GP-31「歌姫デビュー」

炎神戦隊ゴーオンジャー G3プリンセス CD-BOX

 騒音が溢れる街に、突如怪物が現れた。別次元からの侵入者に、ゴーオンジャーとゴーオンウイングスが立ち向かう。矢継ぎ早に必殺技を繰り出す一同だったが、怪物は攻撃を受けてもビクともしない。その上、巨大化まで果たしてしまった。しかし、怪物は巨大化すると突然眠ってしまう。そこにガイアーク三大臣がバンドを組んで登場。彼らの真意は一体...?

 三大臣によると、怪物の名はロムビアコ。サウンドワールドからやって来た、雑音が大好物の生物だという。さらに巨大化してしまったのは、ゴーオンジャーとゴーオンウイングスの攻撃による爆音が原因のようだ。ヒューマンワールドの消滅を望まない三大臣は、サウンドワールドの伝説に従い、素敵な歌声を聴かせることでロムビアコを縮小させよう画策、その為にバンドを組んで現れたという。

 ケガレシアはドラム、ヨゴシュタインはギター、キタネイダスはベースを奏で、メタルサウンドに乗って高らかに歌い上げるが、騒音に近いそのサウンドはロムビアコを更に巨大化させてしまった。早輝は「素敵な歌声と言えば、アイドルユニットよね」と言い出すが、大翔は「この俺のラブソングで、眠っている間にヤツを小さくしてやる」とスタンバイを始めた。早輝は美羽をアイドルユニット結成に誘う。乗り気でない美羽を押し退け、ケガレシアがそのアイドルユニット計画に賛同。早輝は「1人より2人、2人より3人」と言い、嫌がる美羽をケガレシアと共に引きずってその場を後にした。

 大翔はギターの弾き語りで自分に酔いつつラブソングを美しく歌い上げる。ロムビアコの「採点ランプ」はどんどん高評価つまり縮小の方を指し示していったが、大翔が自信たっぷりに歌い終わった途端、逆の評価へと一気に加速。結局ロムビアコはさらなる巨大化を果たしてしまった。意気消沈し、その場に崩れ落ちる大翔...。そこに、大時計のメロディが流れ始める。すると、ロムビアコは歌ではないにもかかわらず縮小を始めた。ところが、ロムビアコは大時計を破壊してしまう。今、破壊を続けようとするロムビアコを制止できるのはガンバルオーのみ。範人と軍平はガンバルオーを完成させてロムビアコに掴みかかる。ボンパーの分析によれば、大時計のメロディの波形は一般的な女性の歌声に酷似しているという。その為、大翔が美しい歌声を披露してもダメだったのである。やはり早輝達3人を待つしかないようだ。

 その頃、早輝、美羽、ケガレシアの3人は、ネーミングや衣装デザイン、方向性を巡って揉めていた。早輝はとりあえずその場をまとめ、完璧なアイドルになる為の特訓を始めようと提案。まず、早輝発案によるジェットコースターに乗ってのスマイル特訓を開始。早輝と美羽は笑顔全開でジェットコースターを楽しむが、ケガレシアは目が回ってフラフラになってしまう。

 一方、女性の歌声というキーワードに反応したヨゴシュタインとキタネイダスは、女装デュオを即席結成し、昭和の匂いを強く感じさせる歌を振り付きで歌い始める。だが、案の定逆効果で、ロムビアコはさらに巨大化し、ガンバルオーが制止できない状態にまで陥ってしまった。走輔はゴローダーGTで加勢するものの、攻撃の爆音で更に巨大化を許してしまい、状況はどんどん悪化。連はガンバルオーにキューユソウルのパワーを与えて、何とか早輝達3人が来るまでもたせようとするが、ロムビアコの強大な力の前に絶体絶命だ。

 早輝、美羽、ケガレシアのアイドル特訓は続く。ケガレシア発案による、特殊形状記憶ケガレメタル製のアイドルお色気ポーズ養成ギプスによる特訓は、早輝と美羽にお色気ポーズを強制的に覚えさせるというものだ。嫌がる早輝と美羽は強制的に恥ずかしいポーズをとらされ続ける。

 そして最後の特訓は美羽発案による、ボールサーブマシンから連射されるバレーボールを避けるという特訓。苦しい特訓に挫けそうになった時、3人は初めて心を一つにした。敵味方を超えたアイドルユニット、名づけて「G3プリンセス」の誕生だ!

