第26話「シュシュッとTHE SPECIAL」

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 皆さんお待ちかね〜! ハリケンジャー編の後編です。

 今回の見所は、何と言ってもルカ、七海の緊縛シーンと、アイムの猫耳...というのは、まぁ冗談(いや、静かな見所ではありますけど・笑)。

 予告で、既にゴーカイジャー+ハリケンジャー揃い踏みが示唆されていたものの、前回のラストは異様な緊張感を漂わせて終了したので、色々と期待しましたが...やってくれましたね!

 では、その「やってくれた」処を、連々と続きの方に書いて行きますので。


 第一の「やってくれた」は、前回ラストの「引き」だった対立構造が、アイムとハカセの申し出によって、あっさりとゴーカイジャー側の譲歩となり、いきなりハリケンジャー大活躍シーンへと突入するという展開です。

 何度も言及している「効果的なショートカット」が、今回もやはり効果的に配置されました。勿論、対立構造をグッと引っ張って、重厚なドラマを展開する事も可能であり、それはそれで面白いエピソードになるとは思います。しかし、「ハリケンジャー」は爽やかに駆け抜ける忍者というイメージが強く、あまり重厚なドラマを引っ張っても、魅力半減になってしまうような気がします。なので、アイムとハカセが早々に譲歩したのは、良かったと思います。

 他にも、ハカセが、鷹介達にマーベラスの人となりを見極めるよう提案した辺りも良いと思うし、鷹介達がマーベラスを気に入らなかった場合、レンジャーキーを「力尽くで取り戻します」と言ってしまうアイムも素敵過ぎます。このアイムの発言には、結構ドキリとさせられるのですが、マーベラスのポリシーがメンバーの隅々まで浸透している事を象徴する、いいシーンでしたね。

 第二の「やってくれた」は、サタラクラJr.の「ボキ空間」におけるクイズ番組(?)が、やけに懐かしい番組のパロディだった事(笑)。「ボキ印クイズ ヒントでピピッと!!」というタイトルでしたが、これはかの名クイズ番組「象印クイズヒントでピント」のパロディ。

 まぁ、まともなパロディ自体は、第一問の「アカレンジャーもどき」が登場するシーンにとどまり、その後はヒントも何もない上に屋外ロケになるので、語感を借りた上で一部高年齢層にアピールしただけ。しかし、元ネタを熟知しているであろう島田敏さんは、楽しそうに演じてましたね〜。

 第三の「やってくれた」は、「ボキ空間」を延々と展開するのではなく、ザンギャック幹部達が出撃して、ハカセ、アイム、鎧を襲撃する事。

 これにより、ハリケンジャーによる救出作戦に危機感が増し、単なるコミカルなやり取りにも緊張感が生まれました。ザンギャックにしても、ただサタラクラJr.の作戦結果をボーッと待っているといった、間の抜けた雰囲気が見事に払拭され、良かったのではないでしょうか。ハカセ達3人に迫る危機も、アクションが非常に充実していて、後半の一大バトルに負けない魅力を持っていたと思います。

 第四の「やってくれた」は、クイズに対する反応によって、両戦隊の特徴を明確にしている事。

 マーベラス達は、どれだけ知恵を絞っても、答えを翻されるのは目に見えているので、考えるのが面倒という姿勢。それを見た鷹介達は、万が一正解した場合、ビッ栗に危険が及ぶのを、マーベラス達は避けているのではと推察します。鷹介達の推察がマーベラス達の真意を突いているかどうかは不明瞭ですが、半々くらいに思った方がいいでしょう。

 そして、鷹介達ハリケンジャー流の解決方法(サタラクラJr.に「ピンポ〜ン」をクイズの答えとして言わせる)は、「ハリケンジャー」という作品が持っていた、どんどん前へと駆け抜ける疾風の如き忍者達といった雰囲気に合致します。しかも、「ハリケンジャー」のもう一つの面である、ギャグとシリアス紙一重という特徴もバッチリ再現しています。

 ここでは、ずっと険しい表情をしていた鷹介達が、グッと親しみやすい表情に変化。当時の明るい表情を見せつつ、各々が芸能活動で磨いてきた魅力を全開にしており、満足度の高いシーンになっています。特に七海の表情豊かさは特筆モノでしたね。

 ちなみに、マーベラスに対する鷹介の態度もいい感じに処理されています。妙な先輩風を吹かせる先輩という雰囲気で描かれていて、一見意味不明な頭突きも「こんな人居るよねー」的な描写になっており、とても好感の持てるシーンになっていました。

 元来穏やかな吼太は、それ程先輩風を吹かせるような描写がありませんでしたが(というより、吼太の変わらなさを完璧に表現しているのが凄い!)、特筆すべきは七海。自分を「お姉さん」と呼び、あくまで年上の先輩として振る舞う姿が素敵過ぎました。あらゆるアクションドラマをこなしてきたアクティヴ・ビューティの余裕がそこかしこに垣間見えて、良かったですねぇ。

 第五の「やってくれた」は、ここまでのシーンがAパート!

 要するに、Bパートは丸々バトルに費やされるわけで、いかに今回が「THE SPECIAL」なエピソードになっているかが分かろうというものです。

 第六の「やってくれた」は、ゴーカイジャー、ハリケンジャーの揃い踏み!

