GP-45「初夢キカク!?」

 ゴーオンジャーは須塔兄妹の招待で温泉宿にて新年会。炎神達は元旦だけに開かれるという、リフレッシュホールなる炎神達の癒し空間にてリフレッシュの最中だ。スピードルが走輔と離れていて少し寂しげな表情を浮かべたのを皮切りに、炎神達は相棒達の思い出を語り合い始める。

 一方その頃、ケガレシアはヨゴシュタイン復活を企図して魔術的な実験を執り行っていた。実験は進行し、ヨゴシュタインのカッコいい所を思い出す必要のある局面へと入っていくが、どうにもカッコ悪い場面しか思い出せずにいた。ケガレシアは不貞腐れ、心身を癒すべく温泉宿へと出かけて行く。キタネイダスはキレイズキーのムゲンゴミバコにふと気が止まるものの、開き直って「やけオイル」に溺れて行った。

 走輔達の宴会も滞りなく進行していたが、走輔が江角流どじょうすくいを披露して席に戻ると、楽しみに取っていた海老がなくなっていた。激怒して各人に疑念を向ける走輔だったが、ふと古風な子供が姿を現す。その子供が姿を消した途端、部屋の明かりが消え、早輝の髪飾りが盗まれた。海老や髪飾りを盗む悪戯は、子供の仕業だったのだ。

 美羽は、その子供が座敷わらしではないかと言いだす。この宿には座敷わらしが居て、遊んでくれた人に幸せをもたらすという言い伝えがあった。しかし、時代の変遷と共に既に消えてしまったものと思われていた。座敷わらしは、悪戯をしてその存在を気付かせようとしていたのではないかと考えた走輔達は、座敷わらしを捜し始める。座敷わらしを探し回る早輝は途中、温泉で入浴している女性に聞き込みの為に声をかける。ところが、その女性はケガレシアだった。ケガレシアがリフレッシュの為に来た温泉宿は、走輔達の居る温泉宿だったのだ。早輝はケガレシアに気付かず、そのまま座敷わらし探しを続けた。一方、大翔と美羽は座敷わらしを発見。座敷わらしが歌っているのを聞いた大翔は、歌が好きなのだと直感する。

 大翔と美羽の発案で、座敷わらしの為のコンサートを開くことに。まずはG3プリンセスの出番。早輝と美羽は丁度居合わせたケガレシアと共に、G3プリンセスラップを披露する。だが、座敷わらしはケガレシアに向かって「おばちゃん、嫌だ」と一言。驚愕する男性陣の前でケガレシアは全身を沸騰させて烈火のごとく怒り、宿の外で突如巨大化! しかし、リフレッシュホールから戻ってきた炎神達がエンジンオーG12に合体し、ケガレシアをパンチ一発で遥か彼方へと飛ばしてしまった。

 気を取り直し、今度は男性陣でG5プリンスを結成! 大翔作の「君とギュッと♪」を披露する。座敷わらしは大喜び。

 宿を後にしたゴーオンジャー達の前に、座敷わらしが現れる。座敷わらしは可愛い着物に身を包んでいた。実は女の子だったのだ。女の子故に、男性アイドルグループ「G5プリンス」の方が嬉しかったようだ。

今回のアイキャッチ・レースのGRAND PRIX

 バスオン!

監督・脚本
監督
竹本昇
脚本
波多野都
解説

 新年スペシャルエピソード。キレイズキーの一件を年末にて文字通りしっかり片付け、年明けの最終章に向けての箸休めといった趣ながら、ほぼファンサービスに特化した内容は暴走寸前。「ゴーオンジャー」ファンにとっては嬉しい「お年玉」になった。

 内容の大部分は総集編であり、この構成は典型的なお正月エピソードであると言えるが、ゴーオンジャーのキャラクターの多さを巧く消化しているとは言いがたく、走輔、連、早輝に割かれた尺がやや多かったり、範人と軍平はあまり顧みられなかったりと各キャラによって扱いにやや隔たりがある。しかしながら、正義側の炎神を含む全キャラクターと悪側のメインキャラクターについては全てが網羅されており、やや駆け足気味のナレーションと相俟って凄まじいテンポで展開されるのは凄いことだ。