 いよいよロムビアコの巨大な足が、ゴーオンジャーやヨゴシュタイン達を踏みつけようとしたその時、「待った」の声と共に早輝、美羽、ケガレシアの3人がピンクのドレスに身を包んで到着! G3プリンセスは「G3プリンセスラップ」を披露し、ロムビアコの縮小に大成功する。だが、「G3プリンセス」の活躍はまだ終わりではない。早輝と美羽はゴーオンイエロー、ゴーオンシルバーに変身、そしてケガレシアは元の姿に戻り、ロムビアコを追い詰めるべくコンビネーションアタックを開始する。そしてロムビアコは「G3トライアングル」による必殺技で粉砕された。

 騒動が終わり、「3人っていいよね」「この勢いでヒューマンワールドを守ろうよ」と言う早輝と美羽に、ケガレシアは「今度会う時は、再び敵同士でおじゃるよ」と言い放ち、2人に別れを告げた。1日限定のアイドルユニットは、こうして切ない解散を迎えた。ベアールVは、自分を加えた4人でMステに出るつもりだったらしく、密かに憤慨していた...。

今回のアイキャッチ・レースのGRAND PRIX

 ベアールV!

監督・脚本
監督
渡辺勝也
脚本
荒川稔久
解説

炎神戦隊ゴーオンジャー ミニアルバム G3プリンセス ~PRETTY LOVE☆Limited~

 ヒューマンワールド最大の危機に、敵味方の垣根を越えて立ち向かう一大娯楽巨編! ...ではなく、悪ノリスペシャルアイドルユニット「G3プリンセス」のプロモーション(?)回である。

 敵味方共にヒューマンワールド消滅を望まない故に、利害一致の観点から手を結ぶというストーリー運びは、「仮面ライダースーパー1」の第11話「SOS!一也よドグマに協力せよ!!」や、アニメでは「戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー2010」の最終回前後編という前例があり、それぞれが絶妙な緊張感の上に成り立っている傑作群であるが、今回もプロットとしてはそれに類する。しかしながら、これぞ「ゴーオンジャー」スタイルの極致といった悪ノリぶりが凄まじく、まともな戦闘シーンは冒頭とクライマックスのみ、後はほぼ全編歌番組化するという暴走を見せている。

 スーパー戦隊シリーズにおける、敵味方を超えたスペシャルアイドルユニットの存在は、G3プリンセスの項でも触れたが「忍風戦隊ハリケンジャー」の巻之三十「アイドルと友情」(今回と同様、荒川氏の脚本)に登場した、ハリケンブルー=七海と敵幹部フラビージョによる「BIJYOCCO♥7」がパイオニアだ。プロットは今回と全く異なるものの、ユニット完成に至るプロセスは今回のG3プリンセスと結構似ている。決定的に違うのは、「BIJYOCCO♥7」がノリも何も関係なく、ハリケンブルー=七海を利用する為にフラビージョが打った大芝居であり、正義側は騙されたことに怒るという特撮モノの正統派プロットに則っていたのに対し、G3プリンセスは本当にヒューマンワールドを守る為に必要なユニットだったということだ。前者がフラビージョの「本当のところ」を巧妙にボカしたのに比べると、今回のプロットは強固であり、ノリに積極的に巻き込まれていったという側面を持ちつつも、ケガレシアの心情は実に分かり易いものとして映っていた。

 それにしても、通常の戦隊であれば凄まじい異色作として印象付けられたであろう今回が、「ゴーオンジャー」においては殊更異色作に思えないところが面白い。つまり、「ゴーオンジャー」は主にこのノリで物語を紡いで来ているということであり、「ゴーオンジャー」における「異色作」はこのノリから外れたものを指すことになる。既にスーパー戦隊シリーズ最大のギャグテイストに溢れた問題作「激走戦隊カーレンジャー」に肉薄していると言えよう。

 さて...と真面目に書いていくのが馬鹿馬鹿しくなるくらい、今回は「笑ってもらう」為にだけ作られたようなエピソードだが、いくつかサラッと重要なキーワードが織り込まれていることを確認しておかなければならない故に、堪えて真面目に書かせて頂く。

 まず、サウンドワールドなる異次元についての言及だ。これでブレーンワールドには、ヒューマンワールド、マシンワールドを初めとして、ジャンクワールド、エンジェルワールド、サムライワールド、そしてこのサウンドワールドが存在することとなった(エンジェルワールドについては微妙だが)。11次元のうち6 次元が登場し、いよいよ残るはあと5つである。一応、期間的には残り2クール近くを残している為、残りの次元が登場する可能性は割と高い。だが、あまりに便利な設定故に、「~ワールド」のタームが出てきても、あまり驚かなくなってしまったという指摘を免れないのが難点だ。残りの次元が登場するにしても、あまりセンセーショナルな扱われ方はされないかも知れない。

