Mission 40「カブるJとメサイアロイド」

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 初のJ編。そして多分、これが最初で最後。

 Jのムチャクチャな論理や型破りな言動の裏に滲む、陣への信頼の深さが描かれました。この段になって、やっと陣の現在の状態が判明するのもポイント。ただし、突っ込んだ説明は適度に省かれており、メサイアカード編における路線としての「簡明さ」が意識されているようにも感じます。

 他にも、最終クールの展開に向けて、色々と要素を投入してきましたね。

 陣については、よーく整理しないと状況が分かりにくいキャラになってしまいました。なので、ここでちょっと整理してみようと思います。

 まず、陣は13年前の転送の途中でデータが欠落し、転送途中の状態のままカプセル状のベッドの上に横たわっています。演出が少々分かりにくく、まるでアバターの陣がダメージを被る度に、陣の身体が消えていくかのような印象を与えてしまったのが残念。

 亜空間への転送が完了しているのは、実体化している胸から上だけで、後はメサイアカードの中にデータが存在するか、あるいはメサイアカードの中に胸から下の実体化に関わる重要なキーデータがあり、転送がずっとトライ状態になっているわけです。転送プロトコルにタイムアウトが設定されていなくて良かったね、陣さん。

 陣は万一の際に備えて、メサイアに含まれるフレームワークを用いたプログラミング等で、自らのアバターが活動出来るようにしていたのでしょう。恐らく、13年前に既にビートバスターやJの基本構成は完成を見ていて、亜空間内の不自由な状況でも、アバターを用いて各種ガジェットの開発が出来たものと思われます。やはり彼は「天才」です。

 なお、亜空間からクリスマスプレゼントを拾ってくるというくだりがありましたが、あれは陣のアバターでもJでも可能な行いですよね。

 陣に関する重要な特徴は、「アバターが受けたダメージを本体も受ける」という点。これはメサイアのデータさえ残存していれば、点在するフラグメントから再生可能なエンターやエスケイプとは違う特徴です。これについては、単なるドラマ性の実現を目指したものだと思いますが、敢えて解釈するならば、陣のアバターは、13年前に自らプログラムを投入した特製であり、本人とアバターの意識のコネクションを確実にする為に、生体的なデータのコネクションが必要だったのではないでしょうか。即ち、本人とアバターは神経系統の電気信号が「ゴーバスターズ世界の転送プロトコル」で接続されており、アバターの痛みもダイレクトに転送途中の本人の脳髄に伝達されるという事かと。

 この論で行けば、「ダメージ」は脳にストレスとして蓄積される為、その解消もアバターがやってしまえば良い事になりますが、一応、陣のアバターが活躍する為には結構な量のエネトロンが必要だとされているので、陣は殆ど常に戦う事しか出来ないわけです。そう考えると、陣というキャラクターは実に悲壮感に塗れていると言えるでしょう。

 Jは、陣のその辺りの苦悩を知りつつも、持ち前の天然振りを発揮して周囲を引っ掻き回すわけで、今回も実際に皆が引っ掻き回されました。今回の場合はさらに、陣の苦悩を知っているからこそ、突飛な行動に出たという構造になっていて、より感情面での描写に比重が置かれています。二人のやり取りは素直に「いい話」でしたよね。

 エンターに関しても、面白いトピックが投入されました。

 エンターの内部に、メサイアカードが一枚(?)入っているというお話。エスケイプが逆らえないのは、その為でした。ただ、衝撃度は激薄(笑)。それよりも、変身してゴーバスターズを攻撃するのではなく、メタロイドの腹に手刀を突っ込んでメサイアカードを取り出すというシーンの方が衝撃的でした。

 エスケイプが変身に際して苦痛を伴っているかのように描写されるのとは異なり、エンターの変身は実に颯爽としていて、その出で立ちは平成ライダーにおける洗練された敵キャラクターの趣。パワードカスタムのパワーを軽く弾き返す強さの描写も見事です。その後、普通のメタロイドに戻ったパラボラロイドがゴーバスターズに瞬殺される辺りも、逆にエンターやメサイアカードの強大なパワーを見事に活写しており、構成の巧さが光ります。

 エンターに関しては、「何故変身するのか」という部分(「メサイアカードを取り出す為」という「理由」ではなく、「どうやって変身するのか」)が欠落しており、今後の説明が期待されますが、恐らく、「元からそういう能力を持っていた」という程度に抑えられるのではないでしょうか。メサイアカード編における「エクスキューズ偏重主義からの脱却」が、このエンターの変身にも適用されるのではないかと思います。私は、いちいち説明してくれる方が、「ゴーバスターズ」にはマッチしていると思うんですけどねー。

 さて、今回は、フォーマット崩しが顕著で、前半に派手な巨大戦を持ってきて、後半はアクションとドラマをバランス良く見せるという構成でした。

 その巨大戦、オープンセットを全面的にフィーチュアしていて、実在感が素晴らしい。GT-02やRH-03の活躍シーンは、恐らくバンクですが、ロボ戦での光量や空気感との統一が実に巧く取れていて、パッと見た感じではバンクからの繋ぎだとは気付かない程。今年度は、ホントに手間や調整に手数を取られるオープン撮影を頑張ってますよね。来年度以降もこの傾向が続いて欲しいなぁ...と思っている処です。

 陣もエンターも大きく情勢が動いたし、物語も一気に加速するか...と思いきや、次回は何となく通常編っぽい趣。メサイアカード編、アタリもハズレも含めて、ホントに何が飛び出すか分かりませんね(笑)。