いやはや結構真面目な話でしたが、面白かったのではないでしょうか。
マトリンティス編のこんな初盤に、いきなり幹部級のメタルAを戦わせて、しかも敗退させるとは。なかなか思い切った事をしたものです。
しかも、前回までで繰り広げられた、ゴセイナイトとの会話を因縁と捉え直して縦糸とするなど、「ゴセイジャー」の中ではとりわけ巧さが感じられる構成。そこに、やはりゴセイナイトとの関係性を深化させている望を絡ませ、ゴセイナイト単独のドラマとしても成立させているのは、いい感じです。
ゴセイナイトの人間に関する理解度は、まだまだゴセイジャー達に及ばないものの、マスターヘッドという精神的なアイコンを失った今、ゴセイナイトこそがゴセイジャーを導く存在を担っている感があり、今回はその辺りの関係をピックアップして、違和感のない程度に具体化していたように思います。
一方で、天知博士の奥方である「裕子さん」の存在が初めて紹介されます。
望には母親の存在が希薄に感じられる(というより、自身のキャラクターの輪郭がボヤケている)為、「天知家のお母さん」の存在が関心を寄せられる機会も少なかったのですが、漠然と、離婚か死別かといったバックグラウンドを想像させていました。
しかし今回、はっきりと「多忙な人」という説明によって存在が確認された事により、これからのストーリーテリングに影響する可能性もあります。
でも、やや唐突だなぁ…。
極めて私事ですが、行事が色々とあって疲労気味なので、続きの方はちょい短文で。
今回、ゴセイジャーやゴセイナイトと戦闘を繰り広げたマトロイドは、エージェントのメタルA(アリス)。
ロボゴーグによって一番初めに生み出された「特別ハイスペックな」マトロイドを自認している、クールな女性幹部です。
メタルAの声や仕草に関する評判は上々。タブレットのようなもので適宜現状分析を行うなど、マトリンティスの特徴を最も体現しているキャラクターだけあって、その重要度はかなり高い。それだけに、今回その他大勢のマトロイドと同じような扱いになっていた事には大いに驚かされました。
ただし、強さという面では完全に他のマトロイドを凌駕しているのは確か。スーパーゴセイジャーといえども、剣の一振りで撃退する程の実力です。
その割には、交通網を混乱させるという、東京近郊だけに有効な作戦を展開し、悦に入っているのがツッコミ処。しかも、「人類など少し数が減った方が良い」等とセリフで説明しちゃってますから、言動不一致なのは如何ともし難い部分です。こういう大言壮語な傾向は、何も「ゴセイジャー」だけではなく、昔からある話ですが、マトリンティスには硬質な魅力があるので、のほほんとした言動不一致の曖昧さがあると、違和感があるんですよねぇ。
このメタルA、物凄く強いので、どう対処するのかと見ていたら、結局ゴセイナイトが人間への理解を深める事でその使命感を昇華させ、これまでにない力を発揮するという流れでした。ここに至るまでの、望との交流話が割と丁寧だったので、納得出来る流れになっていると思います。
一方、メタルAによって「裕子さん」の乗ったとおぼしき特急列車が危機に陥り、ゴセイジャーが何とか助けようとするくだりでは、ゴセイナイトの「諦めるな」という、奮起を促すゲキが飛び、同時に望の強い願いがゴセイジャーに奇蹟・ゴセイワンダーをもたらすという展開。
「ゴセイジャー」における奇蹟は、何度も述べたように「降ってくる」ものですが、今回ははっきりと出所が望であるとされており、その意味で特殊であり、かつ望のシリーズにおける重要性を高めたと言えるでしょう。残念ながら劇場版は未見なので、ゴセイワンダーの登場は「裕子さん」並に唐突な印象でしたが…。
で、その「裕子さん」に関して。
まずその呼称ですが、とりあえず問題ないのではないでしょうか。確かに望は天知博士を「お父さん」と呼んでいるので、「お母さん」と呼ばないのは違和感がありますが、最近では親を特殊な呼び方で呼んでいる家庭もそんなに珍しくはないので、いいでしょう。
この呼び方に関しては、母親の存在をミステリアスに見せるという意味合い(および、天知博士が尻に敷かれているという意味合い)があるものと想像出来ますが、今ひとつ成功していないような。
また、数々の伝説をゴセイジャー達が聞かされているというくだりも、今ひとつ。このエピソードの為だけに、急遽でっち上げたような唐突感に満ちていて、ちょっと感心しません。こういうくだりを用意するならば、もっと前から種を蒔いておくべきだし、逆にアラタ達が一切「裕子さん」の存在を知らない方が良かったように思います。
しかし、望自体のドラマは結構良かったんですよね。