 続いて、ガイアークがヒューマンワールド温存を名言しているという点。勿論、ガイアークの主張に従えば人間が住むことの出来る世界ではなくなってしまうわけだが、ヒューマンワールド(=地球)の破壊を旨としないという設定は、かなり穏便な感覚を有しており、ガイアークの特殊性を垣間見せている。同様の敵組織として、「宇宙刑事シャイダー」の不思議界フーマが挙げられ、地球を無傷で略奪するという「無血占領」にこだわった異色の敵組織として記憶に残るが、こちらは人心につけこむ不気味な集団というイメージがあり、ガイアークとは印象が異なる。ガイアークはむしろ「星雲仮面マシンマン」のテンタクル(子供をいじめることが目的!)や、「兄弟拳バイクロッサー」のドクターQ(同じく子供をいじめることが目先の目的!)に近いものとして映る。勿論、やっている事の規模としてはテンタクルやドクターQと比べるべくもないが、陽性な雰囲気等に関してはかなり近似しているように思う。

 そして、これもガイアーク関連であるが、目的意識が一致した際の潔さは、人間よりもむしろガイアーク側に軍配が上がるということ。これは「悪側と組むなんて」といった正義側の至極当たり前のプライドによる差であり、軍平の態度などは当然と言えば当然であるが、困ったことにガイアークはその状況を楽しむ方向で行動してしまうようなのだ。ヨゴシュタインが連に「ズバリ正解」「自分に酔いすぎっす」と言ったり、ガンバルオーの合体が解除された際、ヨゴシュタインとキタネイダスが範人と軍平に駆け寄って「大丈夫ゾヨか」「しっかりするナリ」と声をかけたりするのである。これがまた不自然でないところに、三大臣のキャラクターの凄さがある。何が凄いかと問われれば、迷わずこう答える。「あなたは、既に三大臣の最期なんか見たくないと思っていませんか?」と。

 ここからは、主に「歌」に関して言及していけば、ほぼ問題なく「解説」として成立するだろう(笑)。

 最初に登場したのは、ガイアーク三大臣によって結成された、ギター、ベース、ドラムスのロック最小トリオによるメタルナンバー。まあ、明らかに演奏していないのは分かるのだが、この辺りは昔の特撮TVドラマと違って、最近ではちゃんとそれらしく見せる工夫や演出がなされている。ケガレシアのドラムは、フィルインもちゃんとやっていたし、何と言ってもちゃんとビートに合った叩き方をしていた。ヨゴシュタインのギターもキタネイダスのベースも、それなりに弾いているように見える。ターンを決めたりする様もなかなかカッコいい。詳細は未確認だが、歌は恐らくガイアークのキャラソンなのだろう。悪のテーマソングとしての歌詞もさることながら、変拍子っぽいブレイクを含むメタルナンバーはなかなかカッコ良く、少なくとも「ヒドイ歌」ではなかった(当り前か)。劇中の一同の反応は、爆音系のサウンド故の反応だろう(大翔のヘンな反応に注目)。

 続いて登場するは、大翔! 「俺のラブソングで」という歯の浮くような宣言を、眉一つ動かすことなくサラリと言ってのける大翔のカッコ良さは筆舌に尽くし難い。そして、待ってましたの弾き語り。徳山氏のブログによれば、徳山氏自身の作詞作曲によるバラードとのことで、その完成度の高さに驚かされる。常に抑制された低音トーンでの喋りを覆すかの如き高音の伸びが素晴らしく、ゴーオンジャーとガイアークが喝采を贈るのも納得といったところだ。今回のメインはG3プリンセスであるが、この大翔の「ラブソング」もちゃんとスタジオ収録された別シーンを設えてあるだけに、かなりプッシュされ優遇された経緯が見て取れる。また、この大翔のシーンには、今回のような完全コミカルなエピソードにおける、大翔の方向性を定めるという意図も垣間見られる。つまり、自信たっぷりな様子がコミカルに描かれ、プライドを打ち砕かれるような場面で可愛らしくイジけてしまうというものだ。大翔の歌は素晴らしかったにも関わらず、女性の声ではないということでロムビアコを巨大化させてしまう。しかし、その後の大翔のイジケっぷりは徳山氏ご本人がノリにノッた演技で盛り上げてくれた。胸に飾ったバラの花びらを一枚ずつ無言でちぎるという何とも乙女チックな行動(後にヨゴちゃんキタちゃんも加わる)には、大翔ならではの可愛らしさが十二分に表現されており、ラブソングのしっとりとした男の色気と相俟って、アニファンはさらに急増したのではないだろうか。そして、このエピソードにおける大翔の魅力は、G3プリンセスの歌に合わせてブレイクダンスを踊るという 1カットで爆発する...。

