Mission 34「敵はビートバスター?!」

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 予告で「アニキ」に持ってかれちゃいましたが(笑)、手放しで面白いとは言えないまでも、前回よりは話の骨子がしっかり感じられる作りだったように思います。

 典型的な「操られパターン」に即したオーソドックスな作劇に、前回から引っ張った充実の巨大戦、タテガミライオーの突然の登場、陣の隠された感情といった要素を持ち込んで、コミカルながらも深みのある一編だったのではないでしょうか。

 今回、最も興味深いキャラクターは陣でしょう。

 陣の「おふざけ」は、以前にも繰り返し描写されていたわけですが、残念ながら、印象論では、Jが言う処の「泣いている」という状態に当てはまるのは少なかったように思います。今回は極端に描かれていた為、「泣いている」という感情の強さが印象付けられましたが、陣には謎めいた部分が多く、あまり感情移入するタイプのキャラクターではない為、このように少々中途半端な印象を残してしまったのではないでしょうか。

 面白いのは、メタロイドに操られている間も、操られている事を戯れに変換して、ヒロムに提示している点です。

 常に苦悶しながら操られているようには見えず、むしろこの機を利用してヒロムに「自分越え」を促しているように見えます。この流れは、「操られパターン」に一石を投じるような意外性を持っており、私は素直に感激してしまったわけです。

 しかも、操られている間、常にビートバスターの状態で、一切陣の素顔を(カットインですらも)出さない徹底振り。悲しみを戯れで隠した上、さらにその戯れの表情すらも仮面の下に隠している...。石ノ森先生が、仮面の意義をヒーローの姿に投影して世に問い続けたそのスピリットを、何故か今回は非常に強く感じました。

 平たく言えば、陣は悲しみを二重の仮面に隠してヒロムと対峙していたわけで、ヒロムがJのヒントを得ていたにしろ、その二重の仮面を突破して陣の素顔に迫った今回は、現主題歌にある「3+2」が「5」になる第一歩として記憶されるべきでしょう。

 また、亜空間における一件を、陣がまだ引き摺っていたという事自体の意外性もありました。一応、仲間をメサイアのシャットダウンと共に一瞬にして失った悲しみをメインに据えていたようですが、研究所の仲間との交流譚が殆ど描かれていない為、この件についてはあまり実感がありませんでした。むしろ、ヒロムに肉親を討たせた事自体に、親心に近い部分から沸き上がる後悔を感じて苛まれているように見えます。メインである前者も良いですが、後者の理由も重厚さに溢れていると思います。

 ただ、これら陣関係の今回の描写は、キャラクターの言動の機微を受け止められる層でないと、理解が少々難しいのではないでしょうか。陣が素顔を晒して笑い泣きしている描写をせよとは、世界観を瓦解させる為申しませんが(笑)、常時ビートバスターの仮面劇であったのと、陣が常に飄々とした口調で「隠蔽」していた事で、やや難解になってしまったきらいがあります。大人が見ると、その辺りが充分に面白いんですけどね。

 いずれにせよ、得体の知れない男として扱われていた陣が、ヒロム達とグッと距離を縮めたのは確かで、そこにタテガミライオーの登場が有機的に絡んでくる事を期待したいと思います。

 さて、前回は巨大戦を迎える前に終了となり、パワーアップ編を等身大戦に絞ったものとなりましたが、何と今回の巨大戦に同期させるというアクロバティックな展開を見せ、前回からの確かな連続性を確保していました。

 ただ、面白い事に、定石である巨大戦におけるパワーアップ譚にはならず、タテガミライオーの登場を「引き」として、次回に繋ぐという、これまた意外な手法を提示していました。三話連続のパワーアップ譚なのか、それとも、13枚のカードが尽きるまで完全に連続させる構成なのか、まだ詳細は不明ですが、一話完結感が結構強かった「ゴーバスターズ」において、確かな「第二章」の手応えが感じられた事は確かです。巨大戦がスタジオ撮り中心となり、従来の戦隊の雰囲気に戻った辺りはやや疑問ですが、第二章がオーソドックスな「戦隊」を目指しているなら、今回の巨大戦も映像的に表現されたオーソドックス感...なのかも知れません。ホントか(笑)?

 パペットロイドにしても、メサイアのパワーを前回よりも端的に表現するようなカットがあったりと、より「変化」を印象付ける描写になっていました。前回は痛烈にメタロイドに関する文句をつけましたけど、砂時計やパペットといった、いわば人畜無害なモチーフが恐ろしい能力(しかも、超常現象に近いもの)を発揮するという、隠れた恐ろしさを表現していると理解しました。これは、「仮面ライダースーパー1」のジンドグマ編における日用品怪人の恐ろしさにほど近いと思います。コミカルな容姿とモチーフなのに、能力はすこぶる高く、スーパー1を危機に陥れるという恐怖感。メタロイドはデザインが洗練されている為、「スーパー1」で感じられた不気味さという点では譲りますが、硬質感の中にあるスーパーナチュラルな恐怖感は、メタロイドに軍配が上がりそうです。

 それにしても...。

 エスケイプの活躍が早く見たいですなーー。

 今回は前回と違ってエンターに悪態をつくキャラクターに戻ってましたけど、どうなるんでしょうねぇ?

 次回は予告の衝撃通りです。水木一郎さんといえば、私の中では「スピルバン」のベン博士。楽しみです!