 単なる総集編に堕さず、一応は無理なく振り返っていくストーリーが用意されているのも面白い。流れは以下の通りだ。ストーリー項との重複はご容赦の程を。

 まず、ゴーオンジャー達は須塔兄妹の出資により(!)、新年会を温泉宿の宴会場で行う。豪華な食事付きであり、各々満足気であるが、そこで事件が起こる。それは、早輝の髪飾りが紛失したり、走輔の楽しみにしていた海老がなくなったりという他愛のないもの。ここでは、走輔のどじょうすくいという、凄まじくベストマッチなかくし芸も披露。この宴会の間、炎神達はリフレッシュホール(どこに存在するかは不明)にて英気を養っており、その途中での炎神達のお喋りに絡め、走輔、連、早輝、範人、軍平、大翔、美羽のベストシーン集が見られる。

 一方、ガイアークではヨゴシュタイン復活を企図して、ケガレシアが何やら怪しげな黒魔術的扮装で作業中。ヨゴシュタイン復活の為には「ヨゴシュタインのカッコいい場面」を思い出さなければならないのだが...結局出てくるのは蛮機獣が倒される場面やヨゴシュタインが倒される場面。

 このような具合に、一応ストーリーと総集編とがアンマッチにならないような工夫が見られ、視聴する上での「ぶつ切り感」は非常に低いレベルに抑制されている。単に座談会方式で思い出すよりははるかに味があるだろう。ただ、総集編として割り切っていない分、それぞれのベストシーン集の少なさは如何ともし難いという面は否めない。また、全体的にバラエティ番組的なつくりだ。

 その後、ゴーオンジャー達は座敷わらしの存在を認知し、探しはじめる。ケガレシアはヨゴシュタイン復活を諦め、ふて腐れてゴーオンジャー達の居る温泉宿へ! ここまで来ると、自然なんだか不自然なんだか分からない程強引で笑える予定調和。勿論私個人の嗜好としては「アリ」だ。なお、ここではケガレシア入浴シーンという、ある意味意外だったサービスシーンが見られる。「意外」というのは、及川氏自身のキャラクターに触れてのことではなく、意図的にヒロインのサービスカット(水着とか入浴とか)を廃しているように見受けられる「ゴーオンジャー」において、ここまで直接的なシーンが挿入されるとは思いもよらなかったからだ。

 そして、座敷わらしが見つかったことにより、G3プリンセス復活となる。ゴーオンジャーとケガレシアを引き合わせるお膳立ては既に済んでいる。また、G3プリンセス復活となると途端に打ち解ける早輝、美羽、ケガレシアが素敵過ぎだ。ここで久々の「G3プリンセスラップ」が披露されるのだが、ケガレシアは座敷わらしに「おばちゃん」と呼ばれ、怒って退散。しかも、ビックリウムなしで巨大化まで果たす。そこにリフレッシュを終えた炎神が来るという、超グッドタイミングが泣かせどころで、走輔達不在の折でもエンジンオーG12に合体できるところを見せたのも注目ポイントだ。このシーンでは、ケガレシアがやや小さめに描写されており、規格外の巨大化だったことが分かる。エンジンオーG12の強力パンチで吹っ飛ばされるカットはやや可哀想だが、及川氏自身がワイヤーアクションで後方伸身宙返りしつつ飛ばされるという妙に気合の入った体当たりシーンになっている。

 その後、今回のハイライトであるG5プリンス登場。スペシャルユニット風味を高める為か、どことなく「羞恥心」のような風合いでまとめられており、やや懐かしめの曲調も相俟って直球男性アイドルポップユニットに仕上がっている。「羞恥心」に「ウルトラマンダイナ」で主役を張ったつるの剛士氏が存在することを思えば、何だか感慨深くはないだろうか。残り話数から考えると、このG5プリンスの再登場、そして本人達によるイベントもあまり期待できそうにない。演出には全体的にG3プリンセス程の入れ込み具合が感じられない(イメージショットや合成カット等がない)ことからも、本当に今回限りのスペシャルユニットとして見ておいた方が良さそうだ。逆に、G3プリンセスの再登場に関しては、セールス面やプロモーション面など様々なシーンで好評だったことが反映されたものと考えられる。

 エンディングはG5プリンスによるもの。この点で言えば、G5プリンスは2曲を披露したことになり、G3プリンセスとはまた違った扱いとなっている。エンディングの映像も基本形にところどころG5プリンスが乱入するといった趣向でまとめられており、面白い。本編における妙なハジケっぷりとは対極の、常にクールにキメる大翔には大いに注目したい。カッコいいはずなのに(実際にカッコいいのに)、ギャップの激しさから大いに笑えてしまうのがミソだ。ちなみに、歌詞には「ナルシスト」とある...。

 今回は話の性格上、このくらいに留めておく。ちなみに、ムゲンゴミバコがしっかり存在感をアピールしていたことを、付記しておきたい。