 次なる歌は、ヨゴシュタインとキタネイダスによる、ザ・ピーナッツの「恋のフーガ」! なかにし礼&すぎやまこういち&宮川泰という強力トライアングルによって生み出された、名曲中の名曲である。「ゾヨ」「ナリ」を交えた実に笑える歌唱(何と原曲キー通り!)と、あまりに気色悪い女装(格好自体はW~ダブルユー~をイメージ?)が凄まじい。誠に残念ながらほんの少しのフレーズを披露したに留まってしまったが、これはこれでホントに気色悪くて笑えるので、このくらいでちょうど良かったのかもしれない。にしても、これを大真面目にやっているという設定がイイのだ。悪ノリなのは演出であり、この世界の中の登場人物はロムビアコを何とかしようと、とにかく奮闘しているだけなのだ(...よね)。そう、少なくともシチュエーションはいつものゴーオンジャーよりもまともなのだ...?

 真打は勿論G3プリンセス...の前に、大翔を除く男性陣の動きを少し確認しておく。走輔はほぼいつも通りだが、リアクションが通常より大袈裟で楽しい。連はラブソングに流れて行った大翔に代わり、戦況を冷静に把握する役目を担っているが、走輔と共にヨゴシュタイン&キタネイダスと絡んで、妙に仲良くしているのが可笑しい。範人は状況を素直に楽しんでいる様子が自然で、特にG3プリンセスをケータイのカメラで撮りまくっているところが「らしい」。軍平はすっかり「キレキャラ」が定着。今回も真っ先にガイアーク三大臣に食ってかかっていた。なお、軍平の白眉はエンディング後のコーナーにおけるダンスであった。それぞれがリアクションや細かい動きを工夫していて面白かった。ロムビアコは巨大化していくという設定に相応しく、特撮関連が豪華。特にバンクも交えた破壊シーンは合成の素晴らしさもあって迫力満点だった。また、ロムビアコの巨大感に関する演出も実に巧く、このようなコミカルエピソードにおいても特撮TVドラマのアイデンティティを失わない姿勢には素直に拍手を送りたい。

 今度こそ真打のG3プリンセスについて述べる。

 まず、ノリ優先の早輝、イヤイヤ巻き込まれつつ意外と楽しんでいる美羽、実は一番ヤル気を出しているケガレシアのトリオが織りなすコミカルなやり取りが楽しい。作り上げてきたキャラクターが見事に生きていて嬉しい限りだ。ビジュアルだけのユニットにせず、個性の描き分けをちゃんとすることで、底の浅いイベント編にしないという方向性は大いに評価できる。

 G3プリンセスによるアイドルになる為の特訓と、男性陣によるロムビアコの制止の為の奮闘が同時進行で描かれるのも良い。時系列を整理しつつ、話の流れも分かり易いよう、特徴あるシーンを巧く並べることで、基本的に進行する必要のないストーリーにドライブ感をかけている。特訓の内容は3つ。それぞれ発案者が異なり、発案者に応じた内容になっているのに加え、コスプレ要素も多分に含む。

 特訓その1は、早輝発案による絶叫マシンでのスマイル特訓。及川氏のブログによれば、及川氏自身絶叫マシンが苦手とのことで、あのケガレシアの表情は完全に「素」だったとのこと。気の毒な話ではあるが、リアルで怖がっている表情を見ることが出来る。このシーンでは、早輝のイメージに合わせてか、3人のセーラー服姿を拝むことが出来る。文科系、体育会系、そういうプレイ系(?)の見事な三拍子に目が眩む。このシーンの早輝、マジで可愛いんですけど。

 特訓その2は、ケガレシア発案による、お色気ポーズ養成ギプスを使ったポージング特訓。お色気ポーズ養成ギプスは、勿論「巨人の星」のパロディなのだが、スイッチによってポーズを強制させるというハイテク機器だ。「アハンのポーズ」「イヤンのポーズ」「ウフンのポーズ」「エヘンのポーズ」「オホンのポーズ」という珍妙な特訓だが、ケガレシアの「アハンのポーズ」のお手本が何とも悩ましい。ケガレシアに比べると、早輝と美羽のポーズにあまり色気がないという演出も見事。美羽の「ハァッ!?」というあからさまに嫌がる表情にもハートを撃ち抜かれる(って古い表現だなこりゃ)。ここでの「コスプレ」はパレオ (?)を付けたトレーニングスーツで、3人のスタイルの良さを確認できる(ってどんどんヤバい方向に行ってるな)。

 特訓その3は、美羽らしい体育会系の特訓で、連射されるバレーボールを避けるというもの。「アイドルの星を掴むまで、涙を拭いちゃダメ!」と、一番嫌がっていた美羽が一番ノっているところに笑いが生まれる。アナクロなスポ根シーンだが、バレーボールのサーブマシンには妙にハイテクな雰囲気があり、スイッチ類等もちゃんと作り込まれていて印象が非常に良い。明らかにハリボテと分かるようなものを用意しなかった制作姿勢は好印象だ。バレーボール自体は本物とCGとを使い分けているが、臨場感とファンタスティックの中間層を巧く走破しており、マンガチックな演出が楽しめる。ここではスポーティかつキュートなユニフォーム姿を披露。3人の「美脚」を強調するコーディネートが「分かっている」感満点。個人的にはこの姿が一番グッと来る(笑)。特に美羽の健康的すぎる出で立ちに、男性諸氏はすっかり悩殺されてしまったに違いない。

 こうして遂に誕生したG3プリンセス。「G3プリンセスラップ」はエンディングテーマのバリエーションだが、元々ガールズユニットっぽいサウンドメイキングのナンバーである為違和感もなく、また完全新曲よりも親しみやすい為、あらゆる層が素直に楽しめる効果をもたらしている。多忙な撮影の合間を縫っての練習になるからか、振り付けはシンプルではあるが、却って昭和の由緒正しきアイドルの匂いを感じさせて印象が良い。3人の出で立ちはスタイルの良さを強調した今時なビジュアルでまとめられている為、ジェネレーションを超えたアイドルイメージの融合を果たしたと言っても過言ではなく...って、何言ってんだか分かんなくなって来た。とにかく、可愛さも色気も抜群であり、今まで早輝なら早輝の、美羽なら美羽の、ケガレシアならケガレシアの一面しかクローズアップされていなかったが、このG3プリンセスで別の一面をバッチリ見せてくれたのである。

 「G3プリンセスラップ」披露後は、まさかのG3プリンセス同時変身から戦闘へなだれ込む。同時変身では新たに完全新作の変身シーンが作られ、貴重なケガレシアの「メットオン」(これは一種のギャグだが、マシンワールド由来ということで、意外とヒーロー側との共通点があるのかも知れない)と「ヒーロー仕様の韻を踏んだ名乗り」が見られる。必殺技の「プリンセスキャノンボール」は、勿論「太陽戦隊サンバルカン」の必殺技・バルカンボールのパロディであるが、美羽の特訓でバレーボールが用いられたことにより、唐突感がないのは見事と言うほかない。何故かサンバルカンのネタは他にも多用されており、早輝のセリフの中に「一人より二人がいい」「二人より三人の方が」「力も夢も勇気も、強くおっきくなる気がする」とサンバルカンの前期エンディングテーマ「若さはプラズマ」の一節が織り込まれている。これは「爆竜戦隊アバレンジャー」に見られたような脚本・荒川稔久氏の「趣味」の一貫なのだろうか。と言うよりは、本エピソード自体が荒川節炸裂なのであって、このような本筋に殆ど関係しないイベント回を、一大エンターテインメントに仕上げてしまう手腕の確かさは、やはり抜群である。

 ラスト、G3プリンセスは切ない解散の時を迎えるのだが、ケガレシア編の特徴である、何か思わせぶりなケガレシアの表情がフィーチュアされている。本音では、ケガレシアもまんざらではなかったものと思われ、「そんなワケないでおじゃる」はガイアークとしてのプライドがギリギリで言わせたセリフのように見える。夕暮れのセッティングが心情描写にマッチしており、賑やかな祭りの後に訪れる日常の、一種の寂しさを描き出す。それは敵味方に分かれて戦うという、日常だ。

 というわけで、もっと見たい! 是非とも、スピンオフエピソードを!