遂に最終回。最終回には、様々なパターンが存在しますが、この「ゴーカイジャー」の最終回は、正攻法の極致たる最終回だったと思います。
尺の殆どは、ゴーカイジャーの逆転劇とザンギャック皇帝・アクドス・ギルの打倒に割かれ、エピローグは少なめ。その時間配分は大正解で、「ここで来たか!」というフリージョーカー(文字通り切り札!)での突入、そして「スーパー戦隊シリーズ集大成」と呼ぶに相応しい、もうどうやって撮影したか想像もつかないラストバトルの凄まじさに、テンションは上がりっぱなしでした。
あまりに凄まじいので、巧くまとめられませんが、一年を通じて見てきた感想等も交え...。
最終回前話として、先輩ゲスト編として、そしてスーパー戦隊の王道として。全てにおいて成立している素晴らしいエピソード。「バスコ後」の不安を完全に払拭してくれました。
大艦隊相手の、巨大戦における「大いなる力」オンパレードに続き、ダイランドーとの等身大戦への持ち込み方等、流れも自然で無理がなく、最初から最後まで一気に見せてくれました。
都合により、あまり長い文章は書けませんが、個人的に気付いた点を中心にツラツラと続きに書いて参ります。
バスコとの宿命の対決が大変盛り上がり、この後どうするのかと思っていましたが、しっかりと更なる盛り上げを見せてくれました!
今回の骨子は、ズバリ「宇宙最大のお宝」が何であるかという事、そして、インサーンの最期。そこに、「大いなる力」の本当の継承が織り交ぜられ、さながら「ゴーカイジャー」のテーマ性の総括ともいうべき内容に仕上げられていました。
あと二回を残すのみとなった本シリーズですから、総括に近い内容が今回に与えられるのも、当然の成り行きでしょう。しかし、そういったシリーズ構成の足枷を一切感じさせる事なく、むしろ「やっと宇宙最大のお宝に辿り着いた」という感覚を強く前面に出す事が出来ているのは、そのシリーズ構成自体が綿密だったという事でしょう。
ところが、主人公周辺の事情が綿密である事に反して、本来の敵であるザンギャックの扱いがあまりにも軽いのは周知の通り。今回も、インサーンというキャラクターが特に掘り下げられる事もなく、「ワルズ・ギルを守れなかったダメな幹部の一人」という背景のみで始末されてしまいました。ザンギャックの軽視ともいうべき事態は、本シリーズの暗部ではありますが、曲がりなりにも最終決戦をザンギャックとの総力戦に持ち込んでいく構成に関しては、レジェンド大戦に始まった物語を綺麗に完結させるものとして、評価出来るのではないでしょうか。
続いては、細部について。
素晴らしい!
手放しで評価したい名編でした。やっぱり、戦隊という群像劇における「1対1の対決」は特別な雰囲気があって、大いに盛り上がれますね。
評価すべき点は色々有り過ぎて、枚挙に暇がないのですが、とにかく「王道」を大切にしていた処が賞賛に値するのではないでしょうか。それは、怪我を押して出てくるマーベラスであったり、一進一退...もっと言えば同じ動きで拮抗したり、決まり手が周囲から目視出来なかったり、両者倒れた後、ライバルの方が先に立ち上がったり。
こうした「対決の美意識」とも言うべき画面作りは、東映が良質なチャンバラ映画を沢山制作する過程で確立してきたものであり、他の追随を許さない「お家芸」であると断言出来ます。まぁ、あらゆる人材が流出と流入を繰り返してきた映像制作各社ですから、現在に至っては、何も東映だけの専売特許というわけではないのですが、戦隊黎明期は、明らかに「東映のカラー」を反映しており、それを継承してきたスーパー戦隊シリーズが、その色濃い影響下にある事は確かでしょう。
やはり、言葉を尽くしても今回の素晴らしさを語れないのですが、私なりに気付いた点をまとめてみようと思います。
いよいよ大詰めといった感じです。今回はバスコ編もしくはサリー編とでも言える趣。バスコを徹底的に冷酷無比な人物として描写する事により、ある意味ザンギャック以上に、マーベラスにとっての宿敵という性格を強調しています。
ストーリーの骨子は、バスコの卑怯極まりない知略により、捨て駒とされたサリーが見た恐怖=「裏切りの果て」と、マーベラスが「裏切りの果て」に辿り着いた「裏切られた者」への同情心に似た感情が出会い、そこをバスコにつけ込まれて大危機に陥るといったもの。極論すれば、それ「だけ」であり、バスコの裏切り、奸計、奸智といった空寒い要素をじっくり描く事に終始しています。
というわけで、本編大充実、その代わり文章で伝わる部分が少ないので、あんまり書く事も無いのですが、とりあえず何とか膨らませてみました...(笑)。
カクレンジャー編(というよりニンジャマン編)の後編。バスコによって奪われている大いなる力を除けば、これが最後の大いなる力取得編となるので、実質、「先輩ゲスト編」の最後という事になるでしょう。