天知博士にはゴセイジャーの事を明かせないから、一人で一生懸命祈り続ける。この姿に感動を覚えます。また、ゴセイナイトにより接近していく爽やかな人情劇の展開も○。母親の死に直面する恐怖をゴセイナイトに打ち明け、ゴセイナイトの望に対する心境に、明らかな変化をもたらすなど、静かで素晴らしい演出も見られます。中盤までの完全なる傍観者的視聴者の代表から、マトリンティス編で随分と変貌を遂げており、やっぱりレギュラーキャラはこうでなくては、と思いますね。ただ、若干空疎に見えてしまうのは、これまでの望のキャラが浮いたままだったから仕方のない処でしょう。望だけに関して言えば、まだ1クール目ですから(笑)。
ところで、メタルAの復活は想定内でしたが、ロボゴーグによる理由の説明が素晴らしいものでした。曰く、「データの回収に必要な事をしただけ」。メタルAを「ロースペック」と言い放つ辺りなど、悪らしい痛快さがありました。また、幹部級でありながら破壊され、幹部級である故に容易に組み立て直されるという、機械系組織ならではの不気味さも感じさせていて、今回のメタルAの在り方は、マトリンティス編の在り方の指標となるものだったと言えるでしょう。
M'sRoad
…ご無沙汰しております。まだ薬は飲んでおりますが
ゴーオンジャー、シンケンジャー、ディケイドとROMらせて頂いておりました。
ゴセイジャーについては大人の事情も耳にしますが
それだけに現場のスタッフの頑張りにを応援したくなります。
今回もメタルAの下マツゲから目が離せませんでしたwww
彼女の上を行くツンデレっぷり全開のロボゴーグ閣下もいい味です。
「別にアンタの心配で直したんじゃないからね!」www
もうこの感じでイイんじゃないですかね この作品は。
尺が余ったダイナマン みたいなシンプルな筋立てに
天地親子が絡んでこう マタ-リと。
で 最終回の二話くらい前に 死んだと思われてた「あの人」が三度現れ
決戦!…と 思っていたら なんか本当にそんな流れが…
ちょろ
こんにちは。
今回は・・面白かったですか?構成も雰囲気も甘くて個人的に苦手、よって厳しくなります(苦笑)。
まずいきなり登場?単身赴任の「裕子さん」ですが、設定は現代的ですね。
しかしエピソード説明だけ写真すら見せないではイメージが膨らみません。よくある顔を映さない再現ドラマ的カットが適してましたか。
それからいくらそそっかしいお母さんとはいえ、最後の電話で望君への思いやり皆無とは子供向けらしからぬ制作ミスでしょう。
あれだけ踊って祈ったのにすっぽかされた父子のリアクションが描かれないのも、ドラマとしてどうでしたか。
タイトルは「アリスVSゴセイナイト」ですが、前に対峙したジャスティスの回と違いメタルAに別に狙い撃ちの意識はないのですね。
今回のメタルAの行動は作戦とは言えない単なるハイスペックの誇示な訳で、それならなぜ鉄橋ひとつにわざわざ時限爆弾使うのか、それこそ不合理のような。
ただ、「カウンターなんて飾りよ」だけは彼女らしい憎まれ口、気に入りました(笑)。
天使諸君に至っては完全な脇役、今回彼らに必要な芝居はまたもや小うるさい説教ではなく、愛を説く内藤君に驚く絵ではなかったかと。
ワンダーも普通のヘッダーではなぜ駄目なのかわからない処理、奇跡の演出にひきずられただけのようで残念。
最後にゴセイナイトですが、いきなり泣きつく望君に対して「以前私を助けてくれた勇気はどうした」とかではないのが難しいです。
男の子らしくとか言う場面でも時代でもないのでしょうが、あまりの変貌・・
そのうちメタルA様に人間愛を洗脳する役にされたりしないよう願っています(笑)。
SirMiles
>M'sRoadさん
お久しぶりです。
ROMとはいえ、ずっと御覧頂けて嬉しいです。
メタルAの睫毛は私も気になりました。戦隊シリーズの造形美には唸るものがありますよね。
筋書きとしては、実はダイナマンの方がかなりハイレベルだと思いますけど、確かにマターリ系としては楽しめるのではないかと思います。
ご自愛下さいませ。
SirMiles
>ちょろさん
おおっ、手厳しいですね(笑)。
まぁ、細部がダルダルだったのは認めますけど、真面目話としてはそれなりにまとまっていたのではないかと思い、あのような感想となりました。
望を叱咤しなかった違和感というものは、私は感じませんでした。あのシーンでは、ゴセイナイトが懸命に望の感情を理解しようとしていた風に見えたので。
あと、「裕子さん」は、天知父子が心配していたかどうかに対して無頓着だからこそ、面白いと感じました。
…いずれにせよ、ユルいことはユルいですが(笑)。