ストーリーを簡単にまとめると、エルレイの匣を使ってミラクルゴセイヘッダーを封印した武レドランが、膜インを徹底的に持ち上げて出撃させ、ゴセイジャー諸共エルレイの匣に封印しようと企む…というもの。
筋グゴンが途中で膜インに復讐すべく登場するのですが、実はこれは武レドランの謀略を阻止する為の芝居。さらに膜インは巧妙にもエルレイの匣をすり替えており、武レドランはまんまと膜イン&筋グゴンの策にハマり、ゴセイジャーに敗退してしまうのです。
逆転に次ぐ逆転劇として、非常に見応えがあるにはあります。ただ、相変わらずすぐに自信喪失してしまうゴセイジャーの面々等、悪い面もやっぱりあって、所々バランスを欠いたりしています。ゴセイナイトが天知天文研究所に現れて説教するなど、凄い絵面で笑わせてくれる(シーン自体は大真面目)部分もあるので、惜しく感じます。
で、武レドランですけど、私は一応生存説を採りたい。というか、採らせてくれないと、武レドランに仕掛けられた色々な謎が全く未解決のまま終わってしまいます。「何も分からないままポイ捨て」が許されるのは、最終回における正体不明の大ボスだけ。
では、続きの方で、イチャモンをつけますよ(笑)。
今回倒された幽魔獣は(笑)、チュパカブラの武レドラン(武レドラン)。
この武レドランは、ウォースターでも「彗星のブレドラン」として暗躍し壊滅させた実績があり、幽魔獣としての正体を現してからは、しばらく膜インと筋グゴンに大人しく仕えていたのですが、ここ数話でその黒い企みを顕在化させました。
武レドランの企みとは、ゴセイジャーごと膜インをエルレイの匣に封印し、自らが地球の覇者となる事。その為に、知略を尽くして膜インに取り入り、筋グゴンを貶め、ギリギリまで粘って罠を仕掛けたのでした。
ところが、膜インと筋グゴンは物言わずとも互いを信頼する仲。哀れ、武レドランは逆に膜インと筋グゴンに陥れられ、ゴセイジャーに敗れ去ってしまいます。
あ、冒頭のストーリー紹介と重複してしまいました。まぁ、ここで言いたいのは、膜インと筋グゴンの仲が結構気持ち悪いという事と、武レドランの知略をいとも簡単に凌駕する幽魔獣のトップ二人によって、ゴセイジャーが蚊帳の外にならずに済んだという事。膜インと筋グゴンが退場して、武レドランがまんまと逃げおおせたら、幽魔獣をゴセイジャーが倒さない事になってしまいますからね。なお、膜インと筋グゴンって、声とキャラクター以外、結構ストーリー上の存在感が薄い存在でしたが、実は奸智に長けた存在だったということが示され、一気に存在感を増した感があります。
さて、今回は、あえて正義側に関しては言及しません。はっきり言って、いつもと変わらないので…。
で、悪側をクローズアップしていくと、盛り上がっているけど、何だかよく分からない。
まず、エルレイの匣。これが正体不明。いや、シリーズ展開上、まだ正体不明でも構わないんですけど、既に意味不明な感があるので。
前提として、エルレイの匣は幽魔獣のパワーを結集したガジェットです。しかし、1万年前の戦いで当時のゴセイジャーに逆に利用され、膜インと筋グゴンは封印の憂き目に遭いました。そして現代に至り、武レドランはエルレイの匣の封印を解いて膜インと筋グゴンを復活させます。さらに今回、そのエルレイの匣を使ってゴセイジャーはおろか膜イン、筋グゴンまで封印してしまおうとするわけですが、ここまで見て気付くのは、エルレイの匣が「なんでもアリ」な強力兵器である事です。
この「なんでもアリ」は、実は圧倒的に面白味に欠ける存在である事を約束します。とんでもないものを作ってしまったという感覚が膜イン達にあり、極端に恐れるような描写があれば、まだ深みもあったのですけど、「諸刃の剣」とか言ってる割には、楽しそうに腹の中にしまっているし、ゴセイジャーにも幽魔獣にも使用できて、ゴセイジャーにも幽魔獣にも効果を発揮するとか、もう意味分からん。
というわけで、ストーリー上の最重要ガジェットである筈のこのエルレイの匣が、いかに不徹底な存在かが窺えます。後に続くエピソードで、何かしらのテーゼがある事に期待します。
このエルレイの匣に関わり、武レドランも大変不徹底な存在です。ただし、このまま退場するという前提ならば。以下、退場を前提に話を進めます。
ウォースターにおけるブレドランは、割と分り易い「腹黒キャラ」でした。ただし、まだシリーズ初期だったのもあって描写が浅く、何か企んでいるようにも企んでいないようにも見え、ウォースター壊滅時に退場してしまっていても、今回ほど違和感を抱きませんでした(実際、私は退場したと思った)。
しかし、彼が幽魔獣として登場したからには、シリーズに一貫して登場する事を期待してしまいます。しかも、今度は「腹黒キャラ」に磨きがかかり、はっきりと何かの目的を抱いて幽魔獣に寄っているのが明確なのです。
