうやって過去と現在を描き分けるかという点で、現場の方々は相当苦労されたのではないでしょうか。

 天の塔が無事という描写と、髪型くらいしかビジュアル面で差を付けられないので、サラッと「ながら見」をしてしまうと、何が起こっているのかよく分からなくなってしまうのは、仕方ないんでしょうね…。

 次回、後編は果たして期待に値するエピソードとなるのか…?

 ちょっと怖いです(笑)。