先輩ゲスト編もここまで来ると、もう「先輩から教えられる事」はなくなり、何と、ニンジャマンが逆に「気付きを与えられる」側になっています。しかも、ニンジャマン自体が「カクレンジャーの大いなる力」というオチが付き、相変わらず直情的で人懐っこく、しかも思慮に浅い愛すべきキャラクターとして立ち振舞っていました。この点については満足でしたね。ゴーカイジャーの「戦隊としての」成長振りを感じさせるに充分でした。
物足りなかったのは、ニンジャマンがこれだけ「青二才」振りを発揮していたにも関わらず、サムライマンにチェンジしなかった事。大いなる力が単なる巨大化では、「カクレンジャー」本編を見ていた層から100%の賛辞を得られないのでは。まぁ、ニンジャマンが等身大キャラである一方、サムライマンはいわゆるロボット系の造形物ですから、スーツ自体の現存率は低いのかも知れません。とりあえず、ニンジャマンが「青二才」と呼ばれていた頃に比べて、少しは成長を遂げたんだと、納得しておきましょう。
続きの方、ちょっと時間がないので、簡単な感想になってしまいます。
遅ればせながら、本年もよろしくお願いいたします。といっても、ゴーカイジャーは2月19日にて最終回を迎えますので、あとわずかのお付き合いということになります。
次の戦隊「ゴーバスターズ」も発表され、今回予告編も放映されました。この時期になると、興味は俄然新戦隊の方に移ってしまい、モチベーションの維持も大変なのですが、肩の力を抜いて「ゴーカイジャー」を見届けていく所存でございます。
さて、新年第一回目のエピソードは、「最後の砦」である「カクレンジャー」に関するお話。変則的な先輩ゲスト編という事になりますが、実際は戦隊シリーズ恒例の「総集編」を兼ねています。
戦隊シリーズがはっきりと総集編の体裁を導入したのは、「バトルフィーバー」のゴースト怪人の回だったと記憶してますが、誤っていたら申し訳ございません。「バトルフィーバー」でのそれは、あまり使われなかった数々の挿入歌をバックに、各メンバーの代表的な活躍回が振り返られるという構成でした。その後も半数くらいのシリーズで総集編となるエピソードが作られましたが、共通しているのは、何か事態が進行する中でこれまでの足跡が振り返られるという構成。ただし近年は、商品展開とのリンクが濃密なのを受けて、ほぼ全ての武装や巨大ロボ等のアイテムを網羅する構成が強くなっています。
今回のトピックは3つ。ニンジャマン、総集編、そして鶴姫。それぞれについて、軽く言及してみます。
恒例のクリスマス編。しかも、ビックリの「先輩ゲスト編」。しかし、先輩ゲスト編の体裁による展開はほぼ皆無であり、ラストでのまさかの曙四郎の登場は、親世代へのクリスマスプレゼントといった雰囲気でした。
ストーリー構成としては、ルカ編になっていて、ゴーカイジャーきっての「悪い子」であるルカが、「いい子」である事を確認する...といったテーマになっています。
勿論、ルカは「悪い子」でもなんでもなく、「ちょっとヒネた信念の人」なのは、ご覧のとおりなのですが、一番「賊」っぽいのも確かな処。バトルケニアこと曙四郎が、ルカを本気で「悪い子」だと思っていないのは当然ですが、ある意味ルカに、クリスマスというイベントにおける「優しさ」の確認をさせようという意図があったようにも解釈できます。
全体的ににぎやかで、鎧に対するジョーの「何でもアリだな」という感想に象徴されるように、ホントに何でもアリな状態なのですが、それぞれに説得力があっていい感じ。
ハカセ編後編です。
大方の予想通りというか、まぁ展開自体はどうという事もないのですが、「出来る事を一生懸命やれば良い」という理念の再確認は、なかなか熱かったですね。ついでに、ハカセが「純粋な戦力」としては、やっぱりあんまり有効ではないと言う事も再確認されました(笑)。直截的な言い方をするならば、ハカセがメンバーに居る「利点」は、その「家」を守る能力と、巧くはないがトリッキーな戦術にあり、メンタリティの話で行くならば、ハカセはアイムと並ぶムードメーカーだという事です。
ずっと引っ張ってきたハカセの過去が、それ程魅力的ではなく、むしろハカセは現在進行しているキャラクター性の完成度が高い為、あまり深みのあるエピソードであるとは言えませんでしたが、年末商戦に向けてのアピール度はバッチリでしたね。
というわけで、全体的にハカセをフィーチュアしつつも、ハカセ成分よりむしろ、細かい部分で今後の展開に関わるトピックが散りばめられている方が印象に残ります。それは主に敵側なんですけどね。
遂に、ハカセ衝撃の過去が明かされる...?
明らかに「伝説の勇者」でないと匂わせる演出が分かりやすくも、どこかで「信じてあげたくなる」引っ掛かりが絶妙。ダマラスを引っ張り出してきてのストーリーはやや強引ですが、強引な中にも繊細な作りが垣間見られるあたりは、ゴーカイクォリティといった処ではないでしょうか。
とりあえず、次回に引っ張るので、あれこれ詮索せず軽〜く。