ところが、この武レドラン、真の目的が「ゴセイジャーと幽魔獣を封印して地球を我が物とする事」だと告白します。何とスケールが大きく、何と矮小か。要するに、言ってる事のスケールは大きいけれど、思考的な面では実に短絡的で浅薄。あれだけ巧みな心理操作の罠を仕掛けて視聴者を感心させておきながら、この目的の薄さには愕然としてしまいます。
ウォースター、幽魔獣と渡り歩き、ミラクルゴセイヘッダーの存在を知り、1万年前の戦いを知っている…。こんな深淵なキャラクターを、こんな矮小化されたキャラクターにしてしまうとは、全く悪意すら感じられます。
その最期も、幽魔獣編の最後を飾るという栄誉ある役を与えられる筈もありませんから、惨めなもの。レギュラーロボ総登場の巨大戦でメッタ打ちにされるという、何とも割り切れない幕引きでした。確かに、バトル自体はテンポ、テンション共に高く、見応え充分でした。しかし、これまでの「ゴセイジャー」ならば、幹部戦で一発奇跡が起きてもおかしくないのに、武レドラン戦では殆どゴセイジャー達のストレート勝ちであり、こういった面でも冷遇されています。
というわけで、逆説的に、武レドランが退場しないのではないか、という結論になるわけです(笑)。
こんな不徹底なキャラ退場を放置する程、シリーズ構成は堕ちていない筈…。そう信じたいです。
ちなみに、「仮面ライダーOOO」が始まりましたが、アチラが「W」の余韻を霧散させる程面白かったので、そういった面でも「ゴセイジャー」は分が悪かったと…。
頑張れ!ゴセイジャー!
ちょろ
こんにちは。
ゴセイジャーはシリアス回でもなぜか明確な2話連続を作らないのが謎と思っています。
描写不足と予定調和が目立つ尺足らずのむりやり一話・・今回は特に残念でした。
ボウケンジャーあたりでしかなかったような四つどもえの図、ここまではワクワクです。
ならば天使封印直前、あるいは偽の匣でもかまわず天使半数くらいとコメディ要員の筋グゴンもおまけに一緒に封印、そんな混沌の大ピンチで前編終了としてほしかったかなと。
そうすれば封印脱出に敵幹部一万年相愛?の仲やどんでん返されるブレドランの末路も絡めて、後編納まり良かったんじゃないですかね。
本編は・・ヘッダーあっさり回収され過ぎ、ブレドランには天使と今戦う理屈は薄く、天使はこれまた勝つ道理は示されないのに絶叫気合いだけの巨大戦、もううるさくて。
ブレドランについては、わたしもつぎはぎだらけながらも連続する最後の希望だったのですが、「なんでわたしがお前等ごときに!」が出てしまっては・・(笑)
第二部スタート直後に、まさか第三部まであるのか友達と話したことがあります。そこまで無茶苦茶にはしないだろうと言うわたしに友達は、「でも一部あたり15話でしょ?それにあの敵キャラ、明らかにギャグ入ってるし。あんなラスボス相手に素面で大団円させる訳ないよ〜」
・・宇宙人にUMAときたら、異次元人あたりで締めるのでしょうか?(笑)
SirMiles
>ちょろさん
ホント、不思議なくらい前後編がありませんね。多分、構成としては1クール強で区切りをつけていく「レインボーマン方式」のつもりなんでしょうけど、それによって1エピソードの密度が低下しているんですよね。
気合がうるさい(笑)のは、ファンタジー戦隊の伝統ですね。その方向性がキャラクターと見事に合致したのが「ダイレンジャー」で、視聴者をも巻き込んで成功したのが「ガオレンジャー」でしょうね。
敵組織のモチーフは、これまで「学研ムー」な感じで来ているものの、ネタ切れな気がします。ここは是非、黒十字総統やサタンエゴスの復活を(毎回同じ妄想ばかりですみません)。
天地人
見てから書き込もうと思っていたのですが、中々見れないまま、もう木曜に(汗)
ちょっと気になった事があったので書き込ませてもらいます。
武レドランですが、ネーミングの元となったのはもちろんあの名作ブレードランナーですが、スタッフは何故この名前を付けたんでしょうか?
今回あっさりやられた武レドランですが、もしかしてウォースター編の最後でも宇宙船と一緒に死んでいるのではないか。
元ネタ映画と同じように、あのブレドラン2人は、真のブレドランのレプリカントみたいな物じゃないでしょうか。
そうであれば、宇宙船と一緒に死んでいても記憶は残る訳ですし、あれだけ暗躍してるわりに今回あっさり倒されたのも納得できるんですがね。
まあ、思いっきり自分が勘違いしてる可能性大ですけど(苦笑)
SirMiles(管理人)
>天地人さん
レプリカントですか、なるほど。凄く納得出来てしまいます。
ということは、「砂漠で亀が歩いている」とか質問すれば、それがバレると(違)。
ともかく、ブレドラン自体、あれで退場ということにはならないと勝手に思っているので、天地人さんの仰るように、何らかの分身体であって欲しいですね。