 過去の戦隊ヒーローは力を失っているという、大前提の設定がある「ゴーカイジャー」において、このようなシーンが見られるとは...。正に、基本三人戦隊という「ハリケンジャー」の身軽さ、オリジナルキャスト陣が揃った事、色々な事が巧く繋がって実現した奇跡的なコラボレーションでした。

 Aパートでは、レンジャーキーの力が宿っていきなりハリケンジャーに変身していましたが、Bパートでは、まさかの新撮変身シーンを披露! 時を超えた「忍風・シノビチェンジ」は鳥肌モノでしたね。

 変身シーンだけじゃありません。名乗りも新撮! 考えてみれば、当時はHD撮影ではなかったので、新撮は当然なのですが、HDで蘇るハリケンジャーの名乗りは、もう感涙モノ。「ダイレンジャー」が種を巻き、「ガオレンジャー」で開花した「狙い過ぎなケレン味」を受け継いだ「ハリケンジャー」は、もはや「歌舞伎のパロディ」といった域に達していましたが、今回、そのド派手な名乗りを完璧に再現していましたね。アフレコも実に楽しそうで、当時の雰囲気がバッチリ蘇っていました。

 第七の「やってくれた」は、当然、海賊戦隊と忍風戦隊の超豪快コラボ。

 超忍法・空駆は、当時のクォリティを凌駕するスピーディなアクションを魅せ、しかもワイヤーアクションのハリケンレッドと、走りながらのゴーカイレッドが、同時に剣を連続で決めていくという、凄まじいシーンも生み出していました。

 他にも、個人武器の登場や、戦隊の枠を超えた武器交換があったり(ハカセが溢れて木の枝を振り回していたり・笑)、「覚悟 覚悟 覚悟しろよ」(ハリケンジャーの主題歌の一節)と鎧が叫んでいたり、ハカセがロープアクション中のハリケンイエローに掴まってアクションする等、色々なアクションや小ネタがこれでもかといわんばかりに詰め込まれていました。Vシネマならともかく、TVシリーズでここまでやるのかといった、充実振りが凄まじいですね。

 勿論、このバトルシーンでは、しっかり「ハリケンジャー」の主題歌インストがかかっていました。別方向での「先輩ゲスト編」の究極を見たような気がします。

 第八の「やってくれた」は、風雷丸からハリケンゴーカイオー登場への流れ。

 サタラクラJr.の強敵振りは巨大戦でも変わらないという段取りも良かった上、ハリケンジャーがゴーカイジャーを認めた時点で、風雷丸も既に味方だというショートカットの巧さも完璧。ケレン味溢れる風雷丸のキャラクターも良く、特に合体に際して印を結ぶシーンのカッコ良さは筆舌に尽くしがたい感がありました。

 では、ここで豪快チェンジについて少しだけ。今回の豪快チェンジは、オリジナルが変身してしまったので、ハカセ、アイム、鎧がデカグリーン、デカピンク、デカブレイクにチェンジしたに留まります。銃撃を重視したという感じのチェンジでしたが、今回は完全に敗色濃い展開だったので、あまり見せ場はありませんでした。ただし、超豪華コラボがあったので、特に不満を感じる要素ではないです。

 エピローグの見所としては、リラックスしたハリケンジャーの面々の爽やかさと、相変わらず先輩風を吹かす鷹介の前で、さすがのマーベラスもおとなしい後輩の顔になってしまった処でしょう。特にマーベラスの表情は、普段のふてぶてしい感じではなく、完全に「ちょっと不満気だけど従順な後輩の顔」。小澤さん、ちょっと緊張しちゃったのでしょうか(笑)。逆に物凄く好感の持てる表情でしたけどね。

 さてさて、ここからは「ハリケンジャー」の思い出話。

 「ハリケンジャー」は、ウチの長男が初めて明確に戦隊を認識したシリーズでした。実は前作の「ガオレンジャー」終盤にて、やや認識が始まっており、パワーアニマルを欲しがっていたのですが、終盤だった為にメインのガオキングは手に入らずじまい。

 実際の処、「ハリケンジャー」のトイは一切買う予定が無かったのですが、どうも子どもに甘いようで、結局ロボ関連のトイをコンプリートしてしまいました。旋風神、轟雷神あたり、結構システマティックで、往年の戦隊ロボを思わせる部分があったのも、購入に拍車をかけた感じです。

 本編の内容としては、久々の忍者モチーフという事で、「カクレンジャー」との差別化に凄く興味がありました。蓋を開けてみると、先輩の忍者戦隊とは違う、「忍者見習い」という面を強く押し出し、一方で手練の兄弟であるゴウライジャーを置くなど、様々な工夫が見られ、懸念は霧散する事に。敵キャラも非常に魅力的で、飽きさせないシリーズづくりが光っていたと思います。

 後半戦では、シュリケンジャーの化ける人物が、戦隊シリーズの歴代キャストであるという、「ゴーカイジャー」の嚆矢とも言えるサービスを展開。特に大葉健二さんの登板は、「分かってる」感じがして非常に嬉しかったですね〜。変身ポーズは何故か戦隊を外れてギャバンでしたし!

 ツボにはまったのは、郷と岸田の共演。分からない方には、何のことやらだと思いますが、要するに団時朗さんと西田健さんの出演があったという事。「帰ってきたウルトラマン」における郷秀樹と岸田文夫が、時を超えシリーズを超えて「ハリケンジャー」で再び出会...わなかったんですよね、これが(笑)。アフレコではお会いになったかも知れませんが、少なくとも画面上の共演、同一シーンでの共演はなかったと記憶してます。

 というわけで、何だかとりとめもない感じになってしまいましたが、サービス満点のハリケンジャー編でした。