ランディック族であるアグリとモネがメイン。ただ、ストーリー的にはモネの方がメイン中のメイン扱いです。
最初の数話は、とにかく徹底してスカイック、ランディック、シーイックの各族の特徴を紹介する趣向らしく、今回もランディック族の、文字通り「突っ走る感覚」をフィーチュアしています。
また、アグリとモネが5人の中で唯一兄妹の関係にある2人だということで、種族の中の反発というテーマを描き易くしており、その面でもなかなか見応えがあります。
その中で、モネ役のにわみきほさんのアクションは、体当たり演技であることを感じさせつつ、なかなか素晴らしい動きを見せてくれていて、アクションヒロインとしての充実度が高くなっています。これは実に嬉しいことですね。
で、ストーリーの方なのですが、3話目にしてようやく琴線に触れた感じがしました。とは言いつつ、やっぱりアッサリ味であることには変わりありません。「ゴセイジャー」はスカイック族のように楽天的な世界観を持っているように思います。
モネには潜在能力の高いヒロインという設定が与えられました。兄であるアグリはその力を認めつつも、その力を使いこなすテクニックが、妹・モネにはまだ足りないことを危惧しています。アグリが高い能力に嫉妬しているわけではないところが、爽やかですね。
モネとアグリの実際の天装術の能力の違いは、同じ「ROCKLASH」のカードを使っても、モネの場合は巨岩を、アグリの場合は無数の小岩を出現させるといった感じに現れています。モネの方がパワフルな感じなんですね。ただし、タイミングの巧さやパワーの配慮といったタクティカルな部分では、圧倒的にアグリが上です。こういったアクション面での細かい描き分けがなされると、俄然キャラクターが生きてくるので、是非とも頑張って欲しいところです。
そして、アグリとモネの話でありながら、アグリに歩み寄り、あくまで自然体にて解決してしまうのが、アラタの役目。今回の「レッドならではのリーダーシップ」という面は、このような形で現出するようです。同じ横手脚本の「ゲキレンジャー」でも、同じような感覚のレッドが見られました。また、「ゴーオンジャー」は強力なリーダーでありながらも、天然キャラな感じが自然と仲間を引き付けていく趣向が見られました。
前作の「シンケンジャー」が割と主君的なリーダーを擁する「古典的戦隊の本流」だったのに対し、今回は「もうひとつの戦隊の本流」というべきパターンに則っているわけです。
もう一つ、主要なトピックがあります。それは、望の家である「天知天文研究所」にゴセイジャー達が居候することになるというもの。
まず、アラタとエリがそのきっかけを作り、ランディック族が拒否するという流れを作ることで、「仲間の存在」という今回のテーマと結びつけるという、巧い処理が見られました。秀一郎役の山田ルイ53世さん(長いなw)もいい味を出していて、居候によるコストなんかは全く考えていない太平楽というか無頓着な感じがよく出ています。
スーパー戦隊ファン的には、この秀一郎の存在は長官やマスコットキャラによる「後見人」ということになるのですが、今回の真の「後見人」はマスターヘッドであるからして、やや特殊なポジションにあると言えます。近いのは…そう「ギンガマン」。近いというより、「ギンガマン」のパターンそのものです。マスターヘッドとモーク、秀一郎と晴彦、望と勇太…バッチリ符合します。ただ、マスターヘッドという存在は、本当にただ見守っていることしか出来ない存在になっている為、「ギンガマン」と同じ構図をとりつつも、やや変則的なものだと言えそうです。
いずれにせよ、この秀一郎が護星天使達に何かしらの影響を与えるようなエピソードが、出現することでしょう。その時に、このキャラクターの真価が問われるものと思われます。
さて、映像面。
ちょっと残念なのは、ユウゼイクスが雪・氷属性の敵だったのに、それに対する対抗策が「岩」だったこと。ここは超定石だとしても、炎や熱といった対処法を見せて欲しかったところです。モネの負傷は完全に自爆だったし、氷属性によってシーイック族が危機に陥り、ランディック族が強みを見せるといった展開もありませんでした。
ウォースターは割と声優陣が豪華なのですが、見せ方の点でちょっと損をしてるんですよねぇ。ゴセイジャーに倒される為だけに出てくる感じ(ちょっと言い過ぎか)は、「東映スパイダーマン」のマシーンベムみたいです(笑)。
モネのアクション性の高さは冒頭で触れましたが、アラタも高い木から吹き替えなしで飛び降りたりと、なかなか魅力的なシーンに挑戦してくれています。最近は生身アクションも色々と制約があるでしょうけど、こんな風にスパイス的なテイストでもいいので、色々と盛り込んで欲しいですね。
あと、巨大戦は、早くも合体シーンが省略バージョンで笑えました。ヘッダーが毎回地球製メカをコピーしているという手間にも笑えましたよ。ヘッダーによる遠隔攻撃は、今回ランディックをフィーチュアして脚部のみという秀逸さ。最後のキメカットは、実景の遠景を利用した、非常にリアリティのあるカットでした。手法としては非常にオーソドックスですが、オープンであおり構図という定番から離れ、別のリアリティを見せたという点で評価したいです。というより、今までこういう構図があまりなかったのが不思議な感じですね。
次回はスカイック族をフィーチュアするようです。予告からは早くも悪ノリっぽい雰囲気が…。楽しみです。
この回は、スーパー戦隊シリーズ 天装戦隊ゴセイジャー VOL.1 [DVD]に収録。
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