epic2 「ファンタスティック・ゴセイジャー」

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 2話目にしてハイドがメイン。そして、ゴセイマシン、ゴセイグレート登場です。

 例年、巨大マシン初登場編は特撮が大盛り上がりなのですが、今回もやっぱり魅せてくれました。

 ハイドが属するシーイック族の特徴も、ストーリー運びの中で説明されていましたし、ランディック族の猪突猛進振り、スカイック族の楽天的な性格も盛り込まれていました。それらの性格が、ちゃんと属性とシンクロしている辺りが上手いところですね。



 ただ、前作「シンケンジャー」のドラマの深度に比べると、やや軽薄というか薄味ですね。

 ハイドの観点は、護星界への帰還に集中していましたが、そこに共感する者は誰一人としていなかった上、二百年に一度という太陽フレアの大爆発の機会を逃してまで、望達を助けるに至るというハイドの決意は、それほど入り込めるものではなく、「あ、ダメだったわ」程度にしか見えない(笑)。

 地球を守るのが天使の使命だということで、護星界へ帰還するよりも、目の前で苦しんでいる人々を助けるのがポリシーだということを、改めて確認したという意味では、非常に納得出来ます。が、それを納得させるだけの説得力は、やや薄かったように思います。望の扱いが、ゲスト子役の域を脱していないというのも、その一因でしょう。

 筋運びの面は、まぁそんな感じですが、今回はとにかく天装術やゴセイマシン、アクションの見せ方が巧みで、子供を夢中にさせます。何といっても、沢木郁也さんによるテンソウダーの声がいい!思わず大人でも「◯◯パワー」てな感じで真似してしまいます。

 テンソウダーにカードを装填する一連のアクションも、1話目では少々間延び感を感じていましたが、2話目にして早くもそのあたりを払拭。テンポを崩さずに、ちゃんとポーズを取っており、早々に演出がこなれてきているのを実感できます。

 今回は1話目のようなワイアーアクションによる華麗なシーンは見られませんでしたが、その代わり、地に足の着いた殺陣で戦闘員をバタバタとなぎ倒していくという、初期戦隊に通じるアクションシーンを見せてくれました。個人武器の見せ方も巧みで、特にハイドの水中戦は、現在だから可能になったリアルな水中戦という雰囲気で仕上がっており、非常に満足度が高いです。

 そして、ゴセイマシンの登場。

 これって、ハイドが護星天使の使命を自覚し、他の4人と意思統一が出来たが故の結果…ということでいいんですよね?こういう「流れ」の弱さが、現在のところの「ゴセイジャー」の弱点かなぁ、という気がします。

 さて、ゴセイヘッダーが地球製のマシンをコピーしてゴセイマシンになるというビジュアルは、素直にユニークでカッコいいと思います。それぞれのマシンがアニマルモチーフ+マシンモチーフなのは、「ライブマン」あたりの進化系っぽくていいですね。

 で、戦隊でマシン登場編といえば、後から殆ど見られなくなる(笑)各マシンの大活躍シーン!これが大充実なのです。

 ドラゴンヘッダーの「ダイレンジャー」の龍星王を思わせるなめらかなミニチュアの動きを筆頭に、ミニチュアとCGを駆使した興奮必至の特撮シーンが展開されます。

 スカイックコンビの空中戦は、地形や建造物を利用した立体的な演出が素晴らしいものに仕上がっていました。ランディックコンビの地上戦は、賑やかで地響きを感じさせるような、重厚かつスピーディなものになっており、連携プレイもカット割の妙味が的確に効いていました。ハイドのゴセイシャークは水中戦ということで、他のマシンに比べて地味になるかと思いきや、ハイドの沈着冷静な戦況分析と対処が相俟って、潜水艦のタクティカルなバトルを魅せるという方向性に。これにはやられました。

 各マシンの活躍は、話数を重ねるに連れてどんどん減少し、遂には合体シーンの省略にまで至るのは、それこそ「デンジマン」あたりからの定石なのですが、これだけのものを見せるには、物量も時間もかなり消費するでしょうから、致し方ないのかも知れません。

 最後はゴセイグレート。合体シーンは、最近では珍しいミニチュア主体のシーン。勿論複雑な動きのカットはCGになっていますが、アクチュアルな物体が物理的に変形・合体するシーン作りは、もはやスーパー戦隊シリーズが最後の砦になってしまったような気がします。そんなわけで、今回披露された合体シーンは、かなり燃えましたよ。

 必殺技も、剣が燃え上がるという「カクレンジャー」の無敵将軍を思わせる迫力。護星天使という「リアルでない」存在が、地に足をつけた印象を与えるのは、こうしたアクチュアルな映像作りによるものだと、私は思いました。

 前作ほどドラマに入り込めはしないものの、ライトな作風は見ていて爽快ですし、逆に映像的な工夫を楽しむ方向に目を向けられます。前回書き忘れましたが、今作はとにかく効果音がいちいち素晴らしい。そういった音を楽しむ方向性もあります。

 というわけで、今回も満足いたしました。

 この回は、スーパー戦隊シリーズ 天装戦隊ゴセイジャー VOL.1 [DVD